1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20代、30代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

既婚男性の7割は不倫している? 冷静に不倫を分析した

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ーDATAー

青木さん(仮名) /30歳/会社員/既婚

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夫のキャリーバックからアダルトグッズを発見し、不倫発覚

キャリーケースにアダルトグッズ、出張先での画像_1

――1か月前にパートナーの不倫が発覚した?

はい。先月、結婚して5年目になる夫が浮気していることが発覚しました(以下同、青木さん)。



――なぜ不倫に気づいたのですか?

夫の鞄の中に、知らない女性との2ショット写真が入っていたんです。ビックリして問い詰めたら「友達に地下アイドルのチェキ会に無理やり連れていかれたんだよね」と話していたので、その時は問い詰めることなく会話は終わったのですが。

その一週間後、出張明けの夫のキャリーバックからアダルトグッズが出てきました。



――キャリーバックからですか?

はい。夫と私は関西に住んでいるのですが、夫は東京出張が頻繁にあります。

キャリーバックは夫婦共同で使っていたので、片づけようと中を開けたら、アダルトグッズが入っていました。さらに見たことのない時計や、ネクタイまで。それらは不倫相手からのプレゼントだったようです。



――その時、どうしましたか?

すぐさま「これ、なに?」と夫を問い詰めました。LINEのやりとりを見て、夫は出張のたびに、写真の女性と会っていたことが発覚したんです。



ーー不倫の証拠を見つけたのですね。

はい。さらに驚いたことに、不倫相手は「ずっと一緒にいたいね」「早く会いたい」「早く一緒に住もうね」と何度も夫に投げかけていました。


――不倫が発覚した時、どんな気持ちになりましたか?

まさか不倫されているなんて。最初は受け止めきれず、目の前が真っ白になりました。私たち夫婦の間には、2歳になる娘もいて、てっきり幸せな家庭だと思っていたからです。



――誰かにこのことを相談しましたか?

はい。家族ぐるみで付き合いのある友達に相談しました。友達は「許せない!」「そんな夫とはもう別れちゃったら!?」と、自分のことのように怒ってくれました。



――友達だからこそ、寄り添ってくれたのですね。

そうですね。そこに救われた部分もあったのですが、どうしたらいいかの解決の糸口が見つかるわけではない。友人たちからの夫に対する非難の声を受け止めるうちに、私の気持ちもズーンと沈んでいきました。

そんな時、仕事でお世話になっていた50代の男性上司と話す機会があり、こっそり相談してみることにしたんです。

不倫がバレてよかった?バレなければよかった?

キャリーケースにアダルトグッズ、出張先での画像_2

――上司に相談してみてどうでしたか?


私や友人よりも人生経験がある分、私の話を冷静に聞いて分析してくれました。

印象的だったのは既婚男性の7割は浮気経験がある。でも、バレるのはそのうちの3割というお話でした。それは上司の周囲もそうだし、実際データとしてもあるそうです。そのうえで上司は私に「青木さんは、不倫がバレてよかったと思う?それともバレなければよかったと思う?」と問いかけてきました。



――なんと答えたのですか?

少し考えて「バレてよかったです」と答えました。想像してみたんです。自分が「幸せな家庭」だと思っていたのに、50歳くらいで夫の不倫がわかったとしたら……。一緒に過ごしてきた時間が長い分、絶望し、今までの人生を後悔すると思いました。


でも、30歳の今なら、夫婦関係を再構築するにも、離婚するにも軌道修正がきく。だったら、今不倫が発覚してよかったのではないか……と。



――どういう選択をするにせよ、“時期が早いほうがよい”と思ったのですね?

そうですね。そのうえで、私は夫婦再構築を選ぶことにしました。



――それはどうしてですか?

今離婚したら、自分が後悔すると思ったからです。もちろん子どものこともあります。もし、私と夫の間に子どもがいなかったら、離婚の可能性は高まっていたかもしれません。



――「子どもがいる」という理由で離婚しない夫婦は多そうです。

そうですよね。でも私は、離婚できない理由を子どもにしたくなかった。子どもが大人になった時「あなたがいたから離婚できなかったのよ」と、母親から聞いた子どもはどう思うでしょうか。


もし私が子どもなら「離婚したらよかったのに。お母さんの人生なんだから」と思う気がします。子どものせいにしないで、と。



――なるほど。「子どものため」はある意味親のエゴの可能性もある、ということでしょうか?


はい。もちろん不倫されて離婚しない選択をするのには、他の理由(金銭的なこととか)もあります。それも含めて私は、自分軸で考えて、“私が後悔しない選択をしよう”と思いました。

前提として、私はこの不倫発覚で夫を嫌いになりませんでした。それに、自分のキャリアを考えた際、今の私には夫が必要だと思ったし、夫自身も反省していました。


この3つの理由で、現時点では離婚は考えずに、再構築しようと決めたんです。

30代、自分の人生は「セカンドシーズンに突入した」と考えた

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――不倫が発覚して1か月ですが、今は再構築に向けてどのように動いていますか?

不倫が発覚してから私の人生は「セカンドシーズン突入だ」と思うようにしています。「ファーストシーズン」は、恋愛をして、結婚して出産。「セカンドシーズン」は、家庭を再構築し、“自分の人生”を築くんだ、という気持ちです。



――不倫をきっかけに区切りをつけたのですね。

そうですね。「ファーストシーズン」を振り返ってみて、私が“幸せな家庭”だと思っていた日々を夫はどう感じていたのだろう、と考えました。恋愛、結婚、出産をし、好きな仕事もしていて、はたから見れば“幸せな家庭”かもしれません。私もそう思い込んでいました。


でも、結婚し、妊娠・出産してから夫とはセックスレスだったし、仕事に追われ、デートもしない。毎日夫に晩御飯をつくって、弁当をわたすルーティン。それは妻ではなく、“母親”のポジションではないかと気付きました。



――夫サイドの気持ちも考えたのですね。

はい。もちろん夫サイドの気持ちを考えたとしても、怒りが消えることはありませんでした。それに夫の不倫相手は私とルックスも性格も真逆のタイプ、私にないものを夫は不倫相手に求めたんです。

夫の立場に立って考えた後、夫婦で冷静に話しあう機会を持ちました。その時、はじめて本音で語りあえた気がしましたね。


そして、もっと早く本音で話し合うことができていたら、不倫を防げたかもしれないとも思いました。

弱った気持ちの整理に大切なのは「専門家に頼ること」

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――その後、どうなりましたか?

再構築を決めたとしても、すぐに心の穴は埋まりません。そんな時、今までは一切気にしていなかった街中の新興宗教の勧誘が目に留まるようになりました。



――失恋や離婚をきっかけに、新興宗教に助けを求める話も聞きますよね。

これまで宗教にハマる人のニュースを見ても「なんでハマるんだろう」なんて思っていたけれど、今なら神にすがりたくなる気持ちがわかります。



――心が弱っている時にスーッと入り込んでくる、ということですね。

そうですね。危険な心理状況だなと思いました。さらに、大好きな仕事を休んでしまうことも増えました。

「ヤバいかも……」と思い、プロに頼ることにしました。夫婦や男女関係専門のカウンセリングを使って、話を聞いてもらいました。知り合いの弁護士に、慰謝料についての相談もしました。



――専門家に頼ってみて、どう感じましたか?


不倫が発覚し友人に相談した時、親身になって話を聞いてくれ、私以上に考えたり、怒ったりしてくれ、すごく頼りになりました。でも結局、愚痴を友人やSNSに吐き出しても解決策は見つかりません。専門家に話を聞いてもらうことが何よりも重要だと感じましたね。

プロに相談して、今後の夫婦関係について、とてもクリアになったのを覚えています。



――今後のことを教えてください。

今後は夫と話し合う時間やデートをする時間を積極的に作りたいと思います。
ぽっかり空いた心の穴は、まだ完全に埋めることはできません。時間はかかるかもしれないけれど「人生セカンドシーズン投入!」という気持ちで、30代も楽しんでいきたいですね。

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。