【LiSA】『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章』主題歌に込めたエール

7月18日（金）に全国一斉ロードショーがスタートした『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。主人公・竈門炭治郎ら“鬼殺隊”と、宿敵・鬼舞辻無惨を筆頭とする“鬼”との苛烈な最終決戦を描く作品です。本作のクライマックスを飾る主題歌「残酷な夜に輝け」を担ったLiSAさんにインタビューを行いました！

※本記事中には、映画の内容に関する記述があります。

アニメ『鬼滅の刃』シリーズは、LiSAさんの才能と存在を世界に知らしめた大切な存在といえます。2019年4月にシングルとしてリリースした「鬼滅の刃」『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』のオープニングテーマ「紅蓮華（ぐれんげ）」は大ヒットを記録し、LiSAさんは同年末のNHK紅白歌合戦に初出場を果たしました。2020年には、映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌「炎（ほむら）」が第62回日本レコード大賞 大賞を受賞。さらに、『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』では、オープニングテーマ「明け星（あけぼし）」・エンディングテーマ「白銀（しろがね）」を担い、こちらも大好評を博します。 

そして今回、シリーズ最終局面となる『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章』『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の主題歌である「残酷な夜に輝け」が7月23日（水）にリリースされます。LiSAさんとともに、アニメ『鬼滅の刃』シリーズの音楽を担ってきた梶浦由記さんと再びタッグを組んだ力作です。LiSA連綿とつむいできた思いを新たな言葉と音にのせ、大切なものを護りながら前進するための刃を梶浦さんから再度託されたLiSAさん。この楽曲をどのように歌い、未来へとつないでいくのでしょうか？ 初の北米ワンマンツアーに出発する直前のLiSAさんを直撃しました。

ーー「残酷な夜に輝け」のインパクトが強烈で、LiSAさんにとっても非常に重みのある楽曲を任されたのではないかという印象を受けました。歌唱にこめた思いをお聞かせください。

LiSA：本作は “鬼殺隊”のメンバーたちが因縁の対決に臨みます。特に炭治郎くんにとって、『無限列車編』で煉獄さん（※）を喪ったどうしようもないほど悲しく悔しい想いを持っているであろう、猗窩座と遭遇します。全編を通して見逃せないお話で、メンバーにとって心身ともにとても苦しい状況ですが「それでも前を向いて進め、行け！」と背中を押すような思いをこめて歌いました。 

※煉獄の“煉”は“、“火”＋“東”が正しい表記となります

ーー梶浦由記さんによる４年ぶりの楽曲提供とのことで、今回も相当量の意見交換をされたとうかがっています。新たな発見や気づきがあれば教えてください。

LiSA：梶浦さんは、この曲を「『鬼滅の刃』作品の主題歌としてはもちろん、なによりLiSA自身の曲として長く歌い継いでいってほしい」と願って作ってくださったそうで、とてもうれしく感じたと同時に、これまで以上にひたむきな姿勢が求められると感じました。また、今回は映画自体が総力戦になりますので、この楽曲もそれに連動するように私たちのさまざまな表現を織り込んだ集大成となっています。私が梶浦さんの世界観に染まってみせたり、逆に梶浦さんに私の個性を後押しいただいて表現するようなフレーズがあったりと、これまで培ってきた絆を駆使し、ふたりが向き合って交錯しあうようなフローで構成されています。

ーー具体的な共作エピソードを教えていただけますか？

LiSA：最初にワンコーラス（冒頭から最初のサビまで）を作って提示してくださったのですが、当時のサビはまったく違うものでした。梶浦さんは、悲しい感情を悲しみとして楽曲できちんと表現される方なので、最初にご提案いただいたサビは、悲しいエピソードの連続を反映させたようなものだったんです。でも最終的に、苦境にもがくキャラクターたちの前途をわずかでも照らしてあげられるような、ひとすじの光のような雰囲気を宿したサビになりました。

ーーAメロ・サビ・Bメロ・サビと、次々とムードが切り替わるように聴こえるのはそのためですね。映像とシンクロする構成も相まって、スクリーンを見守る私たちは高揚感のあまりゾクゾクしました。

LiSA：どうしようもなく悲しい気持ちをきちんと表現したい梶浦さんの思いと、未来や希望を表現するのに向いている私の明るい歌声。そこが混ざりあい、私たちふたりだからこそ可能な最大限の表現を一緒に模索し、作り上げていきました。Aメロ・Bメロはどちらかというと梶浦さんの世界観に飲み込まれそうになってあえぐLiSA、サビは逆に難局打開につながる突破力を発揮するLiSAといった歌いわけをすることで、私たちふたりがひとつの曲の世界を交互に出たり入ったりするような印象を感じていただけると思います。『鬼滅の刃』の世界でも、人間のままでいるか“鬼”になってしまうかのギリギリの瀬戸際をみんなが彷徨（さまよ）っていますよね。私たちも同じような感覚です。

ーーやはりLiSAさんと梶浦さんのタッグは信頼できると感じさせられました。

LiSA：私も同感です。『鬼滅の刃』では、“鬼”になってしまった者もみんな、“鬼”にならざるを得なかったとても複雑で悲しい物語を抱えています。そういう事情もすべてひっくるめて、全員を抱きしめてあげられるよう、意識して歌いました。

ーーLiSAさんもすでに本編をご覧になったとうかがっています。どんな感想をお持ちになりましたか？ ※このインタビューは6月に実施しました

LiSA：梶浦さんと一緒に拝見しまして、とにかく「梶浦さん、すごい！（拍手）」のひとことに尽きました。いち観客として自分自身の曲に私自身も抱きしめられる感じがして、ひたすらダダ泣きしてしまいました。物語はすでに知っているはずなのに、不思議な気持ちになりましたね。

ーー「残酷な夜に輝け」は、映画を観る人だけでなく、広く多くの人に愛される楽曲だと感じます。どのような方に聞いてほしいですか？

LiSA：大切なもののために必死でたたかっているみなさんに、ご自身を奮い立たせる曲として受けとめていただけるといいなと思います。どんなに頑張っていても、くじけそうになる時はあるじゃないですか。自分が積み上げてきた実績や経験だったり、人だったり、組織や居場所だったり、守りたいと思うものは人それぞれ違いますし、大小や公私の差もあります。でも、生きていくうえでたたかい、挑み続けている人を抱きしめてから勇気を授け、背中を押してあげられるような楽曲として、歌い続けていけたらいいなと思います。

ーー「残酷な夜に輝け」は、これから日本全国で開催される夏フェス、そしてホールツアーで披露していくことになると思いますが、ステージではどのようなパフォーマンスで表現したいですか？

LiSA：そこをすごく考えている最中で、具体的なアイデアとしてはまだ形になっていないのですが、2025年の活動テーマである「PATCHWORK（パッチワーク）」の重要な構成要素のひとつとしてうまく組み込めればいいなと思っています。この曲もさまざまな表現や思いをパッチワークしたような構成になっていますので、テーマとリンクさせておもしろい表現ができるんじゃないかと、私自身もワクワクしています。9月から始まる全国ホールツアー「LiVE is Smile Always〜PATCH WALK〜」では、なるべく多くの都道府県に足を運んで、ファンのみなさんとの絆をあらためて固く結び直していこうという意図で企画しています。ぜひ楽しみにしていただけたらと！

ーーLiSAさんのライブは、オーディエンスとのエネルギー交換がすごいですよね！ みなさん大合唱しながら空高くジャンプしていて圧倒されます。

LiSA：観客と一緒に作り上げるのが私のライブの醍醐味ですね！ ボイトレをしてきているんじゃないかと感じるくらいみんな一緒に大きな声で歌ってくれて、本当に頼もしいです。私以上に完全燃焼してくださっているんじゃないかな。みんなが心の底から楽しんでくれるようにステージパフォーマンスを考えていますが、期待値をはるかに超える反応で新たなゴールを見せてくれるので、毎回本当に驚きます。私自身が自分のライブを大好きな理由のひとつです。ライブで一緒に過ごした時間が、「マジで最高だったな、今日生きていてよかったな」と思えるような最高の1日になればいいなと思って続けています。

ーーいつも全力でステージを駆けめぐるLiSAさん。ご自身の追い込み方がなんだか炭治郎と似ているような気がします。「頑張っている自分をもっと甘やかしてもいいんですよ」と、少し心配になるくらいです。

LiSA：あはは、ありがとうございます！ 炭治郎には妹弟がいて、禰󠄀豆子を守りながら“鬼殺隊”として活動していますよね。私にも妹がいるので「私が家族を守ってあげなきゃ！」という長女気質がもともと強いのだと思います。自分の周りの人たちに対しても、ファンの方々に対しても、「みんなに幸せであってほしい、そのために頑張る」と願って活動している点も共通項かもしれないですね。

ーー全力で活動を続けるために工夫していることはありますか？ 

LiSA：食べることですね。ライブ直前は全集中しているので全然食べられないのですが、前日とライブ後は肉です！ 消耗したエネルギーを肉で補給します。食べるものや量に関する制限は絶対にしません。ライブ後に楽屋でケーキをいただいたあと、打ち上げにラーメンを食べに行く、なんていう日もありますよ。（今日のような取材日に）楽屋で出るお弁当もしっかりいただきます。食べたいものを我慢しないことは、メンタルヘルスの維持にも貢献していると思います。

ただ「食べすぎたかも」と思った時は、食べた分だけ動くようにしています。キックボクシングをやっていますし、自宅でエアロバイクに乗ったりしています。サウナスーツを着て、タオルを首に巻いて、ひたすら汗をかくんです。気分爽快ですよ！

ーーすさまじいまでの自己管理ですね。では、自身を労わる癒しのTIPSはありますか？

LiSA：愛犬です。ビションフリーゼというモコモコの毛の犬種で、「ころも」といいます。もう3歳になるので立派な成犬なのですが、すごーく無防備なんです。いつでもどこでも、おへそを天井に向けてずーっと寝っ転がっているんです。私が家でダラダラ過ごしている時も、ふと隣を見ると常にヘソ天でひっくり返っています。その姿を見るとすごく安心します（笑）。

ーー6月に38歳になったLiSAさん。あらためて、ソロデビュー15周年イヤーに向けての目標や意気込みを教えてください。

LiSA：15周年をみなさんと一緒にきちんとお祝いするのが当面の目標です。体力づくり・モチベーション維持・健康管理・心のケアなど、自分のさまざまな側面を磨き、最高のかたちで15周年を迎えられるように万全の準備をしています。

私、常に3年後までスケジュールを書くようにしているんです。モチベーションキープのために、目標を明確に設定してクリアし続けることを自分に課しています。（デビュー前の）最初の頃は夢を叶えるために歌っていましたが、この先もずっとシンガーとして歌い続けていくためには、自ら何かに挑戦し続けていないと活動自体を続けていくのが難しいと感じ、私なりに工夫するようになりました。挑み続けることこそが歌い続ける醍醐味だと思っています。

ーー15周年イヤーをともに迎えるファンのみなさんに、いちばんしておいてほしい準備はなんですか？

LiSA：とりあえず、全曲復習しておいていただこうかな（笑）。気がつけばもう100曲以上の持ち歌があります。私のお客さんは本当にすごいんです。昔のシングルのカップリング曲をセットリストに入れても、みなさんもれなく大合唱してくれるんです。もう、信頼しかありません。15周年イヤーを一緒に全力で楽しみたいので、これからもどうぞよろしくお願いします！

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