12星座全体の運勢

「存分に自分をぬかるませる」 

大地が目覚め、うるおい始める時期とされる「雨水」に入る直前である2月17日には、しし座の27度(数えで28度)で満月を迎えていきます。 

寒さがゆるんだり、厳しくなったりと、もしかしたら一年のうちでもっとも大地の息づかいを意識させられる時期にもあたるタイミングですが、そんな今回の満月のテーマは「不思議なほどの気持ちの明るさを楽しむこと」。 

冬が終わると光あふれる春の日が訪れるように、多大なフラストレーションや深い暗闇の後には、必ずふわふわとした浮遊感や解放感を伴うような回復期がやってきます。今回のしし座満月の時期もまた、厳しい冬の終焉と本格的な春の到来とをつなぐ過渡期であり、寒さと乾燥で張りつめていた神経や身体の末端のこわばりをどれだけゆるめていけるかということが大切になっていきます。 

ちょうどこの時期に雪解けや霜解けで土壌がぬかるむことを、昔から「春泥」と呼んでいたように、積極的にアクビをしたり、特に上半身の緊張や指先のとどこおりをほぐしていくことで、存分に自分をぬかるませていくイメージで過ごしてみるといいかも知れません。 

涙や鼻水もどんとこい。春への始動は、まずは身体の中から。全身がアクビそのものであるかのような赤ちゃんになったつもりで、たっぷりとゆるんでしまうことを自分に許してあげてください。 
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獅子座(しし座)

今季のしし座のキーワードは、「沈めよ 涙に」。

獅子座のイラスト
詩は書きつけられた言葉の意味や込められた思想の内容のみでなく、言葉の響きもまた大変に重要であり、その意味で外国の言葉で書かれた詩の日本語訳、特に現代の口語文に訳されたものの多くは原語の響きに託された感動や陶酔を伝えることができていないように思います。 
 
その意味で、原文の言葉の響きにまで考慮された数少ない訳業の一つに、仏教学の泰斗である渡辺照宏氏の翻訳によるタゴールの宗教詩『ギータンジャリ』が挙げられるでしょう。 
 
わが頭(こうべ) 垂れさせたまへ 君が  
    み足の 塵のもと 
  わが高慢(たかぶり)は 残りなく 
    沈めよ 涙に 
  わが身を もし誇りなば 
  わが身を ただ卑しくす 
  己れを ただ 包み隠して 
    惑ひて 止まず 
  わが高慢(たかぶり)は 残りなく 
    沈めよ 涙に 
 
  われは 誇らじ 
    わが業なすとて―― 
  み心を成しとげたまへ 
    わが生命(いのち)を召して 
  あらま欲し 己が身に 
  こよなき君の 静寂(しずけさ) 優雅(みやび) 
  わが身を覆ひて 立ちませ 
    心臓(むね)の蓮華(はちす)に 
  わが高慢(たかぶり)は 残りなく 
    沈めよ 涙に」 
 
渡辺氏はまず吟唱し、唄うべきものとして作られた原詩の形式をできるだけ保存すべく、日本語でも唄えるように文語体で訳してみたのだそうです。 

今期のしし座もまた、こうした意味以前の言葉の響きや、それがもたらす陶酔に思いきり浸ってみるといいでしょう。 


参考:渡辺照宏訳『タゴール詩集 ギータンジャリ』(岩波文庫)
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<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ