62分後のゾクッとする仕掛けに注目! 映画『ピンクとグレー』
人気俳優の白木蓮吾(中島裕翔)は6通の遺書を残して、ある日突然死んだ。第一発見者となった幼なじみの河田大貴(菅田将暉)は、その遺書に導かれるようにスターの地位を手に入れるけれど……。加藤シゲアキの小説デビュー作『ピンクとグレー』を、行定勲監督が映画化しました。
幼なじみの蓮吾と大貴は、同じ団地で育ち、同じ青春時代を過ごし、芸能界で活躍するという同じ夢を追いかけてきましたが、光を浴びるのは蓮吾ばかり。ふたりは次第に距離を置くようになり、やがて蓮吾の死で永遠の別れを迎えることに。原作小説を大胆にアレンジした映画では、幕開けから62分を境に大きくドラマが変わる“ある仕掛け”が用意されています。
仲の良かったふたりが徐々に決裂していくまでを描いた前半。親友の死を受け止め、蓮吾を追いかけるように芸能界で生きようとする大貴の迷いと葛藤を描いた後半。前半から後半へと切り替わる瞬間にドキッとさせられ、その先に待っている人間の本性、エグさ、欲望に、ぜひゾクッとさせられてください。
赤でも白でもないピンク、黒でも白でもないグレー。「ピンクとグレー」がどちらも曖昧な色であるように、人の本当の気持ちも実は曖昧で分からないものなのかもしれないし、分からなくていいものなのかもしれない。でも、大切なものは必ずあるはず──。羨望、嫉妬、困惑、憤怒、決断……さまざまな感情を投げかけてくるだけでなく、ハッとする気づきをもたらしてくれる青春映画です。
(文/新谷里映)
●1/9〜全国ロードショー
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