話題のステージの中から、キーワードに沿ったイチ押し舞台、そして2本のおすすめをご紹介します。

【今月のキーワード】堤×橋本、名コンビ誕生の予感!

映画『恋におちたシェイクスピア』の脚本家としても知られる、英国劇作家の巨匠トム・ストッパード。彼が、俳優、そしてオーケストラのために書き下ろした本作では、音楽が単なるBGMとして存在するのではなく、台詞と同じ重さを持ちからみあう。通常、ステージの上にはいないオーケストラが35人並び、音楽を奏でるさまは、圧巻だろう。そこで熱演を繰り広げるのは、舞台経験豊富な堤真一とA.B.C-Zのメンバーとして活躍する橋本良亮。堤は、誹謗罪でつかまった政治犯、橋本はオーケストラを連れているという妄想にとらわれた男を演じる。ふたりは“アレクサンドル・イワノフ”という同じ名前を持ち、精神科病棟に収監される設定だ。堤の絶対的な存在感と、橋本のフレッシュな魅力が、どんな化学反応を起こすのか注目されるが、この意外な顔あわせは、名コンビになる予感十分! 共演は、その演技力が高い評価を受けている斉藤由貴、大根仁監督によるリメイクも話題になった韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』のシム・ウンギョン、月9ドラマ出演で知名度を一気に上げた小手伸也ほか。

ストッパードを語るうえで、『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』も欠かせない。シェイクスピアの『ハムレット』の終幕で、題名どおりにたった一行でその人生を片づけられてしまった脇役ふたりにフォーカスをした、現代演劇の傑作だ。日本では、2000年に生瀬勝久×古田新太、17年に生田斗真×菅田将暉で上演された。哲学的で美しいテキストは、ステージで俳優が発する台詞として触れる以外に、本で読み込むのもおすすめ。
堤真一さんと、『A.B.C-Z』橋本良亮の画像_1
【今月のイチ押し☆ステージ】『良い子はみんなご褒美がもらえる』

社会の常識からはずれたというレッテルを貼られた政治犯と、精神障害を持つアレクサンドル・イワノフ。同じ名前のふたりの男が精神科病院に収監され、同室となり、それぞれの自由を主張する。演出は、英国ロイヤル・バレエ団のメンバーで、振付師としても活躍するウィル・タケット。4/20~5/7 TBS赤坂ACTシアター(ほか、大阪公演あり) ●パルコステージ ☎03・3477・5858
堤真一さんと、『A.B.C-Z』橋本良亮の画像_2
【今月のイチ押し☆ステージ2】『トム・ストッパードⅢ ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』

ストッパードの出世作を、演出家としてもファンの多い小川絵梨子が翻訳。ハムレットの学友であるがゆえに、運命に翻弄されるあわれな脇役ふたりを主人公にした物語。(ハヤカワ演劇文庫/¥1200)

オススメステージは、『こそぎ落としの明け暮れ』と『空ばかり見ていた』。

堤真一さんと、『A.B.C-Z』橋本良亮の画像_3
『こそぎ落としの明け暮れ』

俳優・富岡晃一郎と脚本・演出家の福原充則が主宰を務める劇団『ベッド&メイキングス』。第6回となる公演は、福原が第62回岸田國士戯曲賞受賞後、初めて書き下ろした長編。注目の若手女優、安藤聖、石橋静河らが出演することでも注目が集まる。◆3/15~27 東京芸術劇場シアターイースト ●サンライズプロモーション東京 ☎0570・00・3337
堤真一さんと、『A.B.C-Z』橋本良亮の画像_4
『空ばかり見ていた』

何気ない言葉のやり取りの中に、人間の心理を巧みに描き出す岩松了。その新作は反政府軍という特殊な設定の中での日常を描く。首領の妹の恋人でもある兵士・多岐川役に、岩松があて書きした森田剛。勝地涼、平岩紙など演劇ファンに愛される俳優が集まり、共演者も豪華。3/9~31 Bunkamuraシアターコクーン(地方公演あり) ●Bunkamura ☎03・3477・3244
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MORE2019年4月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 原文/小泉咲子
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