12星座全体の運勢

「徹底的な平和指向でいこう」 

7月22日に二十四節気の「大暑」を迎えると、梅雨も明けて強烈な夏の陽ざしが照りつける日々が続くようになり、予定では23日に東京オリンピックも開催されることになっています。そんな中、7月24日にはみずがめ座1度(数えで2度)で満月を迎えていきます。 

そして今回の満月のテーマは、「想定外の事態への備え」。「立秋」までの18日間の調整期間である夏の土用の入り(7月19日)の直後でもある今回の満月では、自分が何の準備もできていない出来事(想定外の事態)に直面したとしても、ある程度それに耐えられるような内的な安定感であったり、基礎体力をきちんと養っていくことができるかどうかが問われていくことになりそうです。 

それは精神的な面であれば、自分の感情が悪い意味で大きく振り回されているな、居心地が悪いなと感じたら、SNSであれ特定の対人関係であれ、それなりの距離を取ったり、すぐに立ち去ること。 

たとえ言っていることが正しかったとしても、怒りをもって訴えるみたいな流れになったら、そこからスッと離れること。それこそ、平和の祭典であるオリンピックの理念を誰よりも体現する“平和の使者”になったつもりで、徹底的に平和指向を心がけていくことを、この時期は何より大切にしていきたいところです。 

また、身体的にもこの時期は無理は禁物です。夏の土用の食べ物である、ウナギやあんころ餅、しじみ、ニラなどを食べて滋養をつけるのはもちろん望ましいのですが、それ以上に守るべきことは「睡眠時間の確保」です。脳はついつい夜更かしして、刺激や発散を求めがちですが、それは危機に陥った際に使うことのできるライフゲージを削ってしまう行為であり、「睡眠不足」こそは自分を不安定な状態に追い込んでしまう最大の敵なのだということを肝に銘じておきましょう。 
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射手座(いて座)

今期のいて座のキーワードは、「無名の人がいちばん偉い」。

射手座のイラスト
高名な精神医学者であるだけでなく、ギリシャ語の詩の翻訳行や優れたエッセイストとしても知られる中井久夫の膨大な仕事の一つに「私に影響を与えた人たちのことなど」というエッセイがあります。 
 
そこにはデカルトや中原中也など少年期に影響を受けた書物の話から、内外の著名な学者までさまざまな固有名詞が登場するのですが、その中に直接名指しするのを避けるような仕方で言及されている人物がひとり出てくるのです。以下、その部分を一部引用してみましょう。 
 
この先生は、無名と言えば無名の人ですが、そのころはある病院の麻酔科におられました。先生は麻酔の前に患者にどう説明するかということで術中死を少なくできるんだとこれを非常に重視しておられました。何科に行かれても通用する「臨床家」、すごい臨床眼の持ち主でした。ちなみに、あるアメリカの学者に「どうして日本の政治家は魅力がないのか。他の国ならあれくらいの政治家ばかりだと潰れてしまう」と問われて、「日本は有名な人っていうのはたいしたことはない。無名な人が偉いので、こういう人が国を支えているのだろう」と答えたことがあります。」 
 
おそらく、アメリカの学者に答えたのと同じ理由で、中井はこのひとりの恩師に対して特別な仕方で言及したのでしょう。 
 
有名であることが価値を持ち、それが資本主義社会のロジックとともに絶対的な尺度と見なされがちな今の時代において、こうしたある種の東洋的な「無名人」の理想は新鮮に映ると同時に、それを著者が言葉の表面だけで語っているのではないことに気が付くはずです。 
 
すべてを語り尽くし、世間にこれを見ろと訴求して消費を促すのではなく、本当に大切なものはあえてぼかし、内に秘めることで引き継いでいく。そこには金銭による還元だけが「推し」への敬意の表し方ではないのだという無言のメッセージが込められているように思います。 
 
今期のいて座もまた、「日本は有名な人っていうのはたいしたことはない。無名な人が偉いので、こういう人が国を支えているのだろう」という中井の言葉を折りにふれて、口に出してみるといいでしょう。 


参考:中井久夫『精神科医がものを書くとき』(ちくま学芸文庫)
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ