山崎育三郎さん&尾上松也さん&城田優さんという、演劇、ミュージカル、ドラマ、映画、バラエティ、歌舞伎と様々なジャンルで活躍する3人によるプロジェクト「IMY」。

インタビュー【前編】では、念願の初舞台『あいまい劇場 其の壱「あくと」』に向けての想いと舞台の魅力についてお伺いをしました。【後編】では、公私ともに仲のよい3人の関係性に迫ります!
>>【関連記事】山崎育三郎&尾上松也&城田優インタビュー【前編】 IMYの初オリジナル作品に迫る!
山崎育三郎さん、尾上松也さん、城田優さん
(左から)山崎育三郎さん、尾上松也さん、城田優さん

城田「仕事へのスタンスの部分が近い3人だと思います」

──みなさんが一番通じ合った部分はどういうところだと思いますか?

城田優さん(以下、城田)「ノリですね(笑)」

山崎育三郎さん(以下、山崎)「(笑)。地元の友達みたいな関係性の延長という感じです。3人ともかなり忙しいのでスケジュールを合わせるのも大変なんですが、それでもこうやって一緒に舞台をやろうとするっていうのは、そういう気の置けない関係性が築かれてるからっていうのもありますね」
城田優さん
城田優さん
──2015年のミュージカル『エリザベート』で共演してすぐに仲良くなったんですか?

城田「育と松也は(仲良くなるのが)早かったですよ。僕はそれぞれと仲がよかったので、『エリザベート』の稽古の前、育からは『松也ってどんな人?』、松也からは『育ってどんな人?』って訊かれたんです(笑)。それで、『ふたりは絶対に気が合うよ』って言っていたんです。そうしたら稽古場に入って数日で本当にめちゃくちゃ仲良くなって。すぐに僕が入れないような野球の話題とかでふたりが盛り上がりだして、4日目から5日目ぐらいにはカードゲームを持ってきて稽古中に2人でずっとやっていたんですよ。俺だけマジで蚊帳の外でした(笑)」

山崎「(笑)。僕と松也はルキーニという同じ役を演じたので、稽古場ではずっと一緒にいたんです。それで稽古の途中で一緒にお祭りへ行ったりしたんですよ」

城田「行ったね」

尾上松也さん(以下、松也)「いや、3人でも行ったけど、俺と育のふたりでも行ったんだよ」

城田「ふたりで? それ知らないな。抜け駆けだよ(笑)」。

山崎「稽古の空き時間に、キャッチボールしたときだね」

城田「そうなんだ! でもふたりが仲良くなってよかったなって内心思っていたんです。稽古終わりにはいつも3人でアイスを食べたり、ご飯を食べに行ったりして、楽しい時間を過ごしました。もちろんふたりの芝居だったり表現に対するリスペクトはありますが、それよりも人としてどういう時間を過ごすかとか、仕事へのスタンスの部分が近い3人だと思います。気を遣わずにいられるので居心地がいいんですよね。それに、ずっと真面目にしていられない3人でもあって。力を抜く時間があるからこそ、真剣な時はより真面目に話すというか」

山崎「結局は面白いことをやりたいだけなんですよね」

山崎育三郎さん
山崎育三郎さん
山崎「先日それぞれ、今回のIMYの舞台の脚本をやってもらう福原(充則)さんがやっているミュージカル『衛生』を観に行きました」

城田「うんこが題材の話なんですけど(苦笑)」

山崎「そう。ずっと『うんこがどうたら』って言ってるんだけど、深いんですよ」

城田「哲学的というかね」

山崎「僕はミュージカルの世界に長くいるんですが、みんなが平等で自由に開放的に表現できる空間を作りたいなって考えているんです。優と20代半ばで『ロミオとジュリエット』の初演(2011年)をやったんですが、今活躍している若手があの舞台から何人も羽ばたいていって、あそこでミュージカル界が大きく変わったところがあると思います。みんなが楽しみながら自由に、変な緊張感が全くなく取り組んでいる空気感がすごくよかった。アメリカや韓国のミュージカルの稽古場に見学に行ったことがあるんですけど、みんなすごくリラックスして楽しそうなんですよ。歌稽古をしていても、やっている人以外は喋っていたりして」

城田「ゆるいよね。実際稽古している人以外は携帯をいじっていたり」

山崎「そう。みんな平等だと思うので、『自分はこう思う』って伝えあえる空気を作っていきたいんですよね。そういうところから新しいエンタメは生まれると思うので」

城田「場の空気が硬いと人は『真面目に喋らなきゃ』ってなってしまう。けれど、僕らのこの雰囲気なら本音しか言わない。だから、こういう取材の場でも、それぞれが何を喋るか予想するより、3人で喋っている中で自然にクロストークになっていく方が、僕らが表現したいことなんです」

山崎「僕が例えばバラエティとかで『ミュージカル界のプリンスです』ってやってるのは、自分でも面白がってるんですよ」

城田「だから育はブラックプリンスなんです(笑)」

山崎「(笑)。そうやって、自分をどこか客観的に見て面白がっているんです。だから、なんでIMYをやろうとしたかっていうのも、結局は面白いことをやりたいだけなんですよね」

城田「それがエンターテインメントの本質だと思うんです」

山崎「お客様に新しいエンタメを届けたいっていうのもありながら、おおもとは自分たちが『これは面白い』『成河くんっていう人は面白い』っていう気持ちで。それをどう見てもらえるのかが楽しみですし、ゼロから物を作ることはやりたかったことなので、そういうことができるようになったっていうのはすごくありがたいことです」

松也「『チャレンジしていたい』という気持ちがあるのも3人の共通点」

尾上松也さん
尾上松也さん
──MORE読者の中にも、やりたいことはあってもなかなか踏み出せない、という方も多いと思います。

城田「歳を重ねるとどんどん制限が増えていって、挑戦することに対するハードルがあがっていってしまいますよね。でも人生はすごく短いし、20代ってたくさん失敗してたくさん成長する時期だと思っていて。それを経て30代で『これは向いてなかったな』『これは割とうまくできたな』っていうことに気づけるわけです。最初から全部うまくできる人なんてなかなかいないし、成功する経験と失敗する経験を両方しないと、どんどん防御に入っちゃって突き抜けられなくなる。でも、皆さんにも挑戦する気持ちを忘れないでもらいたいし、IMYの活動や3人それぞれの活動を通して、そういうエネルギーを皆さんにも持ってもらえたら嬉しいです」

松也「僕らがやろうとしてることってとても面倒ですし、別にやらなくてもいいことなんですよね。それに、育が今ドラマやバラエティに出て広く沢山の方に知っていただけるようになったのはここ数年のことで、優も有名になるまではすごい時間がかかって、僕の高校時代なんてまったく何もしていなかったですし……」

城田「待ってくれよ! ミュージカルやってたよ(笑)。お前、ミュージカル歴何年だよ?」

松也「えっと……まだ5年くらい」

城田「ふざけんな、俺18年」

松也「育は?」

山崎「えっと、23年」

松也「すいません、先輩! でも芸歴でいうと何年ですか?」

山崎「それも23年」

松也「優の芸歴は?」

城田「俺は22年とかかな」

松也「俺、30年」

山崎・城田「(頭を下げて)すいません!先輩」

松也「っていうくだりをいつもやってるんですけど(笑)」

山崎・城田「あははは」

松也「でもほんと、ここに至るまでに3人ともいろいろなチャレンジをしてきているんですよ。だから、立ち止まっていると不安になってしまうんだと思います。ずっと『チャレンジしていたい』『落ち着きたくない』という気持ちがあるっていうところも、この3人の共通点だと思いますね」
インビューの最後は、息の合ったコントのような掛け合いを披露してくれました(笑)! 常に挑戦心を持ち続けるIMYが、この秋どんな新しいエンターテインメントを見せてくれるのか。『あいまい劇場 其の壱「あくと」』が本当に楽しみです!!

プロフィール

山崎育三郎(やまざき いくさぶろう)

山崎育三郎さん
1986年1月18日生まれ 東京都出身 2007年にミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢されて以降、その甘く気品のある歌声、 確かな演技力で多くの観客を魅了。 主な出演作品として『エリザベート』、『ミス・サイゴン』、『プリシラ』などがある。 2017年には、実写映画『美女と野獣』(2017年)日本語プレミアム吹替版では野獣役を担当。近年は 映像の世界でも活躍の幅を広げ、2018年にNHKで放送された『昭和元禄落語心中』の有楽亭助六 役で、第14回「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」助演男優賞を受賞。昨年放送された連続テレビ小 説『エール』では歌手佐藤久志役を熱演し、同年「第71回 NHK 紅白歌合戦」ではドラマ共演者ととも にスペシャルパフォーマンスを披露。2021年は、ドラマスペシャル『殴り愛、炎』主演・明田光男役、『 イチケイのカラス』井出伊織役、NHK大河ドラマ『青天を衝け』伊藤博文役で出演。 今年舞台では『モーツァルト!』で4度目となる主演を務めた。また6月からは、初となるフルオーケ ストラコンサートツアーが開幕。

尾上松也(おのえ まつや)

尾上松也さん
1985年1月30日生まれ 東京都出身 父は六代目尾上松助。屋号は音羽屋。 1990年5月『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』鶴千代で、二代目として尾上松也を名乗り初舞 台。 2009年より歌舞伎自主公演「挑む」主宰。若手歌舞伎俳優の登竜門「新春浅草歌舞伎」では年長者としてリーダー的な立場を務めるなど次代を担う花形歌舞伎俳優のひとり。さらにドラマ・情報バラエティなど のテレビやミュージカルなど歌舞伎以外の多方面の仕事にも意欲的に取り組み、活動の幅を広げ ている。最近の主な出演作に舞台『エリザベート』(2015年)、『メタルマクベスdisc2』(2018年)、ドラマ 『半沢直樹』(2020年)、映画『すくってごらん』(2021年)など。また、2021年4月には歌舞伎座「四月大 歌舞伎」の『勧進帳』で富樫左衛門を務めた。

城田 優(しろた ゆう)

城田優さん
1985年12月26日生まれ 東京都出身。2003年に俳優デビュー以降、ドラマ、映画、舞台、音楽など幅広いジャンルで活躍。代表作に、ドラマ「ROOKIES」「交渉人〜THE NEGOTIATOR〜」大河ドラマ「天地人」、映画「亜人』等がある。舞台では2010年にミュージカル「エリザベート」で第65回文化庁芸術祭「演劇部門」新人賞を受賞、2018年ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』で第43回菊田一夫演劇賞を受賞、2021年ミュージカル「NINE」で第28回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞するなど数々の賞を受賞。2016 年には「アップル・ツリー」で演出家デビュー。2019年版「ファントム」では演出・主演を努めた。ブロードウェイ・ロンドンのウエストエンドで活躍する世界のミュージカルスターが出演する公演「4Stars」への出演、ディズニー作品の実写版「シンデレラ」や「2分の1の魔法」の日本語吹き替え出演、カバーアルバム「Mariage」をリリースする等多方面で活動中。また、米倉涼子との初舞台共演&共同プロデュースで贈るエンターテインメントショー「SHOW TIME」が話題に。現在、TBS系日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」に出演中。

あいまい劇場 其の壱「あくと」作品情報

「あくと」ポスタービジュアル

作品概要

ミュージカル?ストレートプレイ? ショー? ジャンル不問のエンターテイメント要素がたっぷりつまったIMY オリジナル4 話のオムニバス!!
山崎育三郎・尾上松也・城田優の3人が、2015年ミュージカルでの競演を機に自分たちの感性で、オリジナル作品を製作したいという思いを共有し、3人の名前の頭文字から「IMY」と名付け、2019年より始動したプロジェクト。その舞台公演・第1弾『あいまい劇場 其の壱「あくと」』
演出は、ミュージカル、ストレートプレイ、1人芝居など様々な舞台で大活躍中の成河が、本舞台で初演出を手掛けます。脚本は、「あたらしいエクスプロージョン」で第62回岸田國士戯曲賞を受賞し、テレビドラマ「あなたの番です」では全話脚本を手掛け、今年は作・演出を務める「衛生」で初ミュージカルに挑戦するなど各方面から注目の福原充則。新しい挑戦をしたいというIMYからのオーダーにこたえ、福原が3話を書き下ろしました。そして、もう1話を城田が初めて脚本にチャレンジし、全4話のオムニバスで構成されます。音楽監督は、様々なミュージカルや舞台で演奏はもちろん、自身で作曲し楽曲提供も手掛ける桑原まこ。バンドメンバーと共に生演奏で舞台を彩ります。出演は、IMYの熱烈オファーにより出演が実現したキムラ緑子、皆本麻帆。そして、山崎が自身のドキュメント番組でNYに行き、現地のミュージカル校で出会った清水美依紗。清水はディズニープリンセスにスポットを当てた世界的なプロジェクト「アルティメット・プリンセス・セレブレーション」の日本版テーマソングの歌手に起用されるなど、大注目のシンデレラガール。IMYの大抜擢により、今作が初舞台となります。IMYの思いに共感してくれたクリエイターやキャストが集結し、創り出すオリジナル作品にご期待ください。
●公式サイト https://imytheater.com/

チケット情報

チケット:(全席指定・税込)
●SPセット(特典付きS 席) 20,000円
【特典内容】
①開場前IMY3 人のステージ準備見学
②公演プログラム
③オリジナルグッズ
●S席 12,000円
●A席 9,800円
●S席-U25 6,000円
●A席-U25 4,900円
●IMYシート(U18) 1,500円
※未就学児入場不可
※SPセット・・・本開場より30分前頃にご集合予定。詳細は公演直前にご購入者様にご案内いたします。要身分証。
※U25・・・25歳以下対象。当日引換券。要身分証。
※U18・・・18歳以下対象。当日引換券。要身分証。
※詳細は公式HP (www.imytheater.com)でご確認お願いいたします。

一般発売:2021年10月9日(土)AM10:00開始

お問い合わせ:キョードー東京 ℡0570-550-799 (平日11時~18時土日祝10時~18 時)
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【ロケ分衣装】
(山崎さん)デニムジャケット¥35200/CULLNI シャツ¥38000/The Viridi-anne

(尾上さん)ジャケット¥59000・シャツ¥35000/The Viridi-anne
(城田さん)シャツ¥28000・迷彩シャツ¥40000/ANEI
【衣装問い合わせ先】
ASKYY:東京都渋谷区鴬谷町8-11 ℡036416-3212
The Viridi-anne:東京都渋谷区恵比寿3-42-12 ℡03-5447-5182
Sian PR:東京都渋谷区渋谷2-2-3  ℡03-6662-5525
ANEI:東京都中野区中野3-13-10 #201 ℡03-6908-0621
撮影/花村克彦(ロケ分) 取材・文/小松香里 スタイリスト/百瀬 豪 ヘア&メイク/松原美穂(Nestation/山崎さん分) 岡田泰宜(PATIONN/尾上さん分) 本岡明浩、宮崎恵子(城田さん分)