セックス嫌いな女性がハマったバーチャルセックスの世界「経験人数は115人。自分の理想を実現できるのが魅力」【モア・リポート64】
1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20代、30代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!
セックス嫌いの私がハマったバーチャルセックスの今、魅力
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ーDATAー
安田さん(仮名) /VR上での名前:Karinさん/年齢非公開
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バーチャルセックスでの経験人数は115人
――Karinさんの現在の仕事を教えてください。
バーチャルセックスを提供する会社を経営しています。自身もキャストとしても活動していて、バーチャル上での経験人数は115人です。(以下、Karinさん)
――バーチャルセックスとはどんなものですか?
スマホやPCを介したVR空間上で行う疑似セックスのことです。物理的な接触はありませんが、セックスをかなりリアルに再現することができます。
――どのようにしてセックスを再現するのでしょうか?
キャストが専用の機具を身につけることで、アバターになり、手や足の動きがVR上に反映させることができます。
お客さんは、キャストの好きなアバター・服装・シチュエーションなどを選択し、自分好みのキャストとのプレイを楽しみます。VR上なので、キャストの性別や性器の選択も可能です。
VRゴーグルを介して、リアルタイムで会話をしながら疑似セックスを楽しめるので、本当にセックスしているような没入感もあります。
――物理的な接触がなく、どのようにリアリティを感じさせるのでしょうか?
挿入などの物理的な接触ができなくても、スマホと連動したバイブレータなどのセルフプレジャーグッズを用意すれば、アバターの手や身体の動きにあわせて、振動させることも可能なんです。
バーチャルセックスをするようになったワケ
――Karinさんは、なぜバーチャルセックスに興味をもったのですか?
実は私、現実のセックスに関しては強い嫌悪感を持っています。
――なぜですか?
パートナーからセックスを求められた時「嫌だなぁ」と感じることが多かったんです。でも、断ると気まずくなるかなとか、傷つけちゃうかな……と考えて、自分の気持ちを押し殺して受け入れてきました。
――現実のセックスに苦い思い出があるのですね。
そうですね。それに、自身が育った家庭環境が複雑だったことも影響を与えています。両親の仲が悪かったこともあり、セックスを含める男女関係の現実は辛いものという感覚がありました。
そんな時、VR技術に出会いました。初めてVRの世界を知った時は「こんな世界があるんだ!」と歓喜しました。現実と違ってVR空間なら「嫌だな」と思えば、ゴーグルをはずすことで離脱できる。VRの世界の虜になったんです。
そうした経緯から、数年前にVTuberとして活動を始めました。
――そこから、どうやってバーチャルセックスにたどり着いたのでしょうか。
VRの最大の魅力は、好きな容姿や性別のアバターを使い、現実とは別の“なりたい自分”になれることです。そう考えた時に、VR上でなら自分の理想の恋愛やセックスを実現できるのでは? と思ったんです。私の抱くセックスの嫌悪感は「断りづらい」というところにありました。
専用のVR空間にログイン=セックスに同意、という環境を作ることができれば、お互い同意の上で、さらに理想の自分の姿でのセックスが実現できるのではないかと考えました。こういった私の思いに賛同してくれる方に出会い、バーチャルセックスをサービスとして提供するに至りました。
バーチャルセックスを利用する人の属性は?
――バーチャルセックスを利用する人はどのような人ですか?
リアルな属性はわかりません。「現実の姿・性別は明かさない」というのが、バーチャルセックスの安心材料でもありますから。ただ、お客さんのアバターは、ほとんどが男性ですね。今まで115人の方とバーチャルセックスをしてきましたが、女性アバターの方は20%程度でした。
――利用者はバーチャルセックスに何を求めるのでしょうか?
リアルではできないセックス体験を求める方が多いです。女性だけど、男性アバターになって、女性とプレイしてみたい方や、レズプレイを楽しみたい方、3Pを経験してみたいという方もいました。
――現実ではできないプレイを楽しみたい方が多いのですね。
そうですね。そういうプレイを楽しみたい以外にも、私のように物理的な接触がないことを魅力に感じている方もいます。
例えば仕事が激務で海外出張が多く、恋愛をする暇もない男性。各地で風俗通いをしていた矢先、性病にかかってしまったそうなんです。そんな時、バーチャルセックスの存在を知り、性病のリスクもなく、さらにどこにいても疑似セックスができることに魅力を感じたそう。自身の性欲と向き合う際、バーチャルセックスの“物理的な接触がないこと”は魅力の一つになりえるのかもしれません。
バーチャル恋愛・セックスのこれから
――これからバーチャルセックスの世界はどうなっていくと思いますか。
セックスだけじゃなくて、恋愛の分野においても、VRは多くの人の救いになるんじゃないかなと感じています。
たとえば、遠距離恋愛中のカップルの方。リアルで体は重ねられないけれど、VRで会える、VRで愛を確かめられる……そんな世界になれば恋愛やセックスの可能性はますます広がっていくはず。
VRの技術は日に日に進歩しています。数年前までは、高額な機材を揃えないとVRは楽しむことができませんでしたが、今ではスマホを入れるタイプのVRゴーグルであれば100円ショップでも売られています。これから先、VRはもっと身近な存在になると想像します。
――たしかに、VR上での恋愛やセックスの可能性はますます広がりそうです。
VR上の恋愛について言うと「お砂糖」という言葉があります。「お砂糖」はリアルの立場や男女に関係なく、VRの中で出会った人同士が恋人関係になることを指します。
VR上ではアバターを使用するため、相手の外見は考えずにお互いの内面に惹かれ合う関係もあります。外見や性別といったノイズがない状態でお互いを見るとても純真な恋愛の形だと思います。
――外見・性別にとらわれずに恋愛が楽しめる世界=VRということですね。
はい。私たちも、アバターやVRの力で人間の性欲を取り巻くノイズを可能な限り除去し、本来の自分の欲望に立ち返られるサービスとして、より高みを目指して行きたいと思っています。
取材・文/毒島サチコ