【前編】20代女性の避妊トラブル体験記「コンドームをしてくれない彼」
強く言えなかった私が、強い私になった理由
20~30代女性のセックスにまつわるリアルをお届けする「モア・リポート」。
今回は避妊のトラブルについての20代女性の体験談を、前後編でお届けします。
避妊を拒む彼に強く意見を言えなかった彼女の心境とは……?
―DATA―
志乃さん(仮名) 28歳/会社員
彼も避妊に同意してくれていたはずだったのに
――前につきあっていた人が避妊に非協力的だったそうですね?
私が新卒の22歳だった頃の話です。
地元福岡から就職のために東京へ。上京後すぐに出会った彼は12歳も年上のレコード会社の人。私は一般企業に就職はしたものの、歌手になりたい夢がありました。
有名レコード会社への憧れはあるし、夢を叶えたい気持ちもあって、彼のことをすぐ好きになりました。
――彼氏彼女の関係に?
うーん……、当時の私はつきあっているつもりでいたんですけど、考えてみれば「つきあおう」なんて話は一度もなかったので、彼はそうは思っていなかったかもしれません。
――避妊に非協力的というのはコンドームをつけてくれないということ?
そうです。出会ってわりとすぐにそういう関係になったのですが、コンドームをつけるそぶりがなくて。
それでは困ると伝えたら、その場ではつけてくれていた“はず”なんですが、終わってみたら装着していなくて……。
彼との感覚の差に焦りながら、アフターピルを処方・服用
――“はず”というのは
「つけようとしたけどなんかうまくついていなかった」と、よくわからない言い訳をされました。
私もまだ22歳で恥ずかしさもあったので、彼が実際に避妊具を装着しているところを目で確かめたわけじゃなかったんです。
のちほどいろいろお話をしますが、今では相手任せにしないで、ちゃんと装着完了するところまで確認するようにしています(笑)。
――その後どうなった?
もちろん体外に出されてはいるんですけど、妊娠したらどうしようという怖さと焦りに襲われました。
「外に出してるから大丈夫だよ」と彼は言ってきたけど、そんなの彼の感覚でしかないですよね。
終わったその足で産婦人科に駆け込んで緊急避妊薬のアフターピルを処方してもらった、ということが3回ありました。
彼を拒否できない自分に刺さった、医師からの忠告
――3回も。強く拒否することはできなかったんですか?
そうですね。その後も毎回「ゴムつけて」とお願いはしたものの「持っていない」と言われ、流されるままに。
歌手になりたいという夢を叶えたかったので嫌われたくない気持ちがありました。そのうえ、就職した会社がブラック企業で精神的にしんどかったので、彼との時間だけがなによりの楽しみで心の支えだったんです。それを失いたくなかった。
上京したての22歳からしたら、東京の34歳って、カッコいいし頼れるじゃないですか。
実務的にも精神的にも頼り切っていたから、私も気が強い性格なはずなのに、彼に対しては強くNOと言えなかったです。
でも、短いスパンで3回も病院に行ったため、さすがに医師からも怒られて「避妊具くらい自分で用意しなさい!」と言われました。
――その彼とその後どうなった?
アフターピルを3回飲んで医師から相当怒られたことも話したし、新卒当時でその出費がつらかったことも話しました。
泣いて訴えたけれどわかってもらえなかったどころか、「めんどくさ」「お金の話を持ち出すんだね」と言われたのでお別れしました。
好きだったからすごくすごくつらくて心が潰れそうだったけど、なんて無責任なんだという怒りもあったので、どうにか気持ちの折りあいをつけられました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
心ない彼からの言動に悲しみを覚えた志乃さん。
後編ではこの経験が彼女をどのように変えていったかを掘り下げます。
取材・文/ノダ