松重豊さんが妊活中の夫婦に伝えたいこと。「夫婦の数だけ、幸せの形は絶対ある」【お悩み相談室『俺の人生論』】
恋に仕事……女子の悩みは酸いも甘いもかみ分けた男に聞け! 松重豊さんの2回目です。
【今回のお悩み】2年間にわたる妊活に疲れてしまいました
結婚して4年、夫婦仲はよいのですがなかなか子どもができません。2年前に夫とふたりで検査したら、私が妊娠しにくい体だと判明。クリニックに通い、薬を飲み注射をし、人工授精までしたのですが、できません。妊活がうまくいかないせいか、最近は夫と言い争いになることも。子どもは絶対欲しいのですが……。(29歳・教師)
夫婦の数だけ、 幸せの形はある
〝子どもは絶対に欲しい〟というお気持ちはわからないでもないけれど、子どもができたから幸せになる、とは限りません。苦労も多いです。子どもができたおかげでケンカすることもあるし、お母さん同士のいざこざがあるかもしれないし、もしかしたら引きこもってしまうかもしれないし、お金もかかります。今の時代、子どもに老後の世話をしてもらおうとか、後を継いでもらうとか、そういう期待も一方的じゃいけない世の中ですしね。
同様に、子どもができないからといって、不幸になるとも限らない。夫婦の数だけ、幸せの形は絶対にあるんです。夫婦が今、置かれた境遇の中で、最高の幸せを見つけることが、まずは夫婦のテーマだと僕は思うんですよ。それを見つけることが何より最初に、やらなきゃいけないことじゃないかっていうふうに思いますけどね。
妊活ってものにお疲れになったなら、いったん休んで、だんなさんとふたりで何かしてみたらどうでしょう? 子どもができなかった、という事実をある程度受け入れて、旅行に行くとか、猫を飼う、犬を飼う、その分のお金を使って、おいしいものを食べにいくのもいいじゃないですか。
僕が出演している『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』という映画も、妊活に励む夫婦の話です。この中では僕が演じる夫のほうに原因があって、体質改善のために頑張るんですが、それは夫として当然のことだと思いますね。それをしないで相手のせいにしたり、逃げたりすると、それは禍根として夫婦の間に残ります。あの時あなたはこうだったって、一生言われることになります(笑)。
夫婦で問題に立ち向かう時、どの瞬間でもどんな問題が起きても、全力で立ち向かう。夫も、妻も、です。その姿勢をお互いが見せれば、その信頼関係は間違いなく、いくつになっても揺るがないと思うんですよ。
夫婦の本番は、 ずっと先にある
モアの読者は若いから、結婚してから妊活の問題がいちばん切実に感じるでしょうけれど、夫婦の本番は、もっとずっと先。子どもを育て上げ、親を介護した後、ふたりだけで過ごす時間です。どちらかが亡くなるまでのふたりきりの時間、そこに向けての前哨戦をどう構築していくかが大事だと、僕は思います。
妊活はたぶん、第1章、でしょうね。そこから、子どもの問題、親の問題、ほかにもいろいろ、第2章、第3章が続いていく。親の問題は、子どもの問題よりも深刻かもしれませんよ。それらを乗り越えて夫婦ふたりになった時、そこからどういう関係が築けるか。そこで胸を張ってウチの夫婦はこうですって言えれば、素晴らしい。そうやって、それぞれの夫婦の物語は続いていくんです。
ふたりで妊活を頑張ったのなら、それはそれでいいじゃないですか。これだけのことを乗り越えたふたりは、この先何があっても、ふたりで解決していけるはずです。これからだんなさんと一緒にどういう夫婦になっていくか、そっちのほうがずっと大きなテーマなんだってことを、忘れないでください。
〝子どもは絶対に欲しい〟というお気持ちはわからないでもないけれど、子どもができたから幸せになる、とは限りません。苦労も多いです。子どもができたおかげでケンカすることもあるし、お母さん同士のいざこざがあるかもしれないし、もしかしたら引きこもってしまうかもしれないし、お金もかかります。今の時代、子どもに老後の世話をしてもらおうとか、後を継いでもらうとか、そういう期待も一方的じゃいけない世の中ですしね。
同様に、子どもができないからといって、不幸になるとも限らない。夫婦の数だけ、幸せの形は絶対にあるんです。夫婦が今、置かれた境遇の中で、最高の幸せを見つけることが、まずは夫婦のテーマだと僕は思うんですよ。それを見つけることが何より最初に、やらなきゃいけないことじゃないかっていうふうに思いますけどね。
妊活ってものにお疲れになったなら、いったん休んで、だんなさんとふたりで何かしてみたらどうでしょう? 子どもができなかった、という事実をある程度受け入れて、旅行に行くとか、猫を飼う、犬を飼う、その分のお金を使って、おいしいものを食べにいくのもいいじゃないですか。
僕が出演している『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』という映画も、妊活に励む夫婦の話です。この中では僕が演じる夫のほうに原因があって、体質改善のために頑張るんですが、それは夫として当然のことだと思いますね。それをしないで相手のせいにしたり、逃げたりすると、それは禍根として夫婦の間に残ります。あの時あなたはこうだったって、一生言われることになります(笑)。
夫婦で問題に立ち向かう時、どの瞬間でもどんな問題が起きても、全力で立ち向かう。夫も、妻も、です。その姿勢をお互いが見せれば、その信頼関係は間違いなく、いくつになっても揺るがないと思うんですよ。
夫婦の本番は、 ずっと先にある
モアの読者は若いから、結婚してから妊活の問題がいちばん切実に感じるでしょうけれど、夫婦の本番は、もっとずっと先。子どもを育て上げ、親を介護した後、ふたりだけで過ごす時間です。どちらかが亡くなるまでのふたりきりの時間、そこに向けての前哨戦をどう構築していくかが大事だと、僕は思います。
妊活はたぶん、第1章、でしょうね。そこから、子どもの問題、親の問題、ほかにもいろいろ、第2章、第3章が続いていく。親の問題は、子どもの問題よりも深刻かもしれませんよ。それらを乗り越えて夫婦ふたりになった時、そこからどういう関係が築けるか。そこで胸を張ってウチの夫婦はこうですって言えれば、素晴らしい。そうやって、それぞれの夫婦の物語は続いていくんです。
ふたりで妊活を頑張ったのなら、それはそれでいいじゃないですか。これだけのことを乗り越えたふたりは、この先何があっても、ふたりで解決していけるはずです。これからだんなさんと一緒にどういう夫婦になっていくか、そっちのほうがずっと大きなテーマなんだってことを、忘れないでください。
【松重豊さんの回答】妊活は夫婦の物語の第1章なんです
まつしげ・ゆたか●1963年1月19日生まれ。福岡県出身。「蜷川スタジオ」を経て、1992年に映画『地獄の警備員』で一躍脚光を浴び、独特の存在感で話題のドラマや映画に数多く出演。10月から、ドラマ『孤独のグルメ シーズン8』がスタート。また、初主演映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』は10月4日から公開
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取材・原文/岡本麻佑 撮影/三浦太輔(go relax E more) ヘア&メイク/佐伯憂香 スタイリスト/増井芳江