今いちばん注目株の若手俳優ふたりが声優初挑戦!

藤本タツキ原作の劇場アニメ『ルックバック』で声優初挑戦した河合優実さんと吉田美月喜さんのインタビュー写真

劇場アニメ『ルックバック』で声優に初挑戦した河合優実さん(右)と吉田美月喜さん(左)

『チェンソーマン』『ファイアパンチ』などの話題作を手がけてきた人気漫画家・藤本タツキ氏による名作『ルックバック』がこの夏、劇場アニメ化されます! 主役の藤野を演じた河合優実さん(23)・京本を演じた吉田美月喜さん(21)のWインタビューをお届け。声優に初挑戦したふたりが、さまざまな葛藤の末に見出した活路とは?

「とにかく声を出して」藤野と京本に命を吹き込む

劇場公開に先立って行われた完成披露試写会で、原作はもちろん、映画の制作にも携わった「ジャンプ+」編集部員ら関係者にこぞって絶賛された優実さんと美月喜さんの演技ですが、実は意外なことにふたりそろって声優初挑戦! オーディションを勝ち抜いて獲得した役柄だといいます。

藤本タツキ原作の劇場アニメ『ルックバック』で声優初挑戦した河合優実さんと吉田美月喜さんのインタビュー写真

数日間しかない収録期間で、ふたりは、アニメーションとしては未完成状態の“動く絵コンテ”を観ながら、キャラクターに声を当てるアフレコ作業に臨みました。声優としての経験も十分な時間もない手探り状態のなかでふたりが大切にしたのは「とにかく声を出してみる」ことだったそう。

ー(動くとはいえ)ラフ絵に演技をのせる作業は、声優初挑戦のおふたりにとって、途方もなく大変だったのではないでしょうか?

劇場アニメ『ルックバック』劇中画像(藤野と京本)
優実さん
優実さん

「画面にキャラクターが映っていて、口が動いているまで絵が完成している場面もあるし、“ボールド”というらしいのですが『画面に“藤野”または“京本”というサインが出ている間にセリフを収めてください』という場面もありました。でも事前に勉強しようもないですし、どう準備するべきかもわからなかったので、演じる側としてガチガチに決め込んでいくというよりは、とにかく現場に行ってみて『みなさんとお話ししながら声を出していこう』と思いました」

美月喜さん
美月喜さん

「私も『複雑なことは考えないで、とりあえず声を出してみよう!』と思って収録に臨みました。台本と、ラフ映像と、“アニメーション台本の読み方指南書”といった資料をいただいて、家でイメージを膨らませていったのですが、いざブースで映像を見ながら声を当てるのは、感覚がぜんぜん違いました。わからないなりにとにかくいったん声を出してみて、それから(監督らに)いただく指示を信じて、演技を進めていきました」

ー何もかもが初体験の現場で得た、新たな気づきや学びはありましたか?

優実さん
優実さん

「『受けた指示を誇張するくらいの心持ちで声に出さないと、ニュアンスって変わらないんだなぁ』と思いましたね。映像作品の現場ではあまり感じたことがなく、新鮮でした。現場では、一度収録した声を映像にはめて見せてくださる“プレイバック”という作業をかなりやってくださって、『次はもうちょっとこういうニュアンスでやってみましょう』というふうに調整していくなかで、聞き直してもあまり変わっていないように感じることが多かったです。勉強になりました」

劇場アニメ『ルックバック』に藤野役で声優初挑戦した俳優の河合優実さん
美月喜さん
美月喜さん

「自分の演技が、普段いかに“声以外”の要素に頼っているのかを思い知らされました。監督らの指示に従って声を変えているつもりなのに、実際に聞いてみるとぜんぜん変わっていないように聞こえて、もどかしく思うことも。やっぱり声の演技って大切なんだなぁ!……と思い直しましたね。演技の幅が広がった感じがします。表情や仕草はもちろん、そこにプラスアルファで声がのってきたら、演技にもっと奥行きが持たせられますよね。といいますか、声優さんのすごさを思い知らされました」

劇場アニメ『ルックバック』に京本役で声優初挑戦した俳優の吉田美月喜さん
優実さん
優実さん

「なぜ声の色であんなにいろんなことが表現できるんだろうね? 本当にすごいよね。

私たちはふたりでスタジオに入ることができましたが、プロの声優さんたちは、絵もできていない状況でもおひとりで収録現場に入るケースも多いと聞きます。相手の声が聞こえない中、たったひとりで演技と向き合うなんて、考えただけですごい不安だし、すさまじいプレッシャーですよね。それなのに完成した作品には見事に声がはまっているんですよ。信じられません……!」

ー本作には、全編を通してほぼおふたりしか出演されません。たったふたりで臨んだ収録で、お互いに何か感じることはありましたか?

劇場アニメ『ルックバック』劇中画像
美月喜さん
美月喜さん

「“一緒にたたかっている感”がありました!」

優実さん
優実さん

「私もありました! 藤野のターンが終わって、京本役の美月喜ちゃんがマイクに向かう時に『頑張れ〜』と思ったし、美月喜ちゃんの声を聞いて私も感動していたし、お互いに影響を受けながらふたりで演じられたのがすごくよかったです」

美月喜さん
美月喜さん

「本作の初めのほうは基本的に藤野しか出てこないので、私は方言(秋田弁)の最終確認をしながらブースの外で聞いていました。優実ちゃん、すごく素敵な声だったし、本当に上手だなと思って聞いていたのですが、同じブースに入って一緒に演じるようになると、一生懸命取り組んでいるのが背中から伝わってきて、私も鼓舞されました。勇気をもらった感じです」

ー本作には原作の藤本氏のたくさんのメッセージが込められているといわれており、そこに共感し支持するファンが大勢います。『ルックバック』を愛する人たちにどんな思いで観ていただきたいですか?

美月喜さん
美月喜さん

「原作を読ませていただいた時から、藤本先生の思いをのせた“船”に、私も一緒にのせていただくような気持ちで演じました。もし、漫画だけでは理解しきれなかったり、ちょっと難しく感じるような部分があったとしても、映画を観て、改めて気づける部分があるんじゃないかと。藤野や京本が目の前で動き、声がのると、『ルックバック』という作品の解像度が一気にバッと上がるんじゃないかと思うんです。そうしたらきっと、原作をもう一度読み返してみたくなる。『あのシーンはそういうことだったのか!』と気づいてもらえるといいな……と思いながら、公開されるまでずっと緊張続きですけれど、今となってはむしろ楽しみになってきました」

優実さん
優実さん

「藤本先生は映画がお好きだと伺っています。大切な作品を映画化するにあたり、信頼できる制作陣に委ねてくださったことがとてもよくわかる現場でした。

漫画を映像化する場合、演者としては、原作を本当に大切にされているファンのみなさんに思いを馳せます。『期待に応えるもの、叶うものを見せたい』とプレッシャーを感じます。しかしこの『ルックバック』は、特報から本予告へと作品の全体像が徐々にあらわになっていく過程を見ているうちに、そうした戸惑いを吹き飛ばすような素晴らしいものになっていると思っていただけると確信しています。どうか安心して、劇場でどっぷりと作品の世界観に浸りながら観ていただきたいです」

劇場アニメ『ルックバック』はどんな作品?

2024年6月28日公開のアニメ映画『ルックバック』キービジュアル

劇場アニメ『ルックバック』キービジュアル

原作漫画「ルックバック」は、藤本氏が、コミック配信サイト「ジャンプ+」にて、2021年7月に読み切り作品として発表。公開初日に閲覧数250万以上を記録し、「このマンガがすごい!2022」オトコ編第1位にも輝いた伝説の話題作です。

ストーリーは、とある小学校の教室から始まります。学年新聞で4コマ漫画を連載する小学4年生の藤野(上画像/左/CV:優実さん)。クラスでも大評判で、自らの才能に絶対的な自信を持っていますが、ある日、同じ誌面に掲載された不登校の同級生・京本(上画像/右/CV:美月喜さん)の作品を見て、あまりのうまさに衝撃を受け、遊びも勉強もそっちのけで一心不乱に漫画を描くようになります。

劇場アニメ「ルックバック」本予告【6月28日(金)全国公開】 © 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

どんなに描いても京本との圧倒的な画力の差は縮められず、やがてあきらめてしまう藤野ですが、小学校の卒業式後、教師の依頼で京本の自宅に卒業証書を届けに行って、引きこもりだった彼女と初対面。「ずっと藤本先生のファンでした!」と告白されて以来、共同で漫画を描くようになり、商業誌に投稿するなどし、若くして才能を開花させていきますが……!?

劇場アニメ『ルックバック』劇中画像(藤野と京本)

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『借りぐらしのアリエッティ』『風立ちぬ』など、さまざまな人気アニメーション作品に主要スタッフとして携わってきた押山清高氏が監督・脚本・キャラクターデザインを担当。大好きな漫画と一心不乱に向き合い続けながら絆を育んでいくふたりの女性の姿が、実にみずみずしく、躍動感あふれる筆致で描かれる佳作です。ぜひ、劇場でご覧くださいね。

劇場アニメ『ルックバック』作品情報

2024年6月28日(金)全国ロードショー

原作/「ルックバック」藤本タツキ(集英社ジャンプコミックス刊)

監督・脚本・キャラクターデザイン/押山清高

キャスト/河合優実、吉田美月喜 ほか

配給/エイベックス・ピクチャーズ

© 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

PROFILE

俳優
河合優実

かわい・ゆうみ●2000年生まれ、東京都出身。映画『サマーフィルムにのって』(2021年)、映画『由宇子の天秤』(同)で第64回ブルーリボン賞 新人賞を受賞。映画『少女は卒業しない』(2023年)、ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(2024年)でそれぞれ初主演を務める。ドラマ『不適切にもほどがある!』(2024年)で主人公の娘・小川純子役を演じ大ブレイク。主演映画『あんのこと』(入江悠監督)も公開され、今いちばんの注目株。

俳優
吉田美月喜

よしだ・みづき●2003年生まれ、東京都出身。2017年にスカウトされ、芸能界デビュー。主演作に、映画『あつい胸さわぎ』(2023年)、『カムイのうた』(2023年)、『メイヘムガールズ』(2022年)、MBSドラマ『マイストロベリーフィルム』など。そのほか主な出演作に、Netflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』(2020年)、TBS日曜劇場『ドラゴン桜』(2021年)、日本テレビ『ネメシス』(2021年)など。舞台『デカローグ7』(新国立劇場:2024年6月21日~7月14日)では、主演・マイカ役を務めている。

劇場アニメ『ルックバック』公式サイト

撮影/齊藤晴香 ヘア&メイク/上川 タカエ(mod’s hair/河合さん)・横山藍(KIND/吉田さん) スタイリスト/杉本学子(WHITNEY/優実さん)・沓澤りさ(美月喜さん) 取材・文/沖島麻美

【衣装クレジット】
優実さん:すべてスタイリスト私物
美月喜さん:カットソー¥14300・ニット¥29700・パンツ¥37400・サロン¥37400/AOIWANAKA、イヤリング¥1650(ユー)・イヤカフ¥1850(アクセサリーショップ マリー)・右手リング¥2800・左手リング¥2000(ショーキー)/KARHTU シューズ¥4700/ワイズ プレスルーム(ワイズ) 
【SHOP LIST】
AOIWANAKA 03-6876-6855 
KARHTU 03-3486-0578 
ワイズ プレスルーム 03-5463-1540

エディター&ライター
オキシマガジン(沖島 麻美)

編集&ライター歴18年目の姉MORE世代。宝島社『InRed』『GLOW』→ハースト婦人画報社『ELLEgirl』を経て独立。ベテランプロ目線で厳選した人気の上質プチプラアイテムやお役立ち情報を続々お届けしています♡