ハラハラしっぱなし! 天才チェスプレイヤーの物語。映画『完全なるチェックメイト』
この映画は『スパイダーマン』シリーズのトビー・マグワイアが、IQ187のチェスの天才、ボビー・フィッシャーを演じた、真実をもとにした物語です。
アメリカ合衆国とソビエト連邦が世界を東西に分けていた冷戦時代は、武力以外のもの──スポーツや音楽、アートなどで二大国家は戦いを続けていました。チェスもそのひとつです。将棋は知っていてもチェスは知らない……という日本人は多いと思いますが、1972年に開催されたチェスの世界大会はものすごく盛り上がったのです。それぞれの大統領が影のセコンドとしてサポートするほど! 理由は、24年間チャンピオンのタイトルを守り続けてきたソ連を脅かす挑戦者が現れたこと。それがアメリカのボビー・フィッシャーです。
ボビーがいかにしてチェスと出会い、国民的英雄となっていったのかという彼自身の人生ドラマと、世界を驚かせた究極の頭脳戦と言われる1972年の世界選手権を描いていきます。チェスのルールを知らなくても十分に試合の面白さが伝わってくるのは、ボビーの人間性が深く映し出されているから。幼い頃の環境からくる「誰かに常に見張られているのではないか?」という強迫観念や、チェスによって誘発されるある種のパラノイアが、試合の緊迫感に重なり合うことで生まれるハラハラドキドキ感に釘付けです! 天才だけどワガママで、努力家で、純粋で、周りから愛されたボビーから一瞬も目が離せません!
(文/新谷里映)
●TOHOシネマズ シャンテほかにて上映中
Artwork ⓒ 2015 Pawn Sacrifice, LLC. Motion picture ⓒ 2014 Pawn Sacrifice LLC.