12星座全体の運勢

「自分を変えるための学びを」

木々の若葉が青葉に変わり、夏の兆しが一気に濃くなっていく二十四節気の「小満」が5月20日。その直後にあたる5月23日に、私たちは双子座で新月を迎えていきます。今回の全体キーワードは「学力の形成」。これは何か本を読んだり出来事を向きあったときに、「それでいったい何が解ったことになるのですか」と自問するということであり、「解ることによって自分が変わる」ということを身に沁みて感じていくということでもあります。今回の新月前後は「自分を変えるための学び」をどこに見出し、そこに手間をかけていけるかを改めて意識していきたいところ。

牡羊座(おひつじ座)

今週のおひつじ座のキーワードは、「うつる」。

牡羊座のイラスト
『徒然草』の有名な一節に、「あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙立ち去らでのみ住みはつる習ひならば、いかにものゝあはれもなからむ。世は定めなきこそいみじけれ。」というものがあります。

「あだし野」というのは京都の墓場のような場所で、そこに降りる「露」とは人の死を悲しむ自然の涙のこと。また「鳥部山」は死体焼き場ですから、その「煙」は人の死のサインであり、それらがもし消えず立ち去らずずっと続いているような世の中だったならば、と著者は無茶苦茶な想像をここでしている訳です。

そして、そんな世の中は‟もののあはれ”つまり情緒や感動もへったくれもない、と。世は定めがないからこそ、つまりたえず移りゆくものであるからこそ「いみじ(興趣がある、ホントである)」と言うのです。

ここでは「この世=現(うつ)し世」というものが、「移ろい」ゆくもの、何ものかが投影されている「映ろう」世界でしかない、と感じ取られていたことが示されていますが、それは後ろ向きで暗い世界観というより、むしろ不思議なほどのたおやかな明るさを世界観でもありました。

「元の日常に戻る」だけが希望なのではない、むしろあわくはかないものとして変化していく日常を過ごしていく感覚を研ぎ澄ますことの中にこそ、いまは学びがあるはずです。


参考:兼好法師『新版 徒然草 現代語訳付き 』(角川ソフィア文庫)
12星座占い<5/17〜5/30>まとめはこちら
<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ