世界が広がる。人生が変わる。今からでも遅くない! 「オトナ海外留学」のリアル

スキルアップ、キャリアチェンジ、リフレッシュ……変化が欲しいけど、どうしたらいいかわからない。そんなモヤモヤを抱いている人、多いのでは? 社会が大きく変化している今こそ、新しいことに挑戦するチャンス。海外留学で自分らしい生き方、目標、強みを見つけた人に話を聞きました。

ニューヨークの美術大学へ留学!

グラフィックデザイナー 蓬生まりさん(32歳)

グラフィックデザイナー 蓬生まりさん(32歳)
DATA
留学先:パーソンズ美術大学 コミュニケーション・デザイン 準学士
留学期間:1年6カ月
留学にかかった費用:約1200万円

HISTORY

2019年8月……リサーチ開始
2020年3月……出願
    5月……合格
2021年6月……前職の広告代理店を退職
    7月……渡航
    8月……入学
2022年12月……卒業

勇気を出してチャレンジしたら憧れの生活が現実に!

グラフィックデザインを仕事にしたいと思いながらも、「自分にはセンスがない」と諦めていた蓬生さん。30歳の節目を前に自分自身と向きあった結果、夢を追う決意をする。

「大学ではメディアデザインを学んでいたのですが、周りはセンスにあふれた人ばかり。広告代理店に就職したものの、デザイナーのようなクリエイティブ職は諦めて、営業職として7年間働きました。仕事は楽しかったけど、漠然と“このままでいいのかな?”というモヤモヤを感じ始めて。海外旅行が趣味だったこともあり、デザインを学べる海外の大学を検索する中で、美大の名門・パーソンズの受験に向けた準備コースを発見。試しに受けてみよう、と半年ほど通い、願書を出したら……受かったんです!」

専攻はコミュニケーション・デザイン。学士号と修士号の中間にあたる、準学士号(アソシエイト)を習得するためのコースに入学する。

同級生は20名で、平均年齢は26歳ほど。バレエダンサーから銀行員まで、さまざまな職種で3年ほど働いたのち、キャリアチェンジのために通う人が多いです。ロックダウン明けで対面のコミュニケーションに飢えていたせいもあり、みんなで食事に行ったり散歩をしたり、とっても仲よし。年上な私の年齢を気にせず、フレンドリーに接してくれます。1学期は、やる気がありすぎて、3時間の授業を週6コマも入れてしまい……。ポスターや雑誌など、ありとあらゆるデザインを学べるのは楽しい一方で、地下鉄での移動中もPCで作業するほど忙しかった(笑)。2学期からはコツを覚えて、余裕のあるスケジュールを組むようになりました。アメリカの大学はとにかく課題が多いので、要注意です!」

いつか勉強したいという思いから、コツコツ貯金してきたものの、N.Y.の物価高と円安の影響で現在はギリギリの生活を送っているそう。

「1年半分の学費850万円を払っても350万円ほど貯蓄があったため、十分だろうと踏んでいましたが、甘かった。夏休みにデザイン事務所で働いたり、フリーの仕事を受けたりして100万円ほど稼いでも、今の残高は50万円ほど(2022年11月時点)。おいしい店やおしゃれな服がたくさんあるのに、手を出せないのが歯がゆいです。贅沢な暮らしはできませんが、好きなことに没頭できる今の私は、これまでの人生でいちばん幸せです!」

まずはN.Y.でキャリアを積むべく、絶賛、就職活動中。卒業後1年の猶予があるビザの期限が切れるまでは、チャレンジし続けるつもりだという。

100社中、1社受かればラッキーという状況なので、ビザが必要な私の就職はさらに難関。でもN.Y.で成功すれば世界中どこでも通用するかなと。使い果たした貯金も取り戻さなきゃですし(笑)。何度も心が折れそうになりましたが、簡単に諦めない根性は、日本で営業をしていた経験の賜物。けちょんけちょんに怒られ、夜遅くまで働いてだいぶ強くなりました。そういう意味でも、社会人の留学は遅いどころか適齢期だと思います!

留学で得られたもの。

自信がついて人と比べなくなった
好きなことに没頭できる生活
❸ チャンスを逃さない自己アピール力

「自分に自信が持てなかった頃は、人の才能をうらやんでばかりいました。課題に追われる日々も、好きなことだから楽しめる! 自己アピールは、就活でチャンスをつかむために意識して強化中。日本では美徳とされる謙遜も、こちらではマイナス評価に」

マンハッタンにあるキャンパスビル

オトナ海外留学のリアル ニューヨーク
「デザイナーのトム・フォードやマーク・ジェイコブスも、ここの卒業生」

授業で描いたデッサン

オトナ海外留学のリアル ニューヨーク
「デッサンの授業での講評の様子」

クラスメイトとのハウスパーティー

オトナ海外留学のリアル ニューヨーク
「外食は高いから、ハウスパーティーが主流です」

天気のいい日は路上でスケッチ

オトナ海外留学のリアル ニューヨーク
「スケッチしがいがある、おしゃれな街並み」

校内の至る所にアートが

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「カラフル&アーティスティックな校内にいるだけで、刺激を受けます。学生の服装もかなり個性的で、ファッションショーを観ているような感覚に!」

世界各国から集まった学生たちと

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「インドの祝祭日を祝うため、学校の友達とディナーに」

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イラスト/naohiga 取材・原文/中西彩乃 ※MORE2023年3・4月合併号掲載