結婚生活3年半でセックスは一度きり。初体験の相手と結婚したMさんの話【モア・リポート49前編】
1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!
“3高”男性とのハイスペ婚のリアル
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ーDATAー
水原さん(仮名)30代 /未婚/会社員
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18歳で付き合った彼と結婚。結婚生活3年半でセックスは一度だけ
――セックスレスが原因で離婚した?
はい。結婚してから離婚するまでの3年半の間、セックスをしたのは一度だけです。(以下、水原さん)
――3年半で一度だけ、ですか!?
はい、3年半で一度だけ。オリンピックみたいですよね(苦笑)。努力はしたつもりですが、最終的に改善することはなく、離婚を選びました。
――付き合っているときからセックスレスの予兆はあったのですか?
そうですね。25歳くらいから予兆はありました。付き合い始めは多かったのですが、25歳の時には、2~3ヶ月に1回くらいに減っていました。
夫とは18歳の時に大学のサークルで出会い、7年付き合った末に結婚しました。
とにかく顔がタイプで、私の一目惚れから交際がスタートしたんです。だからセックスレスで悩むことがあっても私は彼のことが大好きで。初体験の彼氏だったし。
――“初体験の彼氏と結婚”というシチュエーションは憧れる人も多いと思います。
そうですよね。友人たちからも「シンデレラストーリーじゃん!」と言われました。
それに、彼はいわゆる3高(※高収入・高学歴・高身長)だったので、周りからは「幸せだね~」と羨ましがられることが多かったですね。
25歳の時に「仕事を辞めて結婚したい」と思った
――いわゆる“ハイスペ婚”だったんですね。
そうですね。ただ、25歳の時に一度別れたことがあるんです。たった2か月だけですが。
――なぜ別れたのですか?
25歳の頃、職場の人間関係に悩み仕事を辞めたいと思っていたんです。だけど、その年は彼がちょうど大学院を卒業し、働き始めたばかりの時期で。
「そろそろ結婚したいな」と彼に話すと「いまは結婚どころじゃない!」と言われました。
レスだし、7年も付き合って結婚できないなら別れたほうがいいのかなと思い、衝動的に別れを切り出しました。すると、彼は別れをあっさり受け入れたんです。
正直、引き留めてくれるかも……みたいな期待をしていました。別れを告げてしまったことを後悔して、2か月後、結局私から復縁を申し込んだんです。
――やっぱり彼のことがすきだったんですね。
そうですね。
私は、18~25歳まで彼と付き合ってきたので、彼と別れることは20代前半までの私を否定することだなとも感じました。
彼のことが好きだったし「彼がいない生活に耐えられない」と思ったんです。そこに彼が“ハイスペである”ということも関係していたと思います。彼以上の人はこの先、現れないなって。
プロポーズは転職して2か月後に
――その後、どうなったのですか?
しばらく結婚はないだろうと、転職を決めました。
結婚したいと思っていたのは、仕事を辞めたかったから。でも、結婚できない。
じゃあ仕事を変えればいいと思い直し、転職をして仕事に打ち込みました。
それから2か月経った頃、思いがけず彼からプロポーズされたんです。
25歳で結婚。周囲からは「イケメンで高収入の旦那さんで羨ましい!」と言われることが多かったのですが、それがのちに私を悩ませることになりました。
独特の夫婦ルールの新婚生活
――結婚生活はどうでしたか?
彼のことが大好きだったので、幸せだと感じることもたくさんありました。でもそれと同じくらい辛いこともたくさん。独特の夫婦ルールもありました。
たとえば、お財布事情。生活費は夫6:私4にしようという夫の提案で、家計は全て夫がエクセルで細かく管理していました。私も食費や消耗品費など、使った分だけ細かく記入するように言われていて。私は夫婦共通口座に憧れていたのですが、そういう感じではなかったです(笑)。
仕事帰りに一緒にスーパーで買い物をして家に帰るシチュエーションにも憧れていたんですけど、夫は「スーパーには行かない。俺は家に帰る」と言って。
「晩御飯の食材を選んでつくるのは君だし、僕は必要ないでしょ? 買い出しが終わる頃に戻ってくるよ。荷物は持つから」と。
その通りかもしれないんですけど、なんだか寂しいですよね。私の仲のいい友人たちは、夫のことを「AI」と呼んでいました(笑)。
彼はとても頭が良いからなのかとにかく合理主義で、生活において合理的か・効率的かを重視していました。私の気持ちに共感して寄り添ってくれる人ではありませんでした。
――水原さんの気持ちを旦那さんに伝えることはなかったのですか?
あまりなかったですね。私がそういうことを伝えるのが苦手だったのと、彼に言っても結局論破されちゃうんです。頭がいいし、言ってることは正しいから。それに私が我慢さえすれば、夫婦仲は基本的に良かったので。
でも、結婚してから一度もセックスがないことには耐えきれず、話し合いを持ったことがあります。
セックスは3年半でたった一度だけ。セックスレスになった理由
――どのような話し合いでしたか?
ストレートに「結婚してから一度もないのはおかしいんじゃないかな」と。振り返ってみると、私たちがセックスレスになった理由はいくつかあるんです。
夫は晩御飯を食べた後、すぐに自室にこもります。私たちは寝室が別々なんです。
寝室が別々になった理由は、お風呂のタイミングの違い。私は夜お風呂に入るのですが、夫は夜はお風呂に入らず、朝シャワー派。
「夜にお風呂に入らないとベッドが汚れちゃうよ」と言う私に、夫は「じゃあ、別々に寝よう!」と。こうして、寝室が別々になったんです。
思えばこれが、セックスレスを加速させる大きな要因になったのだと思います。
何度か夫の部屋に夜に行ってみるも追い返されることが多く……。「俺の子どもは天才になるな」なんて口では言うけれど、行為は全くない。
私は話合いの機会をつくって、夫に本音を話しました。
この話合いが良かったのか、2週間後、急に夫から誘われ、結婚後初めてセックスをしたんです。終わったあと、夫は自室に戻りました。
それでも遂にレス解消か! と期待に胸をふくらませていると、結局結婚生活でセックスしたのはその一度きりでした。
もしかして私のデリケートゾーンの匂いが原因なのかなと不安になり、クリニックに行ってみたりもしました。だけどレスは解消されることはありませんでした。
そのことを夫に話したら「レス問題は解決したじゃん」と。
私の中で、なにかがプツンと切れたような感覚を覚えました。
――旦那さんは一回しただけでセックスレスは解決したと思ったのですね。
はい。その後も何度か話し合いをしました。「子どもは欲しくないの?」と夫に聞いてみると、「会社の人はみんな38歳くらいで産んでるよ」と。
当時私は28歳だったので、あと10年はセックスしない気なんだと衝撃を受けました。
次第に「私のこと好き?」と聞いても「分からないや」と言われるように。
友人たちが結婚、出産をしていたり、親から「孫の顔が見たい」と言われたりすることが増えました。そんな中、私はひとりベッドで眠りにつく。私が彼から女として求められることは一生ないかもしれないと、最終的に離婚を考えるようになったんです。
セックスレスに悩んだ末に出した水原さんの決断は? ▶︎▶︎後編はコチラ
取材・文/毒島サチコ