12星座全体の運勢

「風通しのよい真実味」

11月7日の「立冬」を過ぎると、木枯らしが吹き始め、日に日に冬めいてくるようになります。 

まだまだ晩秋の装いが色濃く残っている時期でもありますが、「雪中花(せっちゅうか)」の異名をもち、雪の中でも香り高い水仙が咲き始めるのもこの頃。そんな中、11月15日に迎えていく今回のさそり座新月のテーマは「真実を告げること」。 

それは世間一般や他者のリアリティーへ順応することや黙認することを拒んで、自分本来の波長にとどまり、自分のことを正確に認識してもらうよう、相手や周囲に要求していくこと。 

平安時代末期に中国より渡来した水仙は、室町時代になって一休禅師が『狂雲集』で「美人ノ陰ニ水仙花ノ香有リ」とエロティックなもののたとえに詠んだことで知られるようになりましたが、和歌にはほとんど詠まれていません。それは都からはるかに遠い辺鄙な海辺や岬などにひっそりと咲いていたから。 

しかしこれからの時代、このように水仙に例えて真実を語る人たちの存在は、ますます隠しきれないものとなり、互いにゆるやかに連帯しては離れ、つながっては適切な距離をとり、といったことを繰り返していくでしょう。そして今回の新月は、多くの人にとって、そうした風通しのよい関係性へと近づいていくための大切な一歩となっていくはずです。

双子座(ふたご座)

今期のふたご座のキーワードは、「詩人の作法」。

ふたご座のイラスト
時間の使い方をめぐって、“成功する“ために自己啓発的なノウハウが語られた書籍や記事は数多いですが、フランスの哲学者ガストン・バシュラールが『詩的瞬間と形而上学的瞬間』というエッセイにおいて述べている時間の使い方は、「真実を告げるための時間の使い方」について触れている点で明らかに異彩を放っています。 
 
いわく、「自分に固有の時間を、他人の時間に帰属させないことに慣れること。自分に固有の時間を、事物の時間に帰属させないことに慣れること」であると。 
 
前者はなんとなく惰性的に続いてしまう社会的な枠組みや体裁の持続を破るための習慣のことであり、後者はなんとなく惰性的に続いてしまう現象的な枠組みや体裁の持続を破るための習慣のこと。 
 
もちろん、前者だけでも難しいことであり、後者も心がけるとなるともっと難しいでしょう。ですが、バシュラールはさらに続けてこう言うのです。 
 
自分に固有の時間を、-これは難しいわざだが―生の時間に帰属させないことに慣れること―心臓が鼓動しているかどうか、喜びが萌しているかどうかといったことをもはや知らないこと―すなわち持続の生の枠を破ること。」 
 
すなわち、みずからが生きている上で自明(あって当たり前)とされている一切の前提や原則を拒否することができたときに初めて、時間の平板な水平性はすべて忽然と消え失せて、そこにつながれていた存在を解放させることができるのであり、そこでは「時間はもはや流れるのではなく、噴きあげる」。 
 
つまり、そうした垂直的時間の立ち現れにおいてこそ詩的瞬間は築かれるのであって、詩人はそこで無益な生のすべてをおろして身を軽くしていくのだと。 
 
今期のふたご座もまた、本当に自分が生きて存在していることを遅ればせながら感じていくためにも、ときどき平らな時間への縛りつけをほどく瞬間が訪れることをみずからに促していきたいところです。 


参考:ガストン・バシュラール、渋沢孝輔訳『夢見る権利』(ちくま学芸文庫) 
12星座占い<11/1~11/14>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ