中高6年間男子校出身者が語る恋愛とセックス「大人になりAVに出てくるような女性を現実でも求めた」【モア・ボイス1】
1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして2023年「モア・リポート」と並行して、性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をスタートします!
セックスはAVから学んだ
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ーDATAー
高橋さん(仮名)31歳 /会社員
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6年間の男子校時代。恋愛に興味がなかった
――セックスはAV(※アダルトビデオ)で学んだんですか?
はい。中学も高校も男子校で、彼女もいませんでした。AVをよく見ていました。(高橋さん、以下同)
――AVはスマホで見ていたんですか?
いいえ。当時はまだガラケーだったんで、今ほど簡単にAVは手に入らなかったんです。中学時代、クラスメイトにエロDVDの収集家がいて。彼が入手してきたエロDVDを学校で数百円くらいで売っていました。
僕も彼から1枚100円のDVDを買ってパソコンで初めてAVを見ました。女優さんと男優さんが絡みあうスタンダードなものです。
――AVを見て心境の変化はありましたか?
周囲に彼女がいるやつもいなかったし、近くにいる女性といえば、年配の英語の先生くらいでした。
だからAVを見たからといって「恋愛やセックスがしたい」という思考にはならなかったですね。進学校だったこともあり、勉強第一、エロは娯楽といった感じで。通学路で他校の女子生徒を見かけることはあったけれど、彼女たちは恋愛をする対象じゃなくて、どちらかというと眺める対象でした。
恋愛やセックスはフィクション。遠い存在だったんです。
mixiやモバゲーを通じて恋愛をする同級生が現れて
――中学を卒業し、高校も3年間男子校ですよね?
はい。でも高校に入ると、塾やネット(mixiやモバゲー)で、彼女ができたというやつが周囲に出てきて。
「彼女ができたんだ」っていう話は友達からも聞くようになったんですが、実際に友達が彼女といちゃいちゃしているところとか、デートをしているところも見たことがないので、どこかで「本当に彼女いるのかよ!?」とか思っていましたね(笑)。
だから僕は、恋愛やセックスは映画やドラマのフィクションの世界。第3者目線で楽しむもの、という感覚が高校卒業まであったような気がします。
共学の大学に入って受けた衝撃「女子がいる!」
――高校を卒業してから進学した大学は共学、どう思いましたか?
はい。あの時は本当に驚きましたね。自分のすぐ近くに女子がいる!! まるで天国のように見えました。女性全員が可愛く見えて。
大学に入ると、カップルを目にすることも多く、恋愛をすることがすごく身近に感じるようになりました。むくむくと彼女ほしい欲が湧いてきて。それで、同じマンガ研究サークルに所属していた同級生とつきあうことになったんです。
――初めての彼女でしたか?
そうですね。初体験も彼女だったんですが、フィクションの世界であったセックスにいざ自分が入り込んだ時、脳がバグを起こしたみたいで。セックスをしている自分を別の自分が上から見ているような感覚があって……。初めは勃起しなかったんです。
――緊張して、ということでしょうか?
緊張もあると思います。セックスを現実のものとして受け入れるまでに時間がかかりましたね。でも、何度かして、慣れてきて。
男子校出身だからか、セーラー服に対する憧れが強くて(笑)。彼女にはセーラー服コスプレをお願いしたりしていました。
1年たつと「魔法が解けた」
――それからどうなりましたか?
最初は女性全員が自分のタイプに見えていたのですが、それは時間とともに変わりました。冷静になり、今の彼女はタイプじゃないかも……と思うようになったんです。最低ですが、ほかの女子のほうが可愛い、と思ったり。最終的に彼女とは別れてしまいました。
――共学に慣れてきたということですね?
そうですね。あと、とても驚いたのは女子のすっぴんとメイク後の顔の違いです。
つきあうと、シャワーを浴びたりして、すっぴんを見るシチュエーションも多いと思うのですが、僕は男子校時代に、女子のすっぴんをほとんど見たことがなかったので、女子のメイク前後の顔の違いに、めちゃくちゃ驚きました。「別人じゃん!」って。
――AVと実際のセックスとのギャップもありましたか?
感じましたね~。最初はすべての女性が可愛く見えていたのですが、慣れてくるとAV女優を基準に考えてしまうようになり、彼女の体を見て、体型の違いがわかるようになってきて。
もともとフィクションであったAVに出てくるような女性を現実世界でも求めるようになっていました。年々つきあう女性に対してルックスの良さを求めるようになっていった気がします。
好きなタイプは「顔」が好みの人。でも少し後悔も……!?
――大学時代から10年たった今の恋愛はどうですか?
僕の男子校時代の友人たちは、30前後になって「まったく恋愛しない(必要ない)やつ」と「結婚しているやつ」に二分しているような気がします。中途半端に女性と遊ぶような人はいないかな……。
僕は後者で、恋愛するということはそもそも結婚前提、と思ってきたので、つきあった彼女とは真剣に向き合ってきたつもりですが、過去の恋愛では、重いといわれることも多かったですね。
――現在、恋人はいますか?
数年つきあってきた彼女と1年前に結婚しました。
――どんな方ですか?
可愛い人です。正直「顔」がタイプだったんです。大学以降に好きになる女性は、全員、顔がタイプでした。
正直、結婚相手の性格はどうでもいい! くらいに考えていました。それで顔がタイプな奥さんと結婚したのですが、思った以上に気が強い女性でした。新婚ですが、すでに尻に敷かれています(苦笑)。
取材・文/毒島サチコ