12星座全体の運勢

「こじらせた私との和解と解放」 

前回の9月7日のおとめ座新月のテーマは「プライドの置きどころ」でした。そして9月23日の「秋分」の直前には、9月21日にうお座28度(数えで29度)で満月が形成されていきます。 

そんな7日のおとめ座新月から21日のうお座満月までの期間をあえてテーマ化するとすれば、それは「かつて否定した自分自身との和解」ということになるのだと言えるかも知れません。 

長期化したコロナのもたらす深い沈鬱のなかで、私たちはいつしか以前はごく当たり前に肯定していた衝動や実感を我慢したり、殺したり、埋めていくことを余儀なくされるようになっていました。しかし、今回の満月ではそうしてかつて自分のなかで抑え込んだり、なかったことにしていた個人的実感や衝動をみだりに否定せず、あらためて受け入れた上で、いかにそれが自分にとって大切で、切り離せないものであるかを洞察していくという流れが、自然に起きていきやすいのだと言えます。 

満月というのは、自分の中に潜在していた思いや願いにスポットライトが当たっていきやすいタイミングですが、今回は「そうそう、こういう変なところも自分なんだよね」とか、「他人と比べて苦しんできたけど、これも自分なのかも知れない」といったように、どこかでプライドをこじらせ、長いあいだ囚われていた考えから少しだけ解放されていくことができるはず。 

その意味で今期は、自分の中の、どんな部分を否定して影にしてきたのか、あらためて思いを巡らせてみるといいでしょう。 
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獅子座(しし座)

今期のしし座のキーワードは、「はらわたの共鳴」。

獅子座のイラスト
頭で考えるな、こころで感じろ―。有名なブルース・リーの言葉ですが、実際のところ、「こころ」で感じるとはどこでどのように感じることなのでしょうか。 
 
それは、現代人が「こころ」で感じられなくなってきたもの、つまり、ますます周りから減りつつある自然に他ならないということにヒントがあるように思います。 
 
解剖学者の三木成夫の言い方を借りれば、自然との関わりは、大抵の場合、まず目から入ってくる視覚的情報から始まります。すると、眼筋をはじめとするもろもろの筋運動がそれに連動する訳ですが、これは外皮上の感覚や神経伝達、筋肉の運動などの「体壁系」の出来事なのだと言います。 
 
ただ、自然と関わるとき、人間にはそうした「体壁系」とは別に、「肉体の奥深くから、心の声が起こる」ような仕方で「内臓系」からの反応も起こるのだとして、三木は次のように述べています。 
 
赤トンボが飛んでいるから秋。サクラの花が咲いているから春。これは、あくまでも“あたま”で考えること。ほんとうの実感は”はらわた”です。文字通り、肚の底からしみじみと感じることです。たとえば、秋の情感を表わす「さわやか」という言葉は、胸から腹にかけて、なにかスーッとする内臓感覚が中心になっている。「秋はただ悲しみをそふるはらわたをつかむばかり……」元禄の俳人宝井其角の俳文の一節です。それから、“断腸の思い”というのもありますね。「さわやか」といいこの「断腸」といい、秋の情感をリアルに表現しようと思うと、もう内臓感覚の言葉に頼る以外にない。これは、大切なことだと思います。」 
 
つまり三木の言葉を借りれば、「こころ」で感じるとは、はらわたを伝わってくる内臓波動と共鳴するということであり、今期のしし座もまた、あたまで考えたことよりも、そうして内なる小宇宙の波にこそしたがっていくことなのだと言えるでしょう。 


参考:三木成夫『内臓とこころ』(河出文庫) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ