SixTONES松村北斗インタビュー

普段からよく本を読み、音楽を聴き、休日は映画館や美術館へ足を運ぶ。そんな自他共に認める“メガネが似合う文化系男子”、松村北斗さんが語る、メガネとカルチャーのハナシ。

SixTONES松村北斗が一気見したアニの画像_1
松村北斗

まつむら・ほくと●1995年6月18日生まれ、静岡県出身。6人組アイドルグループSixTONESのメンバーとして2020年にCDデビューし、最新シングル『CREAK』が8月30日に発売予定。俳優としても活躍中で、映画の待機作に10月13日公開の『キリエのうた』、来年公開予定の『夜明けのすべて』など。西畑大吾(なにわ男子)とのダブル主演ドラマ『ノッキンオン・ロックドドア』(テレビ朝日系・土曜23:00〜)に出演

ミニマルなメタルフレームで本と出合う日

『ミュージックステーション』出演時に“松村北斗”ではなく“メガネの人”としてトレンド入りしたことも。ファッションの一部としてメガネを楽しむ僕はライブや音楽番組でもかけることが多くて。家では20を超えるアイウエアが常に出番を待っているけど、お気に入りは“若々しくない”シャープでシンプルなメガネ。

about 最近の読書ライフ

「最近、気分の変化が激しくて、一冊の本をじっくり読み進めることができない。だからこそ、僕が手に取るのは主にエッセイ。1本もしくは2本、軽く読んでは閉じてを繰り返しています。今、読んでいるのは幸田文さんの『崩れ』。映画『夜明けのすべて』の撮影中、三宅唱監督から上白石萌音さんに、上白石さんから僕に、『とにかく一度、読んでみて』と伝わってきた作品。著者がさまざまな自然の“崩れ”を訪れて書く。その言葉がときに美しく、ときに恐ろしく、胸に響くんです」

トラッドなブロウフレームでアートを楽しむ日

先ほども言ったとおり、“若々しくないメガネ”が好き。ただ、最近、好きな感じのメガネが、世間で “ザ・モテメガネ”としての地位を確立。それ以来、かけるのが恥ずかしくなって。可愛いし、好きだからかけたいんだけど、モテを狙っていると思われるのはイヤ。そんな悩ましい日々を送っている。

about 忘れられないアート

「僕にはめちゃくちゃ好きな絵画がある。コローの『コローのアトリエ』という作品だ。そこには、キャンバスの前に座る少女が描かれているのだけれど、少女が赤い髪飾りをつけていて。その赤が目に飛び込んできた瞬間、自分でも驚くほど胸がドキドキと高鳴った。それはまるで、恋におちたような感覚。“もっと見たい”気持ちが絵画への興味を広げてくれた。この『コローのアトリエ』の前で、僕のアートの歴史は始まったんです」

カジュアルな太めセルフレームでアニメを一気見する日

太くて大きめなセルフレームのメガネを見かけると思い出すのが、中学生の頃にはやった“アラレちゃんメガネ”。周りもみんなかけていたし、僕もかけた。黒縁の大きなフレームが特徴のそれが、僕のファーストメガネだった気がする。

about 一気見したアニメ

「一気見をするために必要なものは“チャンス”と“体力”。長い時間、テレビ画面を見続けるのも、起き続けるのも、体力がいるし。単純にそれが許されるほどの時間はめったにつくれなかったりもする。そんな僕が最近、一気見したのがアニメ『ちいかわ』。すでに漫画を読んでいたから“アニメは見なくていいかな”と思っていたはずなのに、うっかり見始めたら止まらなくなってしまった。『ちいかわ』はいい、ちっちゃくて可愛くていい。僕も『ちいかわ』みたいに生きてみたかった。身長177㎝で肩幅広め、わりと大きめの僕は、そんな憧れの視線で『ちいかわ』を眺めている」

クラシカルなコンビフレームで映画を観にいく日

基本はコンタクトレンズで、その上からダテメガネをかけるのが松村流。度入りのメガネをかけるのは“家の中”とか“見た目を気にしなくていい時だけ。そんな日によく活躍するのが“のび太くん”を目指して買った、真ん丸なフレームのメガネなんですよ。メンバーからは「どんだけ“のび太くん”なの!?」とツッコまれるけど、僕はそれがいたく気に入っている。

about 人生を変えた映画

「僕の人生を変えた映画といえば岩井俊二監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』。それまでも、映画を“面白いな”と思いながら観ていたけれど、本当の意味で僕が映画を好きになったのはこの作品に出合ってから。なんだろう、自分の中に猛烈に“好きだ!”と思うものがあって……。たとえるなら、それは“初めて大好物を食べた時”のような感覚。そこから“食べること自体が好きになった”みたいな。僕は岩井監督の作品を夢中になって観た。すると、どれも素晴らしく、同じ理由の“好き”があった。だからこそ、映画『キリエのうた』への出演が決まった時、最初は“ドッキリ”かと思った。憧れの岩井監督の現場で、かけがえのない素晴らしい時間を過ごした。いくら『あの店のラーメンが好き』と思って作ってもすべてを真似することはできないけれど、“この調味料を使っている”というヒントをいくつも教えてもらえた、そんな経験ができた気がしている」

ストリートなクリアフレームで音楽に浸る日

クリアフレームのメガネは好きだし、実際に持っている。主に活躍するのはプライベートというより、ステージの上。音楽が似合うこういうデザインはライブでつけることのほうが多いかもしれない。

about 聴き続けている音楽

「好きな曲に出合うと、そのアーティストのほかの曲も聴きたくなり、そこからさらに関連アーティストや同じジャンルへ……。僕の音楽の興味はどんどん広がっていくばかり。でも一方でひとつの曲にハマると長い。好きな曲は飽きずに聴き続け、とても長いつきあいになる。たとえば、anewhiteの『curtain call』や悒うつぼの『籠り唄』。もう何年も前から“好きな曲”に挙げているけれど、今でもやっぱり好き。メロディの運びも、歌詞も、すべてが僕のツボをめがけて流れ込んでくるんです」

取材・原文/石井美輪 ※MORE2023年9・10月合併号掲載