彼女に言えない性癖。僕がM性感を利用する理由「思う存分自分をさらけ出せる」【モア・ボイス3】
1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして2023年「モア・リポート」と並行して、性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をスタートします!
彼女に言えない秘密の“性癖”
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ーDATAー
吉田さん(仮名)29歳/会社員/未婚/男性
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「女性に責められたい」という願望
――女性に責められたい願望がある?
はい。女性に「ひっぱたいてほしい」とか「いじめてほしい」という願望があって。密かにM性感を利用しています。(吉田さん、以下同)
――M性感とはなんですか?
Mな性癖のある男性のための性的サービスです。普通の風俗とは違って、男性から女性の体に触ってはいけません。女性に身をゆだね、言葉責めをされたり、体を触られたりするサービスです。
――なぜ利用しようと思ったのですか?
非日常を味わいたかったからですね。彼女とのセックスで「お尻を責めてほしい」とか「ひっぱたいてほしい」なんて、言えないじゃないですか(笑)。だからプロにお願いして、自分のありのままを受け入れてもらっているんです。
――M性感は具体的にどのようなサービスなのでしょうか?
まずは、店舗で受付をして、そこからお店の女性と一緒にホテルに行きます。ホテルに向かう道中でも、M心をくすぐられる言葉をかけられたり、ちょっと触られたり。羞恥心をくすぐられるので、プレイ前からぞくぞくします。
ホテルに入った後は身をゆだねるだけです。
僕から女性に触るのは禁止なので、あとはお任せですね。「お前はこんなにみじめなんだぞ」と、責められたり、ムチでお尻を叩かれたり。最高に興奮します(笑)。
――どういう時にM性感を利用するのですか?
頻繁に行くわけではないんですが、仕事に疲れた時とか、どうしようもなくイライラしている時とか。とにかく「現実逃避」したいときですかね。
――普通の性的サービスではダメ?
普通の風俗だと、基本男性側から責めなきゃいけないし、どうしても相手に気を遣うので「現実逃避」はできないんです。M性感だと、寝ているだけで責めてもらえるので、思う存分自分をさらけ出せるのが魅力かなと思います。
彼女とのセックスは作業?
――付き合っている彼女は、吉田さんがMだということは知らないのですか?
知らないです。彼女に自分がMだということは言えないですね。引かれるだろうし。
彼女とセックスをする時は、やっぱり僕が主導する形になるし、彼女も僕から来てほしいと思っているので。だから僕も極力Sっぽく振る舞います。
でも、僕思うんです。世の男性の8割くらいは、実はMなのにSを演じているんじゃないかって。
――なぜそう思うのですか?
多くの男性は、デートやセックスも自分からリードしなきゃいけないって気持ちがあると思います。好きな女性の前では見栄を張りたい気持ちもあるし。だから無理してでもSっぽく振る舞う。でも、密かにこれだけM性感が流行っているし、彼女や妻には言えないけれど「責められたい」と思っている男性は多いんじゃないかなって。現に僕の友人でもM性感に通っている人は何人かいます。
――彼女とのセックスは満足していない?
そもそも彼女とのセックスに性感な満足は求めていないんですよね。彼女の求めるプレイをして挿入するパターンが多いですね。内容的にほぼスタンダードで……。僕にとって彼女とのセックスは“作業”ですね。
――作業、ですか?
はい。決して彼女をおざなりにする、というわけではなく、彼女に対して愛情があるからこそ、彼女が満足してくれるセックスをしたいと思っています。ムード作りも頑張るし、彼女から求められたら、しっかり愛撫もします。彼女とのセックスでは、自分の快楽は後回し。そういう意味での“作業”です。
愛情=性欲ではない?
まったく別物ですね。だから風俗を浮気だと思わないでほしい。仕事に疲れて、マッサージに行くのと同じで疲れを発散したいという感覚です。そこに愛情はありません。
――では逆に彼女が風俗に行くのは許せる?
うーん、すごくワガママなのはわかってるんですけど絶対イヤです。男性は物理的な刺激だけでイケるけど、女性のセックスは感情が入らないとできないイメージだから。プレイしている時間だけでも、感情移入されるのは無理ですね。
だからこそ、僕のセックスで満足してもらわないと! と思いますね。これからも、彼女の前では、彼女の求める“Sな僕”を演じるつもりです。
取材・文/毒島サチコ