映画初主演のアイナ・ジ・エンドが語る、「夢の叶えかた」「不安の乗り越え方【インタビュー後編】
元BiSHのメンバー、アイナ・ジ・エンドさんが、岩井俊二監督の映画『キリエのうた』で初主演を務めます。作中では演技だけでなく、主題歌を歌唱。さらに劇中歌6曲を作詞作曲して歌い、得意のダンスも披露しているそう。松村北斗(SixTONES)さんや黒木華さん、広瀬すずさんなど、共演者も超豪華。「絶対観たい!」という声多数な、話題の作品です。【インタビュー後編】では、アイドル、シンガー、俳優……どんどん活躍の場を広げてきたアイナさんが「夢を叶えるためにやっていること」を聞いてみました。
弱音を吐かないことで、夢を叶えるパワーが生まれる
――映画『キリエのうた』では、主人公・キリエが歌手として成長し、活躍していく様が描かれていました。アイナさんご自身も、歌手として俳優としてどんどんステップアップされていますが、夢や目標を叶えるためにしていることはありますか?
「愚痴らないこと」「弱音を吐かないこと」ですかね。愚痴る人に協力したいと思う人っていないと思うんです。もちろん、家族や恋人とか、ごくごく親しい人には聞いてもらってもいいと思うのですが、仕事仲間や距離が遠い人に悩みや弱音をビャーって言っても、プラスには作用しない気がして。何かを叶えたい時はグッとこらえて、そのエネルギーが爆発した瞬間にうまくいくことが多いなと思っています。
――ちなみに最近、弱音を吐きたくなったことはありますか?
ここ5、6年くらい、そういう瞬間はなかったんですけど、BiSHが解散してふと不安になったことがありました。BiSH時代はシンプルに忙しくて、悩む時間もなかった。でも、週5だったライブが月1になって体力に余裕が出た時、逆に気持ちの余裕がなくなって。たとえば街ゆく人たちが幸せそうに笑っているだけで「いいな」って思っちゃったりしたんです。ただ、そういう時こそポジティブな気持ちを人に伝えるべきだなと思って、楽曲制作など目の前のことに打ち込むようにしました。
ポジティブな感情を恥ずかしがらずに伝える。これができるようになって変われた
――アイナさんが作中で演じるキリエは、自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手な女の子でしたが、ご自身は得意な方ですか?
全然得意じゃなくて(笑)。気持ちを言葉にするのが下手すぎて誤解されやすいタイプなんです。本当はもっとピュアな心でただ「好き」って伝えたいのに、なんだか遠回しに伝わっちゃったな、嘘っぽくなっちゃったなと、落ち込むことがよくあります。でも、“それでもいいから自分が思っているプラスの感情は人に伝えよう”とここ2年くらいで考えるようになりました。これはレギュラーでやらせていただいているラジオ番組のおかげ。だんだん思っていることを話すのに抵抗がなくなってきたんですよね。それまでは本心を話したいときこそ、照れ隠しでちょけてしまって。本当はもっと真面目に考えているのに、そんな自分がこっ恥ずかしかったり。でも、そういうのをやめてからのほうが自分らしく話せるようになった気がします!
いつまでも新鮮な表現と美しさを追い続けるのが夢
――――では、今後の夢を教えてください!
「腐らないようにする」ですかね。いつまでも新鮮な魚みたいにピチピチしていたいんです(笑)。花っていつかドライフラワーになるじゃないですか。それはそれで美しいけど、私は元気な魚のようにずっと泳いでいたいなって。具体的なところで言えば、いつか「セリフのない舞台」をやってみたいんです。小さな劇場でも構わないので、ダンスと歌で構成された舞台に挑戦してみたい。でもまだ今は無理かな(笑)。もっとスキルアップして、40歳くらいで叶えるのが目標です!
アイナ・ジ・エンド プロフィール
あいな・じ・えんど●大阪府出身。2015年3月に“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバーとして活動を始動。2021年よりソロ活動を本格化させる。2023年6月29日に東京ドームのラストライブにてBiSHが解散し、現在は表現者としてマルチに活躍中。10月18日にはKyrie名義にてアルバム「DEBUT」を発売。
音楽映画『キリエのうた』 は10月13日(金)公開
【STORY】
歌うことでしか声を出すことができない路上ミュージシャンのキリエ(アイナ・ジ・エンド)はある夜、過去と名前を捨てた謎の女・イッコ(広瀬すず)と出会う。イッコはキリエの歌を聴きマネージャーを買って出るが……。石巻、大阪、帯広、東京で歌をつむぎながら、過去にとらわれた青年・夏彦(松村北斗)や教師のフミ(黒木華)、イッコやキリエの過去が交差する、忘れられない物語。
ドレス¥126500/イザ(ヌメロ ヴェントゥーノ) 中に着たキャミソールワンピース¥53760/リディア(スーベニア) ピアス¥10450/ザ・ウォール ショールーム(ジュスティーヌ クランケ) 靴¥26400/ザ・ウォール ショールーム(センソ)
撮影/渡辺宏樹(TRON) ヘア&メイク/KATO(TRON) スタイリスト/菅沼愛(TRON) 取材・文/衛藤理絵