12星座全体の運勢

「風の便りを受け取って」 

2月19日には節気も「雨水」に変わり、雪や氷が溶けていよいよ春に向けて草木も芽吹き始めますが、そんな折の2月27日にはおとめ座で満月を迎えていきます。 

今回の満月は、2月18日に体制と制約の土星と激しくぶつかり合った変革と解放の天王星と歩調を合わせつつ、後者の影響力を一気に押し広げていくような配置となっていますが、そのテーマを端的に表すとすれば「癖や偏りの昇華」となるでしょう。 

つまり、無理にエネルギーを集中させて単発的に興奮していくというのではなく、みずからの身体の要求を素直に聞いて、瞬間瞬間の生命の流れにうまく乗っていくなかで、ふつふつと静かな快感が湧いてきて、ごく自然に発散が起きてくるというイメージです。 

ちょうどヒヤシンスの花が開いていく時期でもありますが、幕末に伝わったこの花には「風信子」という漢字が当てられています。「風信」は風の便りという意味も持っており、風に漂うほのかな香りがそっと春の便りを届けてくれますが、今期はそうした微細な変化の流れにきちんと身をもって反応・順応していけるかどうかが、各自においていつも以上に問われていくのではないでしょうか。

蟹座(かに座)

今期のかに座のキーワードは、「せかい一れつ」

蟹座のイラスト
少し前に歌人の佐々木定綱さんが、「男が男の歌を引用して評論を書いて男の歴史を作ってきたのだ」ということを女性の歌人の先輩に教えられ、自身の評論を振りかえったら確かに男性歌人の比率が高くて衝撃を受けたという旨をツイートしていましたが、日本の思想史や仏教史においても光明皇后などの例外をのぞいて女性はほとんど出てきません。 
 
邪馬台国の卑弥呼のような指導的な立場の女性シャーマンが出てくるのは江戸時代から幕末にかけてですが、こと宗教の創唱ということであれば、その典型と言えるのは天理教の開祖・中山みきでしょう。 

中山は大和の地主の主婦でしたが、長男の足の病気を治すために山伏の祈祷を受けた際、みずから神がかりして「天の将軍」が中山の身体を「神の社」としてもらい受けると宣言したのです。これは中山自身にとっても思いがけないことであり、幾度も自殺をはかったものの死にきれず、家は没落して貧乏のどん底に落とされましたものの、次第にその祈祷が病気なおしと安産にきくと話題を呼んで信者を増やし、単なる現世利益をこえて社会への批判を含んだ教理を展開していったのです。 
 
明治維新直前に発表された『みかぐらうた』には、「かみがでゝ なにかいさい(委細)を とくならバ せかい一れつ いさ(勇)むなり」と、神のもとでのあらゆる人間の平等をとき、「一れつに はやくたすけを いそぐから せかいのここゝろも いさめかけ」と神と人間とで力を合わせて世直しを急がなければならないと、歌をリズムにのせて呼びかけていきました。 
 
このように、既存の宗教が硬直したシステムと組織の論理に縛られる中で、宗教的資質に優れた女性の力を最大限生かし、自由な思想と行動を展開してきた新宗教には、いま改めて見直すべき側面が大いにあるのではないでしょうか。 
 
今期のかに座もまた、多様な人間を広く大きく包み込む女性的力をどうしたら慣習にとらわれない仕方で発揮していけるか問われていくことでしょう。 


参考:『みかぐらうた おふでさき』(東洋文庫) 
12星座占い<2/21~3/6>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ