公開中&近日公開予定の話題作の中から、キーワードに沿った2本のイチ押し映画と、その他のおすすめ映画をご紹介します。

【今月のキーワード】ミュージカルになった“生ける伝説”

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キャリアはすでに50年。1950年代以降で世界一売れたシングルの記録やサーの称号を持つエルトン・ジョンは、紛れもなく生ける伝説だ。『ロケットマン』はそんな彼のキャリアの前半部分を描いた物語。監督は『ボヘミアン・ラプソディ』を製作途中で解雇されたブライアン・シンガーの後任として、最終監督を務めたデクスター・フレッチャー。生い立ちを時系列になぞるのではなく、ドラマティックに脚色してミュージカル映画に仕上げ、少年時代のエルトンが真っ暗なベッドルームで想像のオーケストラを前に指揮をするシーンなど、マジカルな描写をたっぷりと盛り込んだ。そして最大の見どころは、知られざるエルトンの孤独な人生。自分に無関心な両親への絶望、恋人の手痛い裏切り、親友への叶わぬ想いなど、誰からも愛されない悲しみを募らせるのと反比例するように、みるみるド派手な衣装に身を包んでいくパフォーマンスは、胸が締めつけられるほどエモーショナル。主演のタロン・エガートンが吹替えをせずにエルトンの楽曲を歌い、見事な美声を披露しているのも必見だ。

【今月のイチ押し★シネマ1】『ロケットマン』

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イギリス郊外のピナーに生まれた少年レジナルド・ドワイトは、けんかが絶えない両親のもとで孤独に暮らしていた。ところが天才的なピアノの才能を見出され王立音楽院に入学。ミュージシャンになることを決意し、エルトン・ジョンと改名する。●8/23〜全国公開 ©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

【今月のイチ押しシネマ2】『キングスマン』

残念ながら『ロケットマン』では封印しているものの、タロン・エガートンの素顔はとってもキュート。出世作『キングスマン』では、イギリス紳士らしいスーツに身を包み、スタイリッシュなアクションを披露している。ちなみに続編『キングスマン:ゴールデン・サークル』には、監督が大ファンだったため1作目から熱烈オファーしていたという、エルトン・ジョンが本人役で出演。度肝を抜く爆笑の演技を見せているので、続けて観るべし!
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タロン・エガートン演じる不良少年が、世界最強の紳士スパイにスカウトされ、一流に成長するまでを描いたアクション。Blu-ray¥1800・DVD¥1280(発売元:KADOKAWA/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

【まだまだあります、おすすめシネマ!】『ダンスウィズミー』と『あなたの名前を呼べたなら』

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『ダンスウィズミー』
ミュージカルを毛嫌いするヒロインが、催眠術によって音楽がかかると踊らずにはいられない体になってしまうコメディ。オーディションによって選ばれた三吉彩花がチャーミングな歌と踊りを披露している。監督は『ウォーターボーイズ』の矢口史靖。●8/16〜全国公開 ©2019「ダンスウィズミー」製作委員会
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『あなたの名前を呼べたなら』
建設会社の御曹司と農村出身のメイドとの恋を描いたインド映画。本作で長編デビューした女性監督ロヘナ・ゲラが、インドに根強く残る階級問題と差別に対し、恋愛映画を通して変革を起こそうとつくり上げた意欲作。●公開中 Bunkamuraル・シネマほか ©2017 Inkpot Films Private Limited,India
原文/松山 梢