12星座全体の運勢

「淀みや停滞を吹き流せ!」

いよいよ梅雨が明け、本格的な夏の到来に向け日に日に太陽がパワーを増していく二十四節気の「小暑(しょうしょ)」に入るのが7月7日。そして今回はその直前にあたる7月5日にやぎ座で満月を迎えていきます。テーマは「禊ぎと祓い」。

すなわち、すでに時代遅れで何の支えにもなっていない空っぽの言説や価値観に絡まったままもがき続けるのか、それともまやかしやごまかしを切り捨てたところに今後の活動の土台や、大切にすべき礎(いしずえ)を見出していけるか。いずれかに分かれていくことになりそうです。

かつて7月は、涼しい風が吹くのを待つことから「風待月」とも言われたそうですが、今回の満月前後にかけては、自分の内部や周囲に漂うよどみや停滞、行き詰まり感をどれだけ爽やかに吹き流していけるかが問われていくでしょう。

双子座(ふたご座)

今期のふたご座のキーワードは、「予感を貯める」。

双子座のイラスト
もし喜怒哀楽を研ぎ澄ましていくことが、人間の幸福と大きく関係しているならば、それらが摩耗しないための"研ぎ石”となるのは物事の迫りくる終わりの予感でしょう。

例えば古井由吉は『影』という短編小説の中で、「人間の生命」を「半浸透膜で外と隔てられた細胞のようなものである」と「細胞」のイメージでとらえ、「時の流れは自由にその中を通り抜けていく」と書いたあと、その「通り抜けていく流れから、生命は少しずつ死を漉(こ)し取っては内側に貯めていく」と描いてみせました。

これもまた死(終わり)と裏腹にある生(始まり)の姿であり、もし死を漉して貯めることをしなくなれば、その細胞=生にはもはやどんな喜怒哀楽も生じないはず。

人が生命である限り、人知れず流れている地下水脈のように、日日刻刻と喪失の予感に触れながら、ときに怒りに震え、哀しみでくたくたになり、喜びを爆発させ、楽しさに思わず笑みがこぼれる。そうやって、時の定めの中でいっとき自分を光り輝かせていくしかないのです。

強烈な感情の揺れ動きや深く濃厚な人間関係のやり取りがテーマとなっていく今期のふたご座にとって、それらに自分が振り回されないためにも、すぐそばにある死の感触をきちんと感じ直し、その純度を高めていきましょう。


出典:古井由吉『水』(講談社文芸文庫)
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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ