12星座全体の運勢

「快活さの追求」 

暑くも寒くもない、過ごしやすい時期ではあるものの、暦の上ではもう晩秋に入っていく10月6日にてんびん座13度(数えで14度)で新月を迎えていきます。 

今回の新月のテーマは、「力の抜き方を知ること」。人間は、というより、生物は、休息なしに健全な生活サイクルを維持できませんが、コロナ禍が長期化してきた今だからこそ改めて、質の良い休息の仕方だったり、休息にどれだけ創意工夫を凝らしていけるかということに取り組んでいきたいところ。 

例えば、一日のなかで感情的に落ち着かせるためにゆるむ時間をきちんと作るということだったり、そもそも身体のリズムを尊重することだったり。いずれにせよ、ただでさえしんどい現実のなかで喜ばしくない側面を追い払い、生命としての健全なリズムに入っていくための自分なりの切り口をひとつでも明確にしていくことが大切になってくるはず。 

スポーツの秋というように、今では秋の季語になっているものに「運動会」がありますが、官僚としての最高職まで昇りつめた富安風生が引退後に詠んだ「秋晴の運動会をしてゐるよ」という、まるで子どもみたいな一句などは、力の抜け加減としては大いに参考にしていきたいところ。 

そうして、今期はすこしでも朝起きたときにざらりとした不快な目覚めを迎える瞬間を減らし、自分のために快活な人生を組み立てていくことを大事にしていきましょう。 
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魚座(うお座)

今期のうお座のキーワードは、「博奕は心によい」。

魚座のイラスト
入院などして急に筋肉を使わなくなると、短期間でどんどん落ちて、しまいには歩けなくなるほどに弱ってしまうように、心というのも油断して放っておくと。一気に萎んだり枯渇してしまうものです。 
 
例えば、紀元前6世紀の孔子の言行を死後約400年かけて編纂した『論語』のなかに、心の使い方についてふれた次のような箇所があります。 
 
子曰わく、飽くまで食らいて日を終え、心を用うる所なし。難いかな。博奕なる者あらずや。これを為すは猶お已むに賢(まさ)れり。」 
 
飽食の時代を生きる現代人にとって冒頭の「飽食終日」の言葉は耳が痛いのではないでしょうか。確かにお腹がいっぱいになるとボーっとして頭が働かなくなりますが、どうも孔子はそこから一歩踏み込んで、心もうまく使えなくなると考えていたようです。そして、そんな孔子が心をじょうずに使っていく上でお勧めの習慣として「博奕(ばくち)」を挙げてるのですから、なんともおもしろいじゃないですか。 
 
能楽師の安田登は『身体感覚で「論語」を読む』のなかでこの点について触れて、孔子のいう「博奕」とは「麻雀や双六など(…)参加者間の勝ち負けのプラスマイナスがゼロになるゼロサムゲーム」のことであり、いずれも相手がいるゲームで、その「相手の心を読んだり、自分の心を隠したりする駆け引きと、そして運の流れを知ることによって、まさに心を用いる訓練ができる」のだと述べています。 
 
安田は能を大成した世阿弥の言葉である「男時(おどき)、女時(めどき)」を引いて、運には「自分の方に運が向いているとき(男時)」だけでなく、「何となくいろいろなことが裏目裏目に出るとき(女時)」もあるのだと指摘していますが、確かに特に後者のときの振る舞い方であったり、やり過ごし方について、現代人はずいぶん下手になってしまったのではないかと思う事はたくさんあります。 
 
今期のうお座もまた、生活や人付き合いをひとつの「博奕」と考えて、自分なりの「男時女時」のうまい過ごし方を追求してみるといいでしょう。 
 
 
参考:安田登『身体感覚で「論語」を読む』(新潮文庫) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ