12星座全体の運勢

「快活さの追求」 

暑くも寒くもない、過ごしやすい時期ではあるものの、暦の上ではもう晩秋に入っていく10月6日にてんびん座13度(数えで14度)で新月を迎えていきます。 

今回の新月のテーマは、「力の抜き方を知ること」。人間は、というより、生物は、休息なしに健全な生活サイクルを維持できませんが、コロナ禍が長期化してきた今だからこそ改めて、質の良い休息の仕方だったり、休息にどれだけ創意工夫を凝らしていけるかということに取り組んでいきたいところ。 

例えば、一日のなかで感情的に落ち着かせるためにゆるむ時間をきちんと作るということだったり、そもそも身体のリズムを尊重することだったり。いずれにせよ、ただでさえしんどい現実のなかで喜ばしくない側面を追い払い、生命としての健全なリズムに入っていくための自分なりの切り口をひとつでも明確にしていくことが大切になってくるはず。 

スポーツの秋というように、今では秋の季語になっているものに「運動会」がありますが、官僚としての最高職まで昇りつめた富安風生が引退後に詠んだ「秋晴の運動会をしてゐるよ」という、まるで子どもみたいな一句などは、力の抜け加減としては大いに参考にしていきたいところ。 

そうして、今期はすこしでも朝起きたときにざらりとした不快な目覚めを迎える瞬間を減らし、自分のために快活な人生を組み立てていくことを大事にしていきましょう。 
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天秤座(てんびん座)

今期のてんびん座のキーワードは、「一・五人称的知性」。

天秤座のイラスト
自分が人工知能ではない証拠を見せろと言われたら、あなたは何と答えますか?恐らく、誰かがどこかで言っていたようなありきたりなことではなく、他ならぬ自分自身が思いがけず感じたことやその際の状況について伝えようとするのではないでしょうか。 
 
しかし、それをデータや根拠に基づいてわかりやすく、説得力を持たせて伝えようとするほど、あなたにかけられる人工知能ではないかという疑いはますます強くなっていくはず。 
 
今まで私たちは、あまりに人工知能的知性を人間に課し過ぎていたのではないでしょうか。「知覚可能な全てを考慮して、総合的に判断する能力」、これのみを追い求めてきたのではないでしょうか。しかし、もはやそういうことは人工知能に任せておけばいい。」 
 
そう書いていたのは、生命をテーマに科学者と哲学者の中間的な立場からアプローチしている郡司ペギオ幸夫でした。郡司は『天然知能』のなかで、ここでいう人工知能的知性を、空間把握の仕方から、一人称的知性という言葉にも置換え、それをカーナビで地図の方を動かしていくシステムに喩えています。 
 
この一人称的知性にとって、知覚される対象や現象は必ず運転手=「わたし」に関係づけられ、逆に無関係であるものは知覚されず(カーナビに映らず)、知覚されるものはすべからく「わたし」によって判断ないし評価されていきます。なお、紙の地図を見ながら、自分から見た風景(一人称的風景)を断片的に、バラバラに集めてきて、それをパズルのように辻褄があうように貼り合わせ、客観的な地図(三人称的景色)を作り出す三人称的知性もまた、情報が十分にそろっている状態へ向かっていくという意味で、一人称的知性と同じものに収斂していきます。ここまでが人工知能的なものの捉え方という訳です。 
 
そして、郡司はそうした人工知能的な捉え方の対極として、あなた(二人称)に向き合っている「わたし」としての一・五人称的知性という概念を打ち出します。これは「知覚されないものに対しても、存在を許容する」態度であったり、「ほかに何かあるんじゃないか」という思いなど、様々な表現で説明されるのですが、そんな一・五人称的知性だから接続できるものにはいずれも「幸福感を伴う懐かしさがある」のだそうで、これなどは私たちが日頃「こころ」や「たましい」と呼んでいるものそのもののように感じます。 
 
今期のてんびん座もまた、改めてそんな一・五人称的知性をみずからに取り入れてみるといいでしょう。 
 
 
参考:郡司ペギオ幸夫『天然知能』(講談社選書メチエ) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ