多部未華子、今月は『ウォーク・イン・クローゼット』を読了!
服とは武装? リラックス? 同世代の生活がリアル
今回紹介するのは、モア世代の気持ちを洋服をからめながら描いた小説です。主人公の早希は洋服大好きな28歳。でも、自分の好みより、人からの印象を優先した服を選びます。一方、早希の幼なじみでタレントのだりあは、早希が憧れる大人っぽく洗練された服を持っていますが、だりあにとって服は眺めるもの。ウォークインクローゼットに並ぶ服に、仕事の野心をかきたてられるのだと言います。持っているアイテムは違うものの、洋服を現実の“武装用”と考えるのがふたりの共通項です。 私が服に求めるのは、人に与える印象というより、自分にとっての着心地のよさ。でも、会社勤めの友人も多いので、服に着心地以外を求めざるをえないことは理解できます。また、洗剤を使い分けながら洗濯に情熱を燃やす早希にハッとしました。実は私も、掃除するツールを使い分けて床をきれいにすることにこだわりがあって(笑)。 早希とだりあの友情に、女友達と私自身との関係を重ねたりして、日常の細かい部分までリアルに読めたこの作品。ちなみに、読んでいる最中、だりあ役にぴったりの女優さんが思い浮かんだんです! 普段、読書中に実在の人を想像することはあまりないので、めずらしい体験ができた一冊でもありました。
『ウォーク・イン・クローゼット』綿矢りさ
--------------------- MORE2016年2月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 取材・文/石井絵里 撮影/露木聡子 ヘア&メイク/赤松絵利(esper.) スタイリスト/轟木節子 ---------------------