恋人はいても結婚しない、子どもも持たない理由。30代Kさんにとっての幸せとは?【モア・リポート48】
1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!
同棲解消=別れではない
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ーDATAー
木藤さん(仮名)30歳 /未婚/営業職
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同棲解消後、彼との関係が良くなった
――付き合っている彼と同棲を解消した?
はい。1年半付き合った10歳年上の彼と同棲を解消しました。
別々に住むようになってからのほうが関係は良好です。会う頻度は月に2~3回くらい(以下、木藤さん)
――同棲解消=別れ、とはならなかったのですか?
むしろ逆で、同棲解消は別れないための選択でした。私から「これ以上一緒にいたら関係がダメになっちゃうから、別々に住もう」と彼に提案したんです。
――同棲解消に至ったのはなぜですか?
同棲を始めてすぐ彼と喧嘩をするようになって。理由は彼と私の生活スタイルの違いでした。
彼は服を脱いだらそのまま放置のズボラタイプ。掃除や洗濯などの家事はすべて私がやっていて、散らかした部屋を掃除しない彼に対してイライラすることが増えました。
休日は丸一日家にこもってゲームをする彼を見ていると、トキメキも失われていって……。一緒にいることが苦痛に感じるようになっていきました。同棲解消直前は、2日に1回の頻度で喧嘩していましたね。
付き合って2週間で同棲。きっかけはマッチングアプリ。
――同棲カップルのよくある喧嘩理由ですね。
そうですね。それに私たちは付き合って2週間ですぐに同棲を始めたので、一緒に住んではじめて彼の嫌な面を知りました。
――出会って2週間で同棲は早いですね。
はい。実は彼、私の元会社の先輩だったんです。
――職場恋愛ですか?
いいえ。付き合うきっかけはマッチングアプリでした。私が会社を退職した後、何気なく使っていたアプリで、顔写真なしの男性から「スーパーライク」(※相手の画面に必ず自分を表示させることができる特別なライク)が届いて。
……それがまさかの職場の先輩で(笑)。
メッセージのやりとりをしている中で「〇〇(会社)の〇〇です」とカミングアウトされた時は、めちゃくちゃ驚きましたね。
――彼は木藤さんだと分かってメッセージを送ってきたのですか?
そうみたいです。直属の先輩ではなかったので、会社でも挨拶を交わす程度だったのですが、私を気にかけてくれていたみたいです。2、3回食事に行ってすぐに意気投合し、付き合うことになりました。
一緒に住むのは難しい。でも一緒にいたい
――元職場の先輩とアプリでマッチングして付き合う展開はドラマチックですね。
そうですよね。在籍中も「カッコいい先輩だな」と思っていたので、付き合った時は嬉しかった。だから付き合い始めた当初は「ずっと一緒にいたい」という高ぶった気持ちのまま、同棲を決めたんです。
だけど、ずっと一緒にいると、好きなのに嫌な部分ばかりが目について。同棲を解消したいと彼に伝えました。
――彼はなんと言いましたか?
「別れたくない。同棲解消するってことは別れるってことでしょ?」と。私は「そうじゃなくて、これからも一緒にいたいから同棲を解消したい」と伝えました。
でも全然理解してもらえず……。何度も話し合いを重ねましたが堂々巡りでした。結局彼を残して私は家を出たんです。
「離れたほうがうまくいく」母親との関係
――同棲解消=別れ、というイメージを持つ人は多いかもしれません。
そうですよね。彼も、相談していた私の友人もそういうイメージを持っていました。
でも私には、一緒に住むことを辞めて関係がうまくいった過去があって。19歳の時、私は過干渉な母に耐えきれず、実家を出たことがあるんです。
それまで母との関係は最悪だったのですが、ひとり暮らしをはじめてから母との関係が良くなりました。その経験があったので、彼とも同棲を解消したほうがもうまくいくんじゃないか、って思ったんです。
――同棲を解消してみてどうでしたか?
私が家を出てから1ヶ月後、彼と会って話しました。
最初は同棲解消を頑なに拒否していた彼ですが、離れてみると「今の付き合い方のほうが俺らにあっているのかも」と言ってくれて。
彼も私と離れている間に色々考えたみたいです。同棲していた時よりも私たちの関係はずっと良くなりました。
彼との今後。結婚や子どもについて
――今後、彼とはどうなっていきたいと思いますか?
今のような関係が続けばいいなと思っています。だけど結婚は考えていません。
――それはなぜですか?
私も彼も子どもを持ちたいと思っていないし、一緒に住むこともない。そうなったら結婚する必要あるのかなあって。
あとはひとりの時間がなくなって自分の好きなタイミングで旅行にいけなくなるのは嫌だな、自由にお金が使えなくなるな、と要は私が自分第一なんだと思います(笑)。
それに、私の育った環境も関係しているかもしれません。
私の母親は私を22歳で産み、3度離婚をしています。小学校の頃、知らない男の人が家にいることが多々あって。母の隣には常に男の人がいました。
母は夜にデートに出かけることも多かったので、15歳年下の妹の面倒はほぼ私が見ていたんです。
何度も離婚を繰り返す母を間近に見て結婚に対しての憧れはなかったし、妹のことで私自身が早く子育てを経験しその大変さを知りました。「私に子育ては無理かもしれない」と思うようになりました。
幸せな家庭を知らないので、自分が結婚して母になったら、母と同じことを繰り返してしまうのではないかという不安もありましたね。現在の母を見ると、どうしても幸せに見えないんです。
――いろいろな理由があって、今の選択に至ったのですね。
そうですね。とはいえ、結婚して子どもを持つ友達を見ると「幸せそうだな。私はこのままでいいのかな」と不安になる時もあります。
でも、それは「私にとっての幸せ」じゃないなって。
だから、結婚もしないし、子どもも持たない。母と真逆の生き方をして、私は幸せになりたいと思っています。
取材・文/毒島サチコ