もしかして自分も!? 世にはびこるクズをコミカルに分析! カレー沢 薫著『クズより怖いものはない』【おすすめ☆本】
最近発売された話題の本から、3冊のおすすめBOOKをご紹介します。
『言の葉は、残りて』佐藤 雫
第32回小説すばる新人賞を受賞した歴史恋愛小説。「骨肉の争いで滅びた」という荒々しい源氏のイメージとは対照的に、穏やかに和歌を詠んでいた若き将軍——源実朝には、弱さを覚えていた人も多いのでは。しかし本作で描かれた、「武の力ではなく言の葉の力で世を治めたい」と願った実朝の心の中、そして夫婦愛には、胸が締めつけられるはず。(集英社 ¥1650)
『ドミノin上海』恩田 陸
幻のお宝をめぐって上海の一流ホテルに集まったのは、お宝を高値で売ろうともくろむ骨董商にその行方を追う香港警察、ゾンビ映画を撮影する面々、有名な彫刻家などクセの強い人たちばかり。さらには上海動物公園から逃げ出したパンダに、成仏できないイグアナまで集結したその瞬間、運命のドミノは倒れだす。読み終えた後の爽快感がたまらない! (KADOKAWA ¥1700)
『クズより怖いものはない』カレー沢 薫
人の意見を聞けない「知恵袋型クズ」、謙虚なフリして先制攻撃を仕掛ける「エクスキューズ型クズ」、承認欲求のかたまりとなった「かまってちゃん型クズ」。出てくるのはクズ、クズ、そしてクズ!! 身のまわりにのさばる「クズ」たちの生態を再確認しつつ、「あ、自分にもこういうところあるかも」と、痛い気づきを与えてくれる、開眼エッセイ。(大和書房 ¥1300)
原文/千吉良美樹