1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして2023年「モア・リポート」と並行して、性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をスタートします!

セフレと彼女の境界線

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ーDATAー

倉敷さん(仮名)30歳 /フリーランス/未婚/男性

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寂しさを紛らわすためのデートから発展

セフレがいた30代男性。恋人との違いっての画像_1

――最近までセフレ(※セックスフレンドの略)がいた?

はい。出会って半年になるセフレのミキ(仮名・29歳)がいました。(倉敷さん、以下同)


――どういう経緯でセフレになったのですか?

5年前に一緒に働いたことがあって。久しぶりにLINEをしたんです。ちょうどミキの誕生日が近かったので「元気してる? おめでとう!」と、かなり軽いノリでメッセージを送りました。

そしたら「久々に会おうよ~!」と話が盛り上がって。


――一緒に働いていた当時はミキさんと恋愛関係には発展しなかった?

なかったですね。ノリのいい子だな~という印象でした。それに当時、僕には付き合っていた彼女がいて。

その彼女とは大学時代から6年間付き合ったんですが、最後は遠距離恋愛の末、「別の男性の子を妊娠した」という衝撃的な理由で別れました。

結婚まで考えていた女性だったので、かなり落ち込みましたね。

――それは衝撃的な体験ですね。別れたのはいつですか?

ミキに連絡するちょっと前です。だから僕がミキにLINEしたのは、彼女と別れた寂しさを紛らわしたい気持ちもあったんです。

デート3回目に体の関係になって

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――実際にミキさんに会った?

はい。数回、お茶したり食事をしたりしました。その中で「そもそもなんで俺ら会うようになったんだっけ?」と会話をしていて「あ、そうだ誕生日だ!」と。

それで3回目の食事は「お祝いしよう」と僕が提案し、夜景が見えるレストランを予約しました。その後のホテルも予約して……。


――レストラン後、ホテルに誘った?

はい。「明日早いの?」と聞くと、ミキは「お昼までに帰れば大丈夫」と答えたので、「じゃあホテルいこっか」と。かなりスムーズでしたね。


――その流れで、初めて体の関係を持った?

そうですね。ミキはセックスには積極的だったので、初めてでも楽しめました。

僕が「どういうプレイが好き?」と聞くとミキは「強引にされるのが好きかも」と答えて。僕はもともとS気質なので、嬉しかったですね。


――体の相性がよかったということですね。

はい。僕がSでミキがMだったので、すごくよかったと思います。


――相性のよさはどんな時に感じましたか?

僕もミキもじらすプレイが好きだったんです。

僕はミキが「触って」と言うまで触らなかったり、触ってミキが「いや…!」と声を出したら「いやなの?じゃあ、やめるよ?」と意地悪を言ってみたり。そういった言葉責めプレイをふたりとも楽しんでいましたね。

次の日「また会おうね」と約束して、僕たちのセフレ関係がスタートしました。

「つきあって」と言わなかったセフレ関係。女性はどんどん変わっていき……。

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――「つきあおう」という話は出なかった?

そうですね、僕は元カノの件があってから、当分真剣な恋愛はいいや……と思っていたので、ミキとつきあう気は一切なかったです。ミキもこの時は、僕とつきあう気はなかったと思います。


――どうしてミキさんもつきあう気がないと思ったのですか?

ミキはバツイチだったんです。会話する中で、僕と同じで「当分結婚はいいや~」って感じだったし、疑似恋愛的なものを求めているんじゃないかなと思いました


ミキとは定期的にホテルで会う「セフレの関係」が10カ月くらい続きました。でも次第に様子が変化していって……。


――どう変化していったのですか?

僕の仕事が忙しいと、ミキから「なんで会ってくれないの?」「早く会いたい」と、まるで恋人同士のようなLINEが届くようになったんです。


――それまでは違っていた?

そうですね。セフレになった当初は「今日会える?」「会えるよ」くらいの“割り切った関係”のやりとりでした。

僕は普段からセフレとしての一線を越えないよう、はっきり「つきあって」とか「好きだよ」という言葉は口にしていなかったのですが、ミキはそういう言葉を求めるようになってきて。次第に束縛されるようになりました。


それで、僕の方から距離をとるようになったんです。

セフレと彼女の境界線

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――つきあおうとは思わなかった?

思わなかったですね。

――それはなぜですか?

僕の中で「ミキ=セフレ」と最初のデートの段階で決まっていたんです。どれだけセックスをしようとセフレが彼女に変わることはないですね。


――セフレと彼女の境界線はどこにあるのでしょうか?

う~ん、なんだろう。いますぐ答えは見つからないんですけど……。

彼女には、内面的なものを求めるかも。「気が合う」とか「心が広い」とか。セフレには、内面的な部分は求めないです。ノリがいいとか、スタイルがいいとか、外面的な部分だけを見る、みたいな感じかな。

あと絶対的な違いとして、つきあいたいと思ったら、すぐに体の関係を提案しないですね。

「好き」っていう気持ちがあったら裏側に「嫌われたくない」という気持ちがあるので。急にホテルに誘って、ミキとやったようなハードなプレイはできないと思います。

言い換えると、セフレにはぶっちゃけ嫌われてもいいという気持ちがどこかにあるんでしょうね……。

――その後、ミキさんとはどうなったのですか?

2週間ほど前、何事もなかったかのようにミキから「ご飯いこう」と連絡がありました(笑)。


――また関係が復活しそうですね。

そうですね。

セフレは、恋人と違って終わりがない。だから恋人よりも関係が長く続いたり、途絶えたのにまた簡単に復活したりするパターンが多いんじゃないかなと思います。

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。