12星座全体の運勢

「いのちの感触」

 一年で最も太陽の力が弱まる時期である冬至を過ぎた最初の満月は12月30日に、しかも月の力が最も強まるかに座で迎えていきます。 

この満月のキーワードは、「ふれる」。あるいは、“知ること”をめぐる繊細な探求と、いのちあるものを理解することにおける半永久的なつかみどころのなさ。 

「琴線にふれる」という言葉が、心の奥に秘められた感じやすい心情を刺激し感動や共鳴を与えることを言うように、「ふれる」という体験はただちに相互的な関わりのきっかけとなり、個人という枠を超えて溢れだし、包み込むいのちの感覚につながっていくところがあります。 

しかし、これが「さわる」という言葉になった途端、人間的なあたたかみは消え失せて、ただモノとして確かめたり、操作したりといった一方的な関わりが思い起こされるはず。 

かつては日本では元日の朝に、一番に汲み取った「若返る水」を供えて神棚に供える風習があり、これは月に関連する最も古い伝承に基づくものでした。 

月というのは、本来私たちの中のもっともデリケートな部分であり、いつだって懐かしく心そそられる、生命の根源としてそこにあります。おおみそかの前日、年内最後の満月にはぜひとも自分自身や身近な人のやわらかな部分とふれあうような感覚を思い出し、新しい年に備えてみるといいでしょう。 

乙女座(おとめ座)

今期のおとめ座のキーワードは、「芸能としての好色」。

乙女座のイラスト
宮廷の年中行事や風俗などについて、第84代順徳天皇(1197~1242)自身の手によって書かれた有名な書物である『禁秘抄(きんぴしょう)』には、「好色の道もほどほどに天子は身につけておけ」ということが書かれているそうです。 
 
ここでの「好色」とは15世紀以降の捉え方とはかなり違った捉え方がされており、歴史学者の網野善彦は、中世の非農民の職業世界を描いた『職人歌合』の中で、「それはセックスそのものが人の力を超えたものとの関わりでとらえられていた面があったから」だと述べています。 
 
遊女を、神仏ともかかわりをもつ職能民・職人ととらえた一つの背景はここにあるので、同じく神仏に捧げられる舞や歌の芸能ももちろん遊女の芸能ですが、ただそれだけではなく、「好色」の芸能そのもののとらえ方と深い関わりがあると思います。」 
 
遊女というと、どうしても私たちは江戸時代以降のいわゆる“娼婦”を思い浮かべますが、14世紀以前の女性の長者が統括していた遊女集団は、ひとつ所にとどまらず船で津や泊にあつまったり、神社に属していたりと、形はさまざまだったようですが、いずれにせよ社会的地位はそれほど低くはなかったようです。 
 
今期のおとめ座もまた、聖なるもの、人の力を超えた神仏との結びつきをもつ「芸能としての好色」ということについて、意識してみることでまた常日頃の営みについて、また違った感触を得ていくことができるかも知れません。 


参考:網野善彦『職人歌合』(平凡社ライブラリー) 
12星座占い<12/13~12/26>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ