12星座全体の運勢

「快活さの追求」 

暑くも寒くもない、過ごしやすい時期ではあるものの、暦の上ではもう晩秋に入っていく10月6日にてんびん座13度(数えで14度)で新月を迎えていきます。 

今回の新月のテーマは、「力の抜き方を知ること」。人間は、というより、生物は、休息なしに健全な生活サイクルを維持できませんが、コロナ禍が長期化してきた今だからこそ改めて、質の良い休息の仕方だったり、休息にどれだけ創意工夫を凝らしていけるかということに取り組んでいきたいところ。 

例えば、一日のなかで感情的に落ち着かせるためにゆるむ時間をきちんと作るということだったり、そもそも身体のリズムを尊重することだったり。いずれにせよ、ただでさえしんどい現実のなかで喜ばしくない側面を追い払い、生命としての健全なリズムに入っていくための自分なりの切り口をひとつでも明確にしていくことが大切になってくるはず。 

スポーツの秋というように、今では秋の季語になっているものに「運動会」がありますが、官僚としての最高職まで昇りつめた富安風生が引退後に詠んだ「秋晴の運動会をしてゐるよ」という、まるで子どもみたいな一句などは、力の抜け加減としては大いに参考にしていきたいところ。 

そうして、今期はすこしでも朝起きたときにざらりとした不快な目覚めを迎える瞬間を減らし、自分のために快活な人生を組み立てていくことを大事にしていきましょう。 
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蟹座(かに座)

今期のかに座のキーワードは、「汝自身を知れ」。

蟹座のイラスト
ギリシャ哲学は近代ヨーロッパ思想の源泉として、今もなおあらゆる場面で影響力を持ち続けており、日本社会もまた例外ではありませんが、そんなギリシャ哲学を代表する人物であるソクラテスについて、特にその執拗に相手に食い下がり、黙らざるを得ない相手のゼロポイントまで追い詰めていく問答スタイルについて、哲学者の古東哲明は「人間主義、つまりソフィスト(近代)の根幹」に対するアンチテーゼだったのだと言及しています。 
 
ちなみに、一般にソフィストは単なる詭弁家と誤解されがちですが、実際には各方面の教養や最新の学識をもち、人の世の道にも通じた当世一流の知識人たちでした。ただし、「世界や生を、人間という間尺で解釈する立場」に立って、「人間の関心や生存を中心にして、非知・無関心のこの自然や世界を切断する」点で、ソクラテスとは立場が異なっていたのです。 
 
すなわち、この宇宙の人知や道徳を超絶した中立性(無関心)や、その根本的な分からなさ(非知)を半ば無自覚に認めていなかったことにこそ、ソクラテスは頑として対抗し、「汝自身を知れ」を自身の真理探究の出発点としたのです。古東によれば、その意味するところは以下のようになると。 
 
意識主体(自我、理知的主観)を可能にし裏づけながら、そんな主体の専制を同時に脅かすような両義性をもつのが、「汝自身」。反省し意図し意識するぼくたちの顕現的な自己性(理知性)というものが、いつもすでにソレに先を越されており、しかもソレに支えられているのが、汝自身(自己)というもの。だから原理的に意識主体(顕現的自己)には収まりがつかない自己自身。」 
 
ソクラテスの問答とは、そんな「非知で、意識下の、不断に人間的理知や意志や対象化の作用から逃れていく」ようなリアリティへと沈黙ととともに連れ出していくための術だったのです。 
 
同様に、今期のかに座もまた、意識を呑み込む無意識な衝動や生きられた身体性の位相へと、どれだけ自身のたましい=実存姿勢を向け変えていくことができるかが試されていきそうです。 
 
 
参考:古東哲明『現代思想としてのギリシャ思想』(ちくま学芸文庫)
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ