【南 沙良】大河ドラマから濃密な大人の恋愛ドラマまで引く手あまた! 独占インタビュー
気鋭の俳優の素顔に迫る
NHK大河ドラマ『光る君へ』の出演をはじめ、今年いちばん注目されめざましい活躍を見せた俳優のひとりである南 沙良さん。聡明であでやかな平安貴族女房の姿が記憶に新しいところですが、次の作品は現代劇、しかも濃厚な大人の恋愛ドラマです。大好評配信中のABEMAオリジナルドラマ『わかっていても the shapes of love』で、ヒロイン・浜崎美羽(はまさき・みう)役を熱演しています。本記事では、大河に続き、本作でさらに新境地を拓いた沙良さんの思いを聞きました。
『わかっていても the shapes of love』ってこんなドラマ!
本作は、韓国で大ヒットしたウェブトゥーン「わかっていても」をもとに作られた韓国ドラマ『わかっていても』(Netflixにて独占配信中)を原案に、その世界観を再構築。1990年生まれで気鋭の若き映画監督・脚本家である中川龍太郎氏が、日本の鎌倉を舞台に、“傷つくとわかっていても、愛に手を伸ばしてしまう人間たちの衝動”を精緻に描き切った良作です。
2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で主役の蔦屋重三郎役に決定し、現在撮影真っ最中の横浜流星さんが、約3年ぶりに、自身のキャリアの原点ともいえる恋愛ドラマの世界へカムバックしたことでも大きな話題となっています。
あらすじ&キャスト
流星さんは、若き天才芸術家・香坂 漣(こうさか・れん)役。彫刻作品が国内外で高く評価される実力派アーティストとして帰国を果たし、特別臨時講師として鎌倉のとある美術大学に赴任してきます。思わせぶりで誘うような視線をさまよわせ、超絶美形なルックスとあふれる才能にひかれて多くの女性が寄ってきますが、「つきあう、って何?」と言い放ち、誰とも必要以上に深い関係になろうとせず、どこか陰鬱なムードを漂わせている男性です。
沙良さんは、そんな漣が赴任した美大で彫刻学科の助手を務める浜崎美羽(はまさき・みう)役。恋人にこっぴどく振られた挙句に作品まで侮辱された経験が深いトラウマとなり、以降の恋愛も創作活動もなかなかうまくいかないまま、鬱々とした生活を送っています。衝動よりも理性を優先しようと振る舞う姿勢が目立ちますが、本来は自分の感情に正直でまっすぐな性格。
ものすごい美形で稀有な才能を持ち、常に周囲に女の影がチラつく“沼男”の漣と、そんな彼に憧れと嫉妬と悔しさが入り交じった感情をぶつけながら、頭ではダメだと、傷つくと“わかっていても”、彼に心をつかまれ、どうしようもなく惹かれていく美羽。緑の木々の間をふわふわと舞う蝶のように、ふたりの感情は複雑に交錯します。
また、本作には恋愛群像劇の一面も。ふたりを取り巻く同僚や学生・友人たちもまた、“傷つくと/傷つけるとわかっていても”、自分の感情に正直に、新たな恋や人生の一歩を踏み出そうと各々が必死にもがき、その姿がとても共感を呼びます。初めてこの物語に触れる人も、すでにウェブトゥーンや韓国ドラマで『わかっていても』の世界観を愛してきた人も、新鮮な気持ちで楽しめる作品になっています。中川監督や流星さんをはじめとする製作&キャスト陣が、原作・原案への深い敬愛の気持ちをもって臨んでいることを感じられると思います。
エモーショナルな演技をしっかり支えた、温もりあふれる現場
撮影が行われたのはちょうど1年前の冬、沙良さんが21歳の時です。見とれてしまうような美しさと圧倒的な存在感を放ちながらも、観る人が美羽に同情の念を抱き、感情移入できる余白を持たせた沙良さんの静謐ながら繊細な演技が光ります。
ーー本作では、沙良さんと同世代の素敵な俳優さんたちが大集結していますね。現場はどのようなムードでしたか?
私がいちばん年下だったので、みなさんがお兄さん・お姉さんのように、お菓子をくださったりして、とても甘やかしてくださいました(笑)。みんなで撮るシーンも多かったし、楽しかったです。
ーー流星さんと共演された印象はいかがですか?
最初はとてもミステリアスな印象があったのですが、すごくお優しくておもしろい方でした。実は私、かなりの人見知りで、初対面の方とはうまくお話しできないことが多いのですが、横浜さんは積極的に現場を盛り上げようとしてくださいました。笑わせようとしてくださったり、演技しづらいところはないかその都度たずねてくださったりして、本当にありがたかったです。
ーー沙良さんの演技からは人見知りっぷりが1ミリもうかがえず、プロマインドを感じます。ご自身はどのように役作りと向き合いましたか?
撮影前はあれこれ考えず、現場に入ってから“行ってみて、演じてみて。”という感じでした。監督やキャストのみなさんとお話しするなかで、立ち回りを組み立てていった感じです。私はどちらかというと現場のムードに「ハイ!」と素直に従うタイプなのかもしれません。
ーー中川龍太郎監督は映像界で“気鋭のホープ”と期待されている方ですが、どんな方でしたか?
すごくやりやすかったです。考えていることがすぐ顔に出るんですよ。「お腹すいたんだろうなー」とか「今、眠いんだろうなー」とか、わかりやすく素直で、おもしろくて、不思議な方でした。
ーー演じていていちばん印象的だったシーンは?
#1のラストシーンでしょうか。美羽が漣にうながされて石像を壊すのですが、彼女の気持ちが変化する大切な場面でもあります。本当はあんなことをしたらものすごく怒られるのでしょうが、像をガンガン叩いて壊すという演技が純粋に楽しかったです(笑)。
ーー流星さんと濃密に絡み合うシーンも本当に大胆で、とても驚く人が多いと思います。私は釘づけでした。
私にとってもあのようなシーンは初めてでした。うまくいかずに心配事が出てくるかなとも思いましたが、(インティマシーコーディネーターの)浅田(智穂)さんがいてくださり、流星さんもよく声をかけてくださったので、さほど緊張せずに臨めました。
ーー劇中ではさまざまなカップルによる愛や絆の形が描かれています。特に、咲先輩(朝倉あきさん)とメグ(夏子さん)の関係に対する美羽のスタンスに勇気づけられる人が多そうです。
本当にそうですよね。本作にはいろいろな恋愛の形が出てきます。どれが正解とか不正解とかはありません。観ていてすごく楽しいですし、さまざまな方に共感いただけるのではないかと思っています。
ーー出演作品をひとつずつ重ねるごとに大きく成長している沙良さんですが、本作で得たものがあればぜひシェアしてください。
台詞がそこまで多くない抑えた演技でも、美羽の心の繊細さを表現できたらいいなと思って演じていたので、ちょっとした目の動きや振る舞いで感情の揺れ動きを伝えることができていたら、とてもうれしいですね。
沙良さんの“the shapes of love”はどこに結晶している?
ーー本作では、各々が愛する人のために創作する方向へとだんだんシフトしていきます。沙良さんにとって“愛の形”とは何ですか?
そういわれると、なんだろう……(考え込む)。
ーー「犬たちです!」と即答されるかと思いました(笑)。
(ぱあっと目を輝かせながら)そうです! 犬と暮らしています。ホルモンとサンチュといいます。犬はいいですよね。大きい子のお世話が大変で、毎日2時間くらいお散歩に行かなければならないのですが、必ず自分で行きます。ちょっとお腹が弱くて、家中が汚れて大変に思う時もありますが、責任感、いや、愛の力で乗り切っています! 頑張っています。
ーーちなみに本作では沙良さんの透明感あふれる美肌っぷりをじっくり堪能できるのもひとつの観どころだと思っているのですが、皮膚管理テクニックを伝授してください。
確かに、カメラめっちゃ寄ってきてたな(笑)! 通販で購入した、健康によさそうなサプリを飲んでいます。野菜が大好きなので、多めにとるようにしています。自炊中心にして、食生活はちゃんとしているほうだと思います。この時期は鍋がおいしいですよね! でも、特に運動はしていません。
ーー犬たちがホルモン&サンチュということは、焼肉もお好きなのですか?
焼肉、好きです……おいしいですよね! あっ、でも毎日2時間サンチュとホルモンの散歩をしていますから、それが運動がわりになっているのかもしれないですね! ありがたいです♪
2025年は、もっと新しい世界へ!
ーー大河ドラマ『光る君へ』への出演(紫式部のひとり娘・賢子役)で、国民的俳優として一気に知名度を上げましたね。2024年を振り返ってどんな年でしたか?
今年はとにかく、ひたすら新しいことに挑戦した1年でした。大河もそうですが、DMM TVの『外道の歌』(開成奈々子役)など、これまで演じたことがないような役をたくさんいただけました。
ーー演技の幅がグッと広がって、周囲からの評価が変わったりしましたか?
そういえばあまり具体的に褒められていないかもしれません(笑)。でも、大河出演で、おじいちゃんとおばあちゃんがとても喜んでくれたのがうれしかったです!
ーー2025年はどんな年にしたいですか?
新しいことに挑戦するのが大好きなので、来年は、いただける役の幅をもっと広げられるよう、今年以上にもっと挑戦していけたらと思います。プライベートではぜひ、マカオタワーのバンジージャンプ(2024年現在“世界で最も高い商業用バンジージャンプ”としてギネス世界記録認定)を飛んでみたいんです。やっぱり世界一を飛ばなくちゃですよね! 目標は高く掲げておきたいと思います。
プロフィール
ABEMAオリジナルドラマ『わかっていても the shapes of love』
#1〜3 :配信中
#4、#5:12月16日(月)21時配信
#6、#7:12月23日(月)21時配信
#8(最終話):12月30日(月)21時配信
キャスト/横浜流星、南沙良、佐野玲於、鳴海唯、福地桃子、浅野竣哉、朝倉あき、夏子、霧島れいか、中山忍、村上淳
監督/中川龍太郎
脚本/中川龍太郎、佐近圭太郎、横尾千智
エグゼクティブ・プロデューサー/藤井道人
制作パートナー/SLL Joongang Co..Ltd, Studio N
原作/LINEマンガ「わかっていても」(作家 ジョンソ)
原案/韓国ドラマ『わかっていても』 (制作・著作/SLL Joongang Co.,Ltd、作家 ジョンウォン)
企画/BABEL LABEL
製作/サイバーエージェント
配信/ABEMA、Netflix
【特別映像】横浜流星主演ドラマ『わかっていても the shapes of love 』|12月9日(月)21時から配信
撮影/齊藤晴香 取材・文/沖島麻美