12星座全体の運勢

「何かが“やってくる”まで」 

二十四節気でみると10月23日の「霜降」と11月7日の「立冬」のちょうど中間にあたる10月31日の深夜におうし座満月を迎えていきます。 

 霜降とは、これまでと明らかに空気が変わって、露が凍って霜になり始める頃合いで、「立冬」はいよいよ冬の到来ですが、今回の満月もまさに時代の移り変わりを体感していくような特別なタイミングとなっていきそうです。 

 というのも、今回の満月は牡牛座の天王星と正確に重なっているから。天王星は「既存の構造からの逸脱と変革」の星ですが、これは今年から来年へ向けて既に起きつつある大きな流れを象徴する雰囲気の根底にあるもの。そして、今回のテーマは「予測不可能なものの到来」。 

 将来に備え、ただ現実的なコストを算出したり、リスク回避に励んだり、身を固めていくだけでは、何かが決定的に足りない。ただし、その「何か」というのは、日常という固いアスファルトがめくれるように、これまで疑われることなく固定化されてきた文脈にずれが生じなければ、けっして到来することはありません。 

 その際、鍵となってくるのは、ちょっとした違和感をスルーせずに育てていくこと。月がまんまるに膨らみきっていくまでは、分かりやすい解答を求めたり、そこに安住するのではなく、「あえて」「今さら」「あらためて」というひと手間や余計なプロセスを大切にしてみるといいでしょう。 

水瓶座(みずがめ座)

今期のみずがめ座のキーワードは、「瞬間と機縁」。

水瓶座のイラスト
日常生活のなかで接する情報量が過剰となり、氾濫して、主体の輪郭が否応なしにあいまいになってきている現代について、すでに19世紀前半の時点で予見していた人物のひとりにキルケゴールがいます。彼は『現代の批判』という著書のなかで、 
 
現代は本質的に分別の時代、反省の時代、情熱のない時代であり、つかの間の感激に沸き立っても、やがて抜け目なく無感動の状態におさまってしまう時代である」 
 
と述べていますが、まさにテレビやインターネットやYouTubeなど、一方通行的な視覚メディアに慣れ親しんでしまった現代社会を見通したような発言です。 
 
キルケゴールはどこからこうした視点を持ち得ていたのか。彼の「時は過ぎ行く、人生はひとつの流れだ、などと人々は言う。私はそんなふうに見ることはできない。時は静止しており、私は共に静止している」といった記述からは、彼がふとした瞬間において永遠に触れられた時間こそ<満ちたる時>と見なしていたことが分かり、そうした“瞬間の意味”が忘れられていく時代の流れを感じたのでしょう。 
 
そしてこの瞬間との関係で言及されていくのが、「機縁」であり、人と知り合う偶然の「きっかけ」です。彼が「人と人とのあいだで最高なのは、弟子は教師が自分自身を理解する機縁であり、教師は弟子が自分自身を理解する機縁である、ということだ」と述べるとき、そこには「無感動の状態におさまってしまう時代」である現代を克服していくためのヒントが示されているように思うのです。 
 
今期のみずがめ座においても、例えば人と人との関わりである「機縁」を自他の自己発見に生かすべく、DMやLINEで簡単にメッセージが送れてしまうところを、あえて手紙を書くなどして、一瞬一瞬の価値を取り戻してみるといいかも知れません。 

 
参考:キルケゴール、飯島宗享訳『キルケゴール著作集 11』(白水社) 
12星座占い<10/18~10/31>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ