12星座全体の運勢

「白紙にかえす」

「暑さ寒さも彼岸まで」の秋分直前の9月17日に、おとめ座で新月を迎えていきます。

夏のにぎわいが遠のき、秋らしくなるにつれ、次第に風が透き通っていくように感じられてくる頃合いですが、そうした時に吹く風を昔から「色なき風」と呼んできました。

中国から伝わった五行説によると、秋の色は白。日本人は、その白を、「色無き」と言い換えた訳です。本来は華やかさがないという意味でしたが、言い換えられていくうちに、しみわたるような寂寥感を言い表すようになっていったのだそうです。

そして、今回のおとめ座新月のテーマは「初心に返る」。能の大成者である世阿弥の「初心忘るべからず」という言葉と共に知られる「初心」は、普通に考えられているような“最初の志”のことではなく、自分が未熟であった頃の“最初の試練や失敗”の意ですが、これは試練に圧倒されたり、失敗の前に膝をついたりしたことのない者には、本当の成功はいつまでもやってこないのだということを指します。

そうした失敗や挫折を不当だとか、相手や世間が悪いと思い込むのではなくて、そこから人間としての完成に近づくための新たな挑戦が始まるのだと気付くこともまた「初心」なのです。人生には幾つもの初心がある。そんなことに思い至ることができた時には、きっと心のなかをとびきりの「色なき風」が吹き抜けていくはず。

射手座(いて座)

今期のいて座のキーワードは、「生きがいの掘り起こし」。

射手座のイラスト
“高貴なるものの義務”を意味する「ノーブレス・オブリージュ」という言葉がありますが、別に貴族に生まれついた訳でなくとも、また特別社会的に高い地位にある訳ではなくとも、生きているということはそれ自体で「ノーブル」であり、何かを行う義務を伴うような大きな価値を持っているのではないか。

ハンセン病患者の実情を知り、親の反対を押し切って30歳で精神科医となった神谷美恵子の著した『生きがいについて』は、一文一文追うごとに、そうした力強い問いかけをされているように感じられてきます。

ほんとうに生きている、という感じを持つためには、生の流れはあまりになめらかであるよりはそこに多少の抵抗感が必要であった。したがって生きるのに努力を要する時間、生きるのが苦しい時間のほうがかえって生存充実感を強めることが少なくない

もちろん、自分ひとりだけではなかなかそうした「生存充実感」を感じられないという人は少なくありません。自己完結するのが難しく、集団性をその本質に持ついて座もまたそれに該当しやすいですが、著者はそうした人たちへの処方箋として、何かしら他者へ貢献できることを探してみるという基本の徹底を説いていきます。

世間に広く知れ渡っている訳ではなくても、自分なりに他者を喜ばせ、献身できるきっかけをつかんで、「生きがいを感じているひとは他人に対してうらみやねたみを感じにくく、寛容でありやす」く、そこには自然と「未来に向かう心の姿勢」が培われていく

そうした姿勢こそが、本来の意味での「ノーブル」ということであり、それは生きがいを感じつつ、使命感を持って自分の身を捧げることと切っても切り離せないのです。

今期のいて座の人たちもまた、どうしたらそこに全力を注ぐことのできる自己の生存目標を掲げられるかを、自分にとって生きがいとは何かということを、改めて掘り下げ直してみるといいでしょう。


参考:神谷美恵子「生きがいについて」(みすず書房)
12星座占い<9/6~9/19>まとめはこちら
<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ