ひるむことなく、ただ、前へ。 岩本照演出×美 少年主演の新しい舞台『少年たち』の本気度

現在、新橋演舞場で上映中の舞台『少年たち 闇を突き抜けて』。なんと今年は美 少年が単独初主演を飾ります! さらに、構成・演出・振付は、Snow Manの岩本照さん。長い歴史を紡いできた本作品に、今年はどんな変化が!? 気になるゲネプロの様子をモア的視点でレポートします!

※この先ネタバレがあります

舞台『少年たち』ヒストリー

本作の初演は1969年(!)。以来、時代に合わせたアレンジを加えながら、上演が重ねられてきた歴史のあるシリーズなんです。今回は3年連続の出演となる美 少年が、初の単独主演を務めます。彼らをバックアップするのは、昨年から本シリーズに合流し、強烈なインパクトを残した内博貴さんとジャニーズJr.たち。さらに、今年は、演出・振付をSnow Manの岩本照さんが手掛けたことでも話題に。

2023年版“少年たち”ストーリー

舞台は20XX年。戦争に突入し、崩壊した近未来の日本。

敵対していた、南地区の少年(佐藤龍我、浮所飛貴)と北地区の少年(金指一世、那須雄登、藤井直樹)は、生き残るために罪を犯す。一方、普通の学生だった岩崎大昇は家族を失った失意と混乱の最中、警察に連行されてしまう。彼らは冷酷な看守長(内)が暴力で支配する少年刑務所へと送られる。

監獄の中でも「」と「」に分かれて、互いをライバル視しながら喧嘩にあけくれる少年たちだったが、岩崎の子供のような純粋さに触れ、少しずつ笑顔を取り戻していく。しかし、暴力で支配する現看守長がいる限り、一生、塀の外に出られないと悟った彼らは、互いに手を取り合って脱獄を試みるのだが……。

モア的視点1:すべての言動には理由がある

今年の「少年たち」は、美 少年単独主演のためか、登場人物の背景や描写が、とても丁寧に描かれていました


家族を失ったショックで記憶をなくした岩﨑。
刑務所の荒くれ者・佐藤は、小さいけれどとてもあたたかい夢を持っている。
那須と浮所は、かつてともにダンスに情熱を傾けた元親友同士。
病気の弟を持つ、心優しき兄・藤井。
戦争で人を殺めたトラウマを抱える元少年兵・金指。
さらに、あの非情で冷酷な看守長・内にも、少年たちを憎悪する理由があり……。


戦争という逃れられない運命の歯車によって、人生を大きく変えられた人々の葛藤が痛いほど伝わってきました。

美少年 少年たちの演技中の写真

モア的視点2:叫ぶ! 走る! とぶ!

まず、印象に残ったのは、メンバーからほとばしる熱量の高さ
例えば、岩﨑の過去の場面。「……あの中に僕の家族がっ!!」と膝をついて泣き叫ぶ姿に、目の前にいるのに何もできない無力さと絶望が伝わってきました。また、ともに一緒に夢を追いかけたい浮所と、一向に光が見えない現状にヤケになっている那須が互いの感情をぶつけ合うシーン。

俺たちの夢、叶えるんじゃないのか? お前、あきらめるのかよ!」と那須がガクガクするほど胸倉を掴みながら浮所が叫べば、那須が浮所を数メートルも突き飛ばしながら、振り絞るように叫び返す。「夢を追いかけるのはくだらねぇって!!」。
戦争が引き起こした怒りや悲しみ、諦めたいけど諦めきれない、でも……。そんなやり場のない感情が渦巻くシーンを深く、熱く表現していたのでした。

美少年の舞台の写真

また、新構成となってセリフまわしやストーリーのテンポがよくなったためか、メンバーの運動量も例年以上!?(※編集部調べ) 看守の目を逃れるため、少年たちはとにかく走る! そして、よくケンカをするので吹っ飛ぶ! また、恒例のチーム対決では大縄跳びが行われました! 

負けたチームはバービージャンプ(編集部注:立った状態から腕立て伏せの姿勢になり、立ち上がる流れでするジャンプのこと)5回というルールのため、少しでも体力を温存したい少年たちは、全員ガチモード。

先攻の青チームは57回(一発勝負なのにすごい!)。赤チームから「ぜってーダメだ……」という弱気な声が漏れる。しかし、逆に勝負魂に火が付いたのか、後攻の赤チームは60回を記録。今度は青チームから「マジかー!」という悲鳴が。罰ゲームが終わるころには、青チームの誰ひとりとして声をあげていませんでした……。
本当にお疲れさまでした!

モア的視点3:圧巻の歌とダンスパフォーマンス

本シリーズで欠かせないのは、やはり歌でしょう!

「闇を突き抜けて」「君にこの歌を」をはじめ、「時の彼方」「LOVE」「あいつの分も生きる」など、歌い継がれてきた楽曲が歌われ、物語を盛り上げます。互いに思いをぶつけ合う熱いダンスもかかせません。収監される前の少年たちが、北地区と南地区でにらみ合うシーンでは、緊張や不穏さを立ちのぼらせる、手に汗握るダンスバトルも必見。

さらに、本編終了後は出演者による“SHOW TIME”へ。美 少年は、ポップナンバー「Sing it」と、岩本さんが振付を手がけたダンスナンバーの新曲「Flicky」をパフォーマンス。爽やかにきらめく彼らと、重低音にのせてゴリゴリに踊るマッチョな彼らを披露してくれて……ただただ眼福の時間でした。

モア的視点4:岩本照イズム、光る

美少年 少年たち中のパフォーマンス

新曲「Flicky」

本公演の構成・演出・振付は、Snow Manの岩本さん。ストイックに努力する彼の人柄と、頼れる先輩の声に応えようと、全力で舞台にのぞむ美 少年との、汗と涙と努力のケミストリー。

気合を入れるときの「ハッ!」「ヤッ!」という掛け声、刑務所の高い壁をよじ登るといった筋力にこだわるストイックさ。作品に対して、常に最善を尽くす「岩本照イズム」とも呼ぶべきポイントが、全編にわたって散りばめられていました。

最後に、メンバーからのコメントを。

 

岩﨑さん:今回は演出にSnow Man岩本照くんが参加してくださいました。今までとは違う新しい『少年たち』、新しい美 少年を皆様にお届けできると思います。

佐藤さん:「お芝居や新曲の振り付けなど細かいところまで丁寧にアドバイスをいただき、美 少年の新たな一面を引き出していただきました。

那須さん:時代に抑圧された少年たちの葛藤を、今の僕たちが全力のエネルギーを注ぎ込んで表現します。

浮所さん:この舞台を見て、どこか心が温まるような、明日も生きようと前を向いてもらえるようなエネルギーを感じていただけたらとても嬉しいです。

藤井さん:皆様に特別な時間をお届けできるよう、新たな気持ちで演じさせていただきます。

金指さん:この歴史ある舞台を通して、皆さまに今の僕たちにしか出せない最高のパフォーマンスをお届けします。

 

逆境にひるむことなく、ただ、前へ。

美 少年が送る新しい『少年たち』は、新橋演舞場にて全35公演を駆け抜けます!

公演詳細

『少年たち 闇を突き抜けて』
2023年10月4日~28日
東京・新橋演舞場

構成・演出・振付:岩本照(Snow Man)
出演:美 少年(岩﨑大昇、佐藤龍我、那須雄登、浮所飛貴、藤井直樹、金指一世)/ ジャニーズJr.(阿達慶、竹村実悟、千井野空翔、関翔馬、渡邉心、髙橋曽良、堀口由翔、木村来士) / 内博貴

撮影/齊藤晴香 文/中川薫