【松下洸平のプライベートはスーパーポンコツ⁉】インタビュー後編
舞台、映画、ドラマのみならず、シンガーソングライターとしても活躍する松下洸平さん。インタビュー後編では、子どもの頃から好奇心旺盛だったという松下さん流の“好き”の見つけ方や、人とのつながりを絶やさない方法、そして意外にもポンコツな素顔についてお聞きしました。
無闇にコミュニティを広げる必要はない
──MORE読者の中には、好きなことややりたいことが見つけられずに悩んでいる人もいます。
僕はちょっと恵まれていたような気がします。子どもの頃から好奇心がすごくあるタイプだったので、そういう性格に生んでくれた親に本当に感謝です。
ただ、もしも好きなことが見つけられずに悩んでいるのであれば、いろんな人と話をしてみるのがいいと思います。別にたくさんの人と出会って、おしゃべりして、闇雲にコミュニティを広くする必要はないと思うんです。身のまわりにいる家族や友人たちと話したり、一緒にご飯を食べたりするだけでも発見はいっぱいあると思います。僕自身がそうだったので。
身近な人とのつながりを絶やさないことが、興味のあることを見つけるヒントになるかもしれません。
──松下さんは、どうやってつながりを絶やさずにいられましたか?
これも恵まれていて、出会う人、出会う人が本当に素晴らしい人たちばかりだったので、「もう一回会いたい」という気持ちが、仕事を続けていく上でのモチベーションのひとつになっていたんですよね。
──“会いたいと思ってもらえる人になる”ではなく?
思ってもらえるかどうかは、わからないですしね(笑)。気に入られようとか、よく見られたいという気持ちは全然あるけど、そのことばっかり気にしていたら疲れちゃいますから。
できるだけありのままの自分でいて、「こんな僕でよければ、また一緒に仕事しましょう!」くらいのスタンスでいいと思います。
──「また会いたい」「もう一度仕事がしたい」という気持ちは、言葉にされるのでしょうか?
本当におこがましいんですけど、僕は言います(笑)。例えば『燃えよ剣』の時は、岡田准一さんや鈴木亮平さん、原田眞人監督に直接お伝えしました。言霊って本当にあると思うから。
それこそ『燃えよ剣』のオーディションに参加した時なんか、合否が出るまでちょっと時間がかかったんです。岡田さんが主演を務めることは聞いていたので、結果が出るまで「受かりますように、受かりますように」と心の中で思うだけでなく、街中にある広告に岡田さんを発見したら、めっちゃ挨拶するようにしてました。
──声は出さないですよね?
出します。ポスターと目があったら「お願いします!」って言ってました(笑)。これ、結構いつもやっていることなんです。一緒にお仕事ができそうな人たちに対しては、ポスターにも挨拶しちゃいます。
収録スタジオでは、一人で楽屋に戻れない!?
──それは独特ですね(笑)。プライベートについても聞かせてください。歌も歌えるしお芝居もできる、万能なイメージがあります。普段の生活の中で苦手なことや、ポンコツエピソードはありますか?
いやもう、普段はスーパーポンコツです。ぼーっとしているみたいで、他の人の楽屋とか全然違う会議室、収録スタジオに平気で入っちゃうんですよ。もうこれは直したい。
──逆に「俺、かっこいい!」と思う瞬間は?
そういうことがスマートにできた時ですよね。収録スタジオでは一人で帰ってこられないだろうと思われているので、マネージャーさんがトイレについてきてくれるんです。たまにマネージャーさんの手を借りずに自分の楽屋まで戻れた時は、めっちゃびっくりされます。もう、そういうときはドヤ顔です(笑)。
──ご自分のことは、好きですか?
好きになりたいなとは思います。もちろん「ふざけんなよ」と思うくらい嫌いになる時もあるけど、「めっちゃナイスだったぜ、今日の俺!」って思う時もある。半々くらいですよね。でもまずは自分のことは好きでいたい。自分を大切にできないと、人のことも大切にできないから。
──松下さんなりのご自愛の方法は?
あまり無理をしすぎないことですかね。
──とはいえ、テレビで見ない日がないくらい多忙な日々だと思いますが。
でもね、僕、仕事が好きなんですよ。こうやって話すことも好きだし。だから全然苦じゃないんです。ただ、仕事が1日に4〜5件重なってくるとさすがに疲弊するので、そういう時は、家でやらなきゃいけないことがあったとしても一旦「今日はやらない」と決めます。
──そんな松下さんが元気になる特効薬は?
すごくシンプルなことだと思います。好きな音楽をかけながら、家でお酒を飲む。友達とテレビ電話をすることもめっちゃ好きなんです。向こうは迷惑だと思うけど(笑)。
──お酒を飲むとどうなるんですか?
全然ウザ絡みとかはしないですよ! よく喋るし、よく笑うし、よく歌います。
──テレビ電話で生歌が聴けるお友達がうらやましいです! 最後に、12月13日にリリースされる2枚目となるフルアルバム「R&ME」についても教えてください。
僕の音楽のルーツはR&Bとかソウルとか、ブラックミュージックなんですけど。タイトルを考える時に、今の自分を落とし込んだ形にしたいと思いました。ファーストアルバムを「POINT TO POINT」というタイトルにしたのは、俳優と自分とか、自分とお客さんとか、点と点を線でつなげるイメージがあったからなんですけど、そこから1年がたって、制作を重ねていく中で今度は音楽と自分、リズムと自分ということを、胸を張って言いたいと思って、ルーツであるR&Bへのリスペクトも込め、「R&ME」としました。このアルバムを引っさげて、来年の1月から3月まで「KOUHEI MATSUSHITA LIVE TOUR 2024 〜R&ME〜」を全国12都市で開催します。自分史上一番大きい会場で行う一番長いツアーなので、ぜひ遊びにきてください!
Profile
まつした・こうへい●1987年3月6日生まれ、東京都出身。2008年より、自作曲に合わせて絵を描きながら歌を歌うパフォーマンスを開始、同年11月「STAND UP!」で洸平名義でCDデビュー。2009年よりミュージカル「GLORY DAYS」出演をきっかけに、俳優として活動を開始。2018年に舞台『母と暮らせば』、『スリル・ミー』の演技で第26回読売演劇大賞杉村春子賞・優秀男優賞受賞。第73回文化庁芸術祭 演劇部門新人賞受賞。2019年NHK連続テレビ小説『スカーレット』に出演。2021年8月『つよがり』で2度目のCDデビュー。2023年12月13日リリースの2nd アルバム『R&ME』を引っ提げ、2024年1月より東京ガーデンシアター2daysを含む自身最大規模の全国ツアーが決定。主な出演作は映画『燃えよ剣』、『ミステリと言う勿れ』、ドラマ『向こうの果て』、『やんごとなき一族』、『アトムの童』、『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』、『最高の教師1年後、私は生徒に■された』、『いちばん好きな花』など。
「WOWOW松下洸平祭り」
2023年8月より上演されたこまつ座『闇に咲く花』や、2022年11月にリリースした自身初のフルアルバム「POINT TO POINT」を引っさげて9都市で開催したライブツアー「KOUHEI MATSUSHITA LIVE TOUR 2022 ~POINT TO POINT~」を独占放送・配信。さらに出演作として、松本まりか主演・内田英治監督によるWOWOWオリジナルドラマ「向こうの果て」、岡田准一主演・原田眞人監督による映画『燃えよ剣(2021)』がラインナップされている。11月25日午後7時~放送・配信
撮影/峠 雄三 ヘア&メイク/KUBOKI(aosora) スタイリスト/丸本達彦(UNFORM) 取材・文/松山梢 衣装協力/SCYE HEUGN