20代から知っておきたいお金の使い方や貯め方。税理士・安江一勢さんに、20代が身につけたいお金に対する考え方から、貯金の仕方、保険の選び方まで、8つのお金を使い方を教えていただきました。

教えてくれるのは……

税理士
安江一勢さん

『安江一勢税理士事務所』代表。22歳で合格率2%と言われる難関国家資格の税理士試験に合格し、23歳で税理士に。20代向けのコミュニティの主宰や、ブログ、ラジオ、セミナーなどでお金の最新情報を発信している

CONTENTS
  1. 【1】自分を高めるモノにお金を使う
  2. 【2】「安い」を基準にモノを買わない
  3. 【3】20代は経験をお金で買う
  4. 【4】将来の積み立ては貯金よりも投資で
  5. 【5】貯金はいざという時のために月給3カ月分を貯める
  6. 【6】独身時代の生命保険は掛け捨て一択!
  7. 【7】出会いとつながりにお金を使う
  8. 【8】お金と幸せを交換する

【1】自分を高めるモノにお金を使う

英会話を身につける20代女性のイラスト

学びのための勉強代、自分磨きのための美容やファッション代、感性を深めるための旅行代、交流会やコミュニティへの参加費、書籍代などどんなことでもOK。何が自分に響くかわからない時は、毎月自由に使えるお金を決めて気になっているモノやコトをいろいろ試してみたり、憧れの人のマネをしてみるのもファーストアクションとしておすすめ。意思を持って自分をレベルアップさせることにお金を使えば、未来が変化します。

【2】「安い」を基準にモノを買わない

安いモノがよくないという意味ではなく、「安さ」だけが価値基準ではないということです。お金は価値と交換するツールで、何に価値を見出すかはその人の価値観次第。たとえばスマホケースを買う時に、百円均一でよい人もいればブランド品を選ぶ人もいます。自分の価値観を知るために、たまにいつもと違う価格帯の選択にチャレンジして「自分がどう感じるか?」をチェックしてみましょう。自分がお金をかけたいところにかけられると人生が豊かになります。

【3】20代は経験をお金で買う

お金を使うよりも将来のために貯めておこうと思う人もいるかもしれませんが、20代こそお金で経験を買って経験値を上げるべき時。なぜならその後の人生に生かすための「回収期間」が長いからです。20代と60代ではその後の回収期間が大きく異なります。旅行、外食、趣味、交流などの経験を通して「お金以外の資産」をたくさん身につけましょう。まずは「新しいコンビニの高級スイーツを買ってみる」といったな小さな一歩からでも未来の糧に!

【4】将来の積み立ては貯金よりも投資で

貯金と投資のグラフのイラスト

10年以上先の目的のために積み立てていくお金は、銀行預金よりも投資を利用したほうが、今の時代はほぼ高い確率で増えていきます。低金利が続く日本の銀行預金ではお金が増やせず、物価上昇により価値が目減りすることも。投資は確実にそのお金があるかは保証されませんが、成長し続ける世界経済の中で確実性の高い長期投資を活用すると、賢くお金を準備することができます。投資による運用益に税金がかからず、いつでも引き出せるNISAの活用がおすすめです。

【5】貯金はいざという時のために月給3カ月分を貯める

月給 貯金箱のイラスト

失業や長期的に働けなくなってしまった場合、引っ越し費用など、急な出費が発生した時にも対応できる目安は、月給の3カ月分と覚えておきましょう。このお金は、元本が保証されていてすぐに動かせる銀行預金で持っておくと安心です。ただ、20代はお金を貯めることも、使うことも大切な時期。月給3カ月分の目標額が貯まったら、お金を使って経験を得たり、目的のためにお金を貯める方向に意識を向けてもいいと心に留めて。

【6】独身時代の生命保険は掛け捨て一択!

生命保険は、解約時にお金が返ってこない「掛け捨て保険」と、解約時に解約返戻金というお金が戻る「積み立て保険」の大きく2つに分けられます。独身の人は、たとえ自分が亡くなったとしても金銭的に迷惑をかけるリスクはそれほど多くありません。治療や入院の費用が考えられますが、公的医療保険の高額療養費制度も活用できるので、多額の死亡保険をかける必要はないでしょう。既婚者は、残された家族のためしっかりとした保障の保険の加入がマストです。

【7】出会いとつながりにお金を使う

比較的フットワークが軽く、時間もある20代のうちに出会いにお金を使っておくことは、幸せな人生を送るために必須。憧れの人に会いにいったり、尊敬する人が主催する講演会やコミュニティに参加したりと、未来に種をまくつもりで積極的にお金をかけましょう。よい出会いや身を置く環境が未来の自分をつくります。出会った後にどれだけよい人間関係を築けるかも大切。長い期間、親しい関係を築いていくことでその関係性は複利効果で深まっていきます。

【8】お金と幸せを交換する

推し活する20代女性のイラスト

お金は「等価交換」といって同じ価値のものと交換する役割を果たしています。たとえば推し活や旅行など、使うことでこそ幸せと交換できます。使った時は等価でないと感じることがあっても、自分の行動次第で交換した価値以上をその後の人生で得ることもできます。20代でこの考え方を知っておくと、お金を貯めるだけでなく使う大切さを実感し、自分が幸せを感じる、未来がよくなるモノや経験と交換しながら、充実した人生を築いていけると思います。

Illustration : CONYA Text : Sakuma Tomoko ※MORE2025年春号掲載