キーワードは「アカデミー賞で注目! “ 真実の物語”」【イチ押しシネマ『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』など】
公開中&近日公開予定の話題作から、キーワードに沿った2本のイチ押し映画をご紹介します。
【今月のキーワード】アカデミー賞で注目! “ 真実の物語”
アカデミー賞の歴史の中で最も多くの女優賞(主演・助演とも)にノミネートされた人物を知っているだろうか。演技力はもちろん、環境問題や女性の権利向上に貢献し、ハリウッドで最もリスペクトされているメリル・ストリープだ。21回目のノミネーションを獲得した『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』で演じたのは、アメリカの主要新聞社史上初の女性発行人としてワシントン・ポスト紙を率いた、実在の人物キャサリン・グラハム。アメリカ政府が30年もの間ひた隠しにしてきた機密文書を入手し、公開するかどうか決断を迫られる。このキャサリンという人物、完全無欠のスーパーウーマンではないところが魅力的。亡くなった父や夫の跡を継いで発行人になったものの、経験の浅さや女性という立場からなかなか信頼を得ることができず、さらに子供を持つ母親として、自らの決断が家族に与える影響の大きさを考えて葛藤を繰り返すのだ。私たちと変わらない弱さを持った女性が、不安に押しつぶされそうになりながらも大きな決断を下す姿からは、きっと勇気をもらえるはず。
【イチ押しシネマ 1】『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
1971年、泥沼化するベトナム戦争の調査文書が流出し、『ニューヨーク・タイムズ』が一部をスクープ。『ワシントン・ポスト』のトップ、キャサリン・グラハムは、残りの文書を入手して全貌を公表しようと奔走する。● 3 /30〜全国公開
メリルが実在の人物の内面の葛藤を見事に表現した一方で、元英国首相チャーチルを見た目まで完璧に再現したのはゲイリー・オールドマン。第二次世界大戦初期、イギリスが最大の国難に直面した27日間を実話をもとに描く物語だ。彼の直々のオファーにより、特殊メイクで原形をとどめないほどチャーチルに大変身させた日本人アーティストの辻一弘は、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。その見事な職人技もぜひスクリーンで!
【イチ押しシネマ 2】『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
1940年。ナチス・ドイツの勢力が拡大する中、ヨーロッパの命運は英国の新首相ウィンストン・チャーチルの手に委ねられていた。● 3 /30〜TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
--------------------- MORE2018年5月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 文/松山 梢 ---------------------