今やCGが演技をする時代!? 木梨憲武と佐藤健主演のアクション映画『いぬやしき』
近頃はCGを使った迫力の映像を多くの映画で観ることができるけれど、今回紹介するのは人間をまるまるデジタルで作ってしまう、とんでもない技術を使った映画。『GANTZ』で知られる奥浩哉の原作コミックを、佐藤信介監督が映画化した話題作です。主人公は定年を間近に控えるさえないサラリーマンの犬屋敷。会社や家族から疎外された日々を送る中、謎の事故に巻き込まれて驚異の力を手に入れることになります。一方、同じ事故に巻き込まれた高校生の獅子神は、己の力を思うがままに使い大量殺人鬼に。獅子神によって傷つけられた人々を救い続ける犬屋敷は、彼の暴走を止めるために立ち上がります。 人々を救う正義のヒーローが中年のサラリーマンという設定もおもしろいけれど、16年ぶりの映画主演となる木梨憲武を犬屋敷役に抜擢したのもキャスティングの妙。さらに、『るろうに剣心』シリーズなどで正義のヒーローを演じてきた佐藤健が初めての悪役に挑戦し、大量殺人を重ねていくアンチヒーローの獅子神を冷酷に、でもどこかセクシーに演じています。笑いを封印して犬屋敷になりきった木梨憲武と、卓越した身体能力を駆使して壮絶なアクションをクールにこなす佐藤健の対照的な組み合わせは見応えたっぷりです。 そして最大の注目が、冒頭で紹介した俳優の演技をCGだけで表現した映像。犬屋敷は全身機械化されている設定なので、このデジタルヒューマンという技術を使わなければ実写化ができなかったそう。俳優自身と遜色ないCG映像を作り上げるために、人間のデータを360度採取できる機材を使い、首のシワや髪の毛1本までデータ化。それをもとにCGを作り上げ、俳優ではなくCGが演技をする画期的なシーンが出来上がったそう。実はこれは日本の実写映画では過去に例がない技術。どのシーンがCGなのか、探してみるのも楽しいかも! ちなみにクライマックスで犬屋敷と獅子神がバトルをくり広げる新宿の街は完全にCGで作成。迫力あるリアルな映像にも注目を。 (文/松山梢) ●公開中 ©2018「いぬやしき」製作委員会 ©奥浩哉/講談社