スタイルのある人が語る、一生愛せる名品とは?

憧れのあの人が考える「名品」の定義を探ってみたら、自身の人生や考え方を重ねあわせたエピソードが詰まっていた。どんな名品を選ぶかのヒントはまずここから。

モデル
蛯原友里さん

えびはら・ゆり●1979年、宮崎県生まれ。ファッション誌『CanCam』、『AneCan』(小学館)の専属モデルを経て、現在は『STORY』(光文社)、『LEE』(集英社)などに出演。「エビちゃん」の愛称で知られ、日本を代表するモデルとして第一線で活躍している

“偶然の出合い”を大事にしていきたい

蛯原友里が愛用するマックスマーラのコートとTHE ROWのバッグ

「年齢を重ねると生き方が佇まいに出る」と言われますが、持ちものも自分の生き方や女性像を表現するものだと思うんです。だから、私にとって名品とは、“なめらかで上品である”という私の理想の女性像を体現してくれて、身につけるたびに、それに気づかせてくれる、そんなアイテムです。

数年前に購入した、THE ROW』の「マルゴー15」はスタイリストさんやカメラマンさんでも愛用者が多いバッグ。ずっと気になっていたのですが、ひとつひとつ個体差があるので、自分にいちばんしっくりくるものを2〜3年探して、やっと出合えた唯一無二の存在です。なめらかなレザーの質感や、ブラックだけど女性らしいやわらかさを感じさせる色合い。どんな着こなしにも合うサイズ感もまさに理想的で、毎日のように愛用しています。

Max Mara』のコートは端正でそぎ落とされたフォルム、肌にスッとなじむ質感や仕立てのよさがとにかく秀逸。撮影で出合い、店舗で試着をした瞬間に、“こんな女性になりたい!”とあらためて気づかせてくれた一着です。

「“なめらかで上品”であること。理想の女性像を叶えてくれるものこそが名品」

蛯原友里が愛用するティファニーのピアス

撮影で訪れたパリでひと目惚れしたTiffany & Co.』のメッシュピアスは、20代から愛用しているもの。実は片方を紛失したことがあるのですが、あまりにもショックで……。あちこち探し回り、長らく入荷を待って再購入したほど思い入れのある品なんです。もう一度手もとに手繰り寄せられたことに縁を感じているし、今もこのピアスを身につけると20代〜30代の楽しかった想い出が甦ります。この3つのアイテムは、自分だけでなく、娘、孫、ひ孫まで時代を超えて受け継いでいきたいと感じているものでもありますね。

何かの節目というより、自分が欲しいと思うタイミングで、あまたあるアイテムの中から“何が私らしいのか?”を熟考する時間はすごく贅沢。そんな“私なりの名品”とのめぐりあいを、ぜひ楽しんでみてください。

Photo : Koichi Sakata Special Thanks : Yuri Ebihara Text : Yuki Otsuka ●掲載されたアイテムはすべて私物のため、現在発売されていないものも含みます ※MORE2024年春号掲載