【牡牛座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い<4/17~4/30> 月のパッセージ ー新月はクラい、満月はエモいー
12星座全体の運勢
「うさんくさいものの中に本質は隠されている」
すでに季節は春から初夏へと変わりつつありますが、そうした地上の移り変わりを決定づけるかのように、天上の世界でも4月17日には冥王星を強く巻き込む形でてんびん座の満月を迎えていきます。
前回の記事ではこの満月を太陽と月の観点から「(今自分が演じている)人生というお芝居を客観視していくこと」がテーマと言及しましたが、今回は改めて冥王星に着目してこの満月のタイミングにどんなことが焦点となるのか、改めて触れていきたいと思います。
というのも、太陽と月はそれぞれ人間の意識と無意識、公的生活と私生活、自信に充ち溢れた大人としての自分と子供の頃から変わらない素顔の自分とを表し、満月の時期というのは日ごろ抑え込んでいる月の側面、すなわち無意識や本能的衝動が勢いを増して表に現れてきやすいタイミングとされていますが、今回はそうした満月のエネルギーが「根源的な変容」を司る冥王星へと一気に注ぎこまれていくのです。
17日の満月時において、冥王星はやぎ座28度(数えで29度)にあり、サビアンシンボルは「紅茶占いをしている(飲み終わった後のティーカップに残った茶殻で運勢を見ていく)女性」となります。
これはあらゆるものの中に深い現実のサインを見出す透視者(クレヤボランス)の能力や、自分が生きている世界を“外”から見つめ直すための通過儀礼を象徴しているのですが、冥王星は嫉妬や憎悪といった暗くネガティブな感情がうごめく心の奥底の「闇の世界」を象徴する惑星でもありますから、今回の満月では多くの人が自分がどうしても囚われてしまう執着を見つめ直していくことになるかも知れません。
ただ、冥王星は個人の無意識というより、世代的な傾向や長期的な潮流を表しますから、 個人的な人生史をいたずらに掘り返そうとするよりは、普段なら意識することもないような古い歴史や過去の出来事などに意識のベクトルを向けつつ、本当に大切な思いやこだわりを改めて探してみたり、時代精神の底に流れている気分のようなものを感じ取っていくことで、常識とされている現実への視点を調整してみるといいでしょう。
前回の記事ではこの満月を太陽と月の観点から「(今自分が演じている)人生というお芝居を客観視していくこと」がテーマと言及しましたが、今回は改めて冥王星に着目してこの満月のタイミングにどんなことが焦点となるのか、改めて触れていきたいと思います。
というのも、太陽と月はそれぞれ人間の意識と無意識、公的生活と私生活、自信に充ち溢れた大人としての自分と子供の頃から変わらない素顔の自分とを表し、満月の時期というのは日ごろ抑え込んでいる月の側面、すなわち無意識や本能的衝動が勢いを増して表に現れてきやすいタイミングとされていますが、今回はそうした満月のエネルギーが「根源的な変容」を司る冥王星へと一気に注ぎこまれていくのです。
17日の満月時において、冥王星はやぎ座28度(数えで29度)にあり、サビアンシンボルは「紅茶占いをしている(飲み終わった後のティーカップに残った茶殻で運勢を見ていく)女性」となります。
これはあらゆるものの中に深い現実のサインを見出す透視者(クレヤボランス)の能力や、自分が生きている世界を“外”から見つめ直すための通過儀礼を象徴しているのですが、冥王星は嫉妬や憎悪といった暗くネガティブな感情がうごめく心の奥底の「闇の世界」を象徴する惑星でもありますから、今回の満月では多くの人が自分がどうしても囚われてしまう執着を見つめ直していくことになるかも知れません。
ただ、冥王星は個人の無意識というより、世代的な傾向や長期的な潮流を表しますから、 個人的な人生史をいたずらに掘り返そうとするよりは、普段なら意識することもないような古い歴史や過去の出来事などに意識のベクトルを向けつつ、本当に大切な思いやこだわりを改めて探してみたり、時代精神の底に流れている気分のようなものを感じ取っていくことで、常識とされている現実への視点を調整してみるといいでしょう。
牡牛座(おうし座)
今期のおうし座のキーワードは、「真実を声にのせて」。
「戦争が終わるたびに/誰かが後片付けをしなければならない/物事がひとりでに/片づいてくれるわけではないのだから」
昨今のウクライナ侵攻のニュースを連日見聞きしているなかで、ふとこの一節を思い出した。90年代にノーベル文学賞を受賞したポーランド出身の女性詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカの「終わりと始まり」という詩の冒頭部分だ。
この詩は具体的な特定の戦争に即して書かれたものではないが、共産主義体制の崩壊、そしてその後の社会的混乱を背景に書かれたものであり、シンボルスカ自身いったんは共産党員になったこともあったものの、やがて政治活動から離れ、静かに自分の詩の言葉を磨き続けていったのだそうだ。先の冒頭につづく一節を引用しよう。
「誰かが瓦礫を道端に/押しやらねばならない/死体をいっぱい積んだ/荷車が通れるように
(…)誰かが梁を運んで来なければならない/壁を支えるために/誰かが窓にガラスをはめ/ドアを戸口に据えつけなければならない」
ここで私たちは遠い地の戦争に、3.11の近しい記憶を重ねることができよう。それがもたらした困難は、この詩に書かれた「荷車」をひく人を現在も必要としている。それは戦争と同様に途方もない困難だが、「終わり」のあとに「始まり」を置くタイトルの語順が示すように、シンボルスカは最終的に絶望で終わることを決してよしとしていない。
「誰かがほうきを持ったまま/いまだに昔のことを思い出す/誰かがもぎ取られなかった首を振り/うなずきながら聞いている/しかし、すぐそばではもう/退屈した人たちが/そわそわし始めるだろう
誰かがときには/木の根元から/錆ついた論拠を掘り出し/ごみの山に運んでいくだろう
それがどういうことだったのか/知っていた人たちは/少ししか知らない人たちに/場所を譲らなければならない そして/少しよりももっと少ししか知らない人たちに/最後にはほとんど何も知れない人たちに
原因と結果を/覆って茂る草むらに/誰かが寝そべって/穂を噛みながら/霞に見とれなければならない」
同様に、4月17日におうし座から数えて「希望」を意味する9番目のやぎ座の冥王星を巻き込む形で満月を迎える今期のあなたもまた、たとえゼロからでも自分の声をあげ、自分なりの詩を新たに書き続けていくということを改めて表明してみてはいかがだろうか。
参考:ヴィスワヴァ・シンボルスカ、沼野充義訳『終わりと始まり』(未知谷)
昨今のウクライナ侵攻のニュースを連日見聞きしているなかで、ふとこの一節を思い出した。90年代にノーベル文学賞を受賞したポーランド出身の女性詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカの「終わりと始まり」という詩の冒頭部分だ。
この詩は具体的な特定の戦争に即して書かれたものではないが、共産主義体制の崩壊、そしてその後の社会的混乱を背景に書かれたものであり、シンボルスカ自身いったんは共産党員になったこともあったものの、やがて政治活動から離れ、静かに自分の詩の言葉を磨き続けていったのだそうだ。先の冒頭につづく一節を引用しよう。
「誰かが瓦礫を道端に/押しやらねばならない/死体をいっぱい積んだ/荷車が通れるように
(…)誰かが梁を運んで来なければならない/壁を支えるために/誰かが窓にガラスをはめ/ドアを戸口に据えつけなければならない」
ここで私たちは遠い地の戦争に、3.11の近しい記憶を重ねることができよう。それがもたらした困難は、この詩に書かれた「荷車」をひく人を現在も必要としている。それは戦争と同様に途方もない困難だが、「終わり」のあとに「始まり」を置くタイトルの語順が示すように、シンボルスカは最終的に絶望で終わることを決してよしとしていない。
「誰かがほうきを持ったまま/いまだに昔のことを思い出す/誰かがもぎ取られなかった首を振り/うなずきながら聞いている/しかし、すぐそばではもう/退屈した人たちが/そわそわし始めるだろう
誰かがときには/木の根元から/錆ついた論拠を掘り出し/ごみの山に運んでいくだろう
それがどういうことだったのか/知っていた人たちは/少ししか知らない人たちに/場所を譲らなければならない そして/少しよりももっと少ししか知らない人たちに/最後にはほとんど何も知れない人たちに
原因と結果を/覆って茂る草むらに/誰かが寝そべって/穂を噛みながら/霞に見とれなければならない」
同様に、4月17日におうし座から数えて「希望」を意味する9番目のやぎ座の冥王星を巻き込む形で満月を迎える今期のあなたもまた、たとえゼロからでも自分の声をあげ、自分なりの詩を新たに書き続けていくということを改めて表明してみてはいかがだろうか。
参考:ヴィスワヴァ・シンボルスカ、沼野充義訳『終わりと始まり』(未知谷)
<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ