娘の結婚相手が全員外国人!? フランスで大ヒットしたコメディ映画『最高の花婿』
近年『最強のふたり』や『エール!』が日本で話題を呼んだことからもわかるように、フランスのコメディ映画にはハズレがありません。ブラックなユーモアとシュールな世界観、風刺やウィットに富んだ台詞が満載で、ときに身体的なハンディキャップといった触れづらいテーマをも軽やかに笑いに転換して問題を浮き彫りにする、センスの良さを持ち合わせているのです。今回紹介する『最高の花婿』も例に漏れず。
舞台となるのはフランスのロワール地方に暮らす敬虔なカトリック教徒のヴェルヌイユ家。夫婦の3人の娘たちは、アラブ人、ユダヤ人、中国人と次々結婚。残る末娘だけが最後の希望だったのに、現れた結婚相手はなんとコートジボワール生まれの黒人だったのです。そもそもこの映画が製作されたキッカケは、フランスの異人種間結婚が世界1位だという統計資料。さらに別の統計では、他のヨーロッパ諸国の異人種間結婚が3%に過ぎないのに、フランスでは全体の20%近くに及ぶという驚きの事実が! 様々な宗教儀式や食事のルールまで、まったく噛み合わない一家のドタバタはリアルな現実なのかも!?
「イエスは神の子よ」と孫に教えるヴェルヌイユ夫人に対し、アラブ人とユダヤ人の婿たちが「イエスは神の子じゃない、単なる預言者だよ」と子供たちに耳打ちするシーンなんか、宗教の違いを端的に表現した笑えるシーン。そうやって彼らを笑っているうちに、文化や宗教、移民問題などをいつの間にか理解してしまうのがこの映画のすごさなのです。そもそも日本人同士の結婚だってトラブルは起きるもの。違いを楽しみ、受け入れることの大切さを教えてくれます。ちなみに4人の娘たちのタイプの違うウエディングドレス姿もキュート♡ 結婚式を控えている人もチェックして。
(文/松山梢)
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