1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20代、30代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

女性用風俗を初体験

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ーDATAー

菊沢さん(仮名) /29歳/会社員/未婚

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レスに悩み、話題の「女性用風俗」へ

女性の性欲はどう解消する? セックスレスの画像_1

ーー女性用風俗を利用したことがある?

はい。先日はじめて女性用風俗を利用しました。(以下同、菊沢さん)



――なぜ行こうと思ったのですか?

つきあっている彼と2~3年前からレスになり、その時ネットで女性用風俗の存在を知りました。一度行ってみたいな……と思っていたのですが、やっぱり恥ずかしいし、ちょっと怖いなと躊躇していました。

なかなか行く機会がなかったのですが、彼と喧嘩をした際「このタイミングで行ってみよう!」と衝動的に利用してみることにしたんです。


――行ってみてどうでしたか?

ひと言でいうと、とってもよかったです。思っていたより予約から利用までの手順が簡単で、気軽に使えると感じました。



――どういうところで簡単だと感じましたか?

お店によると思いますが、LINEで予約ができたことと、当日までのやりとりはお店の人が丁寧に対応してくれました。当日もマッサージを受ける時と同じように、カウンセリングシートで「ここを触ってほしい」「ここは触らないでほしい」と事前に要望を書いて伝えることができ、安心感がありました。



――具体的な流れを教えてください。

予約を取った後、男性と合流します。待ち合わせのホテルもラブホテルでなく、ビジネスホテルでもよかったのは嬉しかったですね。

その後、カウンセリングシートを書いて、少し挨拶をした後「シャワー浴びてくる? その間に用意しとくね」と声をかけられて。



――どんな男性がくるのですか?

私は120分の「アロママッサージコース」にしたのですが、予約の際に男性の好みを聞かれたので「オラオラ、チャラチャラしていない人。疲れているので癒し系希望」とだけ伝えました。

本当に希望通りの癒し系イケメンの男性が来ました。普段自分だと恋人には選ばない、自分の周囲にはいないタイプの男性でしたね。

女性用風俗。どこまでOK?

女性の性欲はどう解消する? セックスレスの画像_2

――初デートのような感覚も味わえるのですね。

そうですね。女性用風俗といっても添い寝だけ、という選択もできるようです。私の場合は、マッサージのコースを選んでいたので、シャワーを浴びた後は、ベッドに寝そべって、マッサージが始まりました。

通常のマッサージも気持ち良くて「痛くない?」「ここはどう?」と聞いてくれながら、徐々に性的なマッサージになっていく……という流れです。


――性的なマッサージはどこまでOKなのでしょうか?

そのお店は、基本的に挿入以外はOKのようでした。

キスもクンニもしてくれます。彼とだと、セックスも淡白で満たされないし、自身の要望を伝えるのは難しい。だけど女性用風俗なら、お金を払っている分、気持ちいいポイントを押さえてくれて。100%お姫様気分になれました。


――通常のマッサージと“性的”な部分以外、変わらないんですね?

一定の料金の中で、徹底的に尽くしてもらえるのが大きな魅力だと思います。2時間のコースで料金は25,000円でした。決して安くはないけれど、少し高級なマッサージとして利用する分にはいいかな、といった感想です。



――日常的に利用するには高いけれど、“ご褒美”といった感じでしょうか。

そうですね。マッサージが終わった後、彼に対する愚痴を聞いてもらいました。すべてさらけ出した後だからか、本音が話しやすいんです。


「そうだったんだね」「それは辛かったね」と、解決策を提示してくれるわけではないけれど、寄り添ってくれるのがとても嬉しかったです。彼のことを全く知らない第三者だからこそ、本音で話せた部分もあるのかもしれません。

――最終的にはどのような感じでサービスが終了するのですか?

時間内で、こちら側の要望したプレイを楽しむ感じでしょうか。

私はセルフプレジャーだとイクことができるのですが、女性用風俗でいけなかったのは少し残念でした。初回だし、そこまで要望を伝えきれていなかったのかも。でも、それを含めてもとても満足できる時間でした。


――性欲の解消だけではない魅力があるのですね。

男性の風俗だと、射精というゴールがあるけれど、女性にはありません。そういう意味で、女性用風俗は体の風俗=性欲の解消という目的だけではなく、心の風俗=心の解放、も求めているのかもしれません。

女性用風俗のリスクは?

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――ここまで利用してみてよかったことを聞きましたが、逆に悪かったことはありますか?


やっぱりマッサージにしては料金が高いことと、セックスをしたら相手を好きになっちゃう恋愛体質の女性は危険なんじゃないかな、と思います。

あとは、サービスを受けたことによって、パートナーがいる人はパートナーに対する不満が増えちゃう人もかもしれません

お金を払っているからこそ、完璧なサービスがあることを忘れてはいけないなと思います。とても素敵なサービスだけど、結局のところハマりすぎると危険だと思います。ご利用は計画的に、ですね。


――恋愛と切り離して考えることが大切だということですね?


そうですね。私の友人で、子どももいて、妊娠してから数年、夫とのセックスレスに悩んでいた女性がいたんです。夫とのセックスはすでにあきらめていました。


結婚しているし、自身の満たされない欲望を外に吐き出すことは不倫になってしまう、それに不倫に走るほど夫が嫌いなわけではない……というジレンマの中で、女性用風俗を利用したそうです。


数カ月に一度、ご褒美として女性用風俗を利用することで、自身の心も体も安定した状態で、夫とも向き合えるようになったという話を聞いて、そういう使い方があるのだなぁと思ったのを覚えています。


――まさにマッサージとしての利用方法ですね。


はい。今まで女性には、お金を払って性的な欲求が満たされる場所ってなかったと思います。しいていうならホストクラブでしょうか。でも、ホストクラブだと多額のお金を貢がないとお姫様になれないイメージがあります。


――そうですね。男性には性的な欲求を発散する場所は以前からあったけれど、女性用風俗が話題に挙がるようになったのはここ数年のことだと思います。


昨今、男女平等やジェンダーが叫ばれていますけど、やっぱりセックスで、職場で、家庭で、男女差を感じる時は多々あります。


そんな中、男性が当たり前に楽しんでいたものを、やっと女性も楽しめるようになった。女性用風俗の存在は、今後も女性の支えになってくれるような気がしますね。

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。