【杉野遥亮さんインタビュー前編】ドラマ『磯部磯兵衛物語』で”脱力系”時代劇に挑戦
「週刊少年ジャンプ」で連載されていた、仲間りょうさん原作の漫画「磯部磯兵衛物語 ~浮世はつらいよ~ 」。浮世絵風の絵柄と、じわじわとクセになる脱力系ギャグで人気を集めた本作が、なんと実写ドラマ化! 杉野遥亮さんが、立派な侍を夢見るも、日々サボることに一生懸命な武士校生の主人公・磯部磯兵衛を演じます。インタビュー前編では、役への向き合い方について伺いました。
時代劇ギャグ漫画を実写化? 先が思いやられたクランクイン
――今回、立派な武士を目指すと言いながら、全く努力しないぐうたら人間の武士校生・磯部磯兵衛役ですが、まず、オファーを受けた時の率直な感想を教えてください。
独特のタッチで描かれていて、しかも江戸時代設定のこの漫画を実写化するのはハードルが高いでしょ、というのが真っ先に抱いた感想でした(笑)。でも、同時に楽しそうだなとも思いました。仲間さんの漫画も、企画書もとにかく馬鹿馬鹿しくて面白い! さらには、監督が細川(徹)さんということで、楽しくなりそうだなと思い出演を決めました。
それでも不安はものすごくありました。磯兵衛をどう演じたらいいか、役作りの正解がわからなかったです(笑)。感情を読み込む台本でもないし、お芝居なのかコントなのかも不明。これまでの作品と違って、準備の仕方がよく分からなかったんです。クランクイン前日も、どうすればいいのかとすごく焦っていたのを思い出します。
――では、実際にクラインクインの日はどんな感じだったのでしょうか。
初日はものすごく変な空気が流れました(笑)。磯兵衛が、ただ歩いているシーンの撮影だったんですが、どういった歩き方が正しいのかが分からなくて、先が思いやられました。でも、それ以降は作品に漂う“力の抜けたムード”を、衣装やメイク、京都の撮影所のパワーを借りて、役を“まとうこと”を意識するようにしたら、畳の上でゴロゴロしているシーンとか、いつの間にか磯兵衛らしくダラダラできるようになったんです。ちょうどこのドラマの撮影時期に、同じく時代劇の大河ドラマの撮影もしていて、東京と京都を行ったり来たりしていたんです。その疲れもいい感じに作用したのかもしれないです。
「面白いことをやりたい」という意識を捨てて挑んだ撮影
――先ほどお話しにでてきたゴロゴロするシーンをはじめ、本作は杉野さんのイメージを覆す、振り切った演技が新鮮でした。
自分自身では別に振り切った演技をしたという感覚はありませんでした。細川監督の、絵を切り取るセンスに信頼がありましたし、自分は自分がやるべきことをやっただけという感じです。でもそういえば、監督が途中で「杉野くん、そこまで振り切って大丈夫?」と気にかけてくれたこともありました(笑)。
――ほかに監督とは、どういう言葉を交わしましたか。アドバイスをもらうこともあったのでしょうか。
オープニング映像の動きは、監督からこういう動きをして欲しい、という要望がありました。見ていただいたら分かると思いますが、あの絶妙に気持ち悪いグネグネした動きは、監督が編み出したんです。あれをグリーンバックで、一人でずっとやらされたのは、ちょっと苦痛の時間だったかもしれないです(笑)。あと、肩の骨を鳴らすポキポキの回というのがあるんですが、撮影の際に、監督が動きの見本を見せてくれたんです。それがすごく面白かったです。ちなみに、このシーンは僕のお気に入りでもあります(笑)。
――演技に苦戦したシーンはありますか。
先ほど話した骨を鳴らすシーンもそうですし、はちまきをして階段を這い上がるシーンや、水の上を歩くアメンボのシーンは体力的に大変でした。あと、磯兵衛の母親役である檀れいさんとのシーンは、僕にとってはツボでした(笑)。笑いをこらえないといけないことが、精神的にしんどかったです。
もうひとつ難しかったことは、「面白いことをやりたい」という想いを捨てることです。やっぱり、こういったコメディ作品は、「笑わせよう」という意識を持ってしまうと、途端に面白くなくなってしまうと思うんです。ユニークな磯兵衞というキャラクターを、普通に演じるというのは大変でした。
すぎの・ようすけ●1995年9月18日生まれ、千葉県出身。2015年に、雑誌『FINEBOYS』の専属モデルオーディションでグランプリを受賞し、芸能界入り。2017年の『キセキ-あの人のソビト-』で俳優デビューを果たすと、映画『東京リベンジャーズ』シリーズやドラマ『恋です! 〜ヤンキー君と白杖ガール〜』、大河ドラマ『どうする家康』、さらには主演を務めた『ばらかもん』など、話題作に多数出演。近作に、映画『風の奏の君へ』がある。現在ドラマ『マウンテンドクター』(毎週月曜22時/関西テレビ・フジテレビ系)が放送中。https://topcoat.co.jp/yosuke_sugino
連続ドラマW-30 「磯部磯兵衛物語 ~浮世はつらいよ~ 」7月放送・配信スタート!
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STORY
立派な侍になることを夢見る武士校生・磯部磯兵衛(杉野遥亮)は、どうすればラクしてカッコいい侍になれるのか、サボることばかりに一生懸命。そんなダメな部分も含めて、すべてを受け止めてくれる親友・中島(鈴木福)ら級友たちや先生に囲まれながら武士校生活を満喫する。●7/12(金)午後11:00 WOWOWで放送・配信スタート(全10話・第1話無料配信)公式HP
原作:仲間りょう『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』(集英社 ジャンプ コミックス刊) 脚本&監督:細川徹(ドラマ「小河ドラマ徳川☆家康」、舞台「ドクター皆川~手術成功5秒前~」)音楽:平沢敦士 プロデューサー:植田春菜 小髙史織 加藤康介 森井敦 制作プロダクション:東映京都撮影所 企画協力:ワタナベエンターテインメント 製作著作:WOWOW 出演:杉野遥亮 鈴木福 長濱ねる マキタスポーツ 津田寛治 三宅弘城 檀れい <ゲスト出演>平泉成 徳重聡 新木宏典 秋山竜次(ロバート) 眞島秀和
撮影/山本仁 ヘアメイク/KOTARO スタイリスト/伊藤省吾(sitor) 取材·文/海渡理恵
ジャケット¥69300/ワコマリア(パラダイス トウキョウ) パンツ¥36300/ギャルリー ヴィー(ギャルリー・ヴィー 丸の内店) その他/スタイリスト私物
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