12星座全体の運勢

「‟想定外”への一歩を踏み出す」

二十四節気で「穀物の種をまく時」という意味の「芒種」を迎えるのが6月5日。実際には麦の刈り取りの時期であり、どんよりとした天気の下で鮮やかな紫陽花やカラフルな傘たちが街をいろどる季節。そして6月6日に起きる射手座の満月は、いつも以上にエモの膨張に拍車がかかる月食でもあります。そんな今の時期のキーワードは「モヤモヤのあとのひらめき」。それは息苦しい勉強に退屈していた子供が、庭に迷い込んだ野良猫の存在に驚き、その後を追い路地を抜けた先で、今まで見たことのなかった光景を目にした時のよう。これから満月前後にかけては、現在の行き詰まりを打開するような‟想定外”体験に、存分に驚き開かれていきたいところです。

水瓶座(みずがめ座)

今週のみずがめ座のキーワードは、「青田を買え」。

水瓶座のイラスト
企業が人材確保を目的に、優秀な学生を卒業前に内定を出して囲い込むことを「青田買い」と言いますが、これは稲が実る前にその田の収穫高を見越した上で先買いすることに由来しています。

これと似た言葉に「青田刈り」がありますが、こちらは戦国時代に、敵方に兵糧を調達させないように穂が青い内に稲を刈り取って、敵方の戦力を落とすという戦術が語源にあるのだとか。

どことなく、ドラッグストアでマスクやトイレットペーパーを買い占めに走る人たちの顔が浮かんできますが、よくよく考えてみると、後者にはいい稲もわるい稲も見境がないのに対し、前者にはほんらい目利きをする側の本気を問う厳しさと覚悟が込められているはず。

例えば、後藤比奈夫の「この国に青田の青のある限り」という句などを詠むと、青田の上を吹き渡る爽やかな風を思い起こすと同時に、いつか青を青とも思えなくなってしまう時代がやってきてしまうのではないかという暗い予感がつきまといます。

今のあなたには、その先に未来や明るい可能性を思い描けるような「青田」が見えているでしょうか。今回の月食は、みずがめ座にとってどこに先買いするべき「青田」があり、そのためにどれだけリスクを取れるのか、ということを少なからず突きつけてくるでしょう。


出典:ひらのこぼ『俳句発想法 歳時記[夏]』(草思社文庫)
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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ