1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして多様性社会を生きる今、「モア・リポート」と並行して性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をお届けします!

スピード結婚後、半年でセックスレスになった経緯

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ーDATAー

長野さん(仮名)/32歳/独身/男性

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コロナ禍で結婚。コロナ明けにすれ違いが生まれて

交際7カ月で結婚、半年でセックスレス。夫の画像_1

――セックスレスが原因で離婚した経験がある?


はい。妻のミキ(仮名・31歳)とセックスレスとお酒に関する価値観の違いが原因で、今月離婚しました。結婚生活は3年でした。(以下、長野さん)



――セックスレスになるまでの経緯を教えてください。


ミキとはコロナ禍にマッチングアプリで出会い、3か月で同棲、7か月でスピード婚しました。結婚当初は外出ができず、ふたりで家で過ごす時間が多かったので、セックス回数も週1くらいはあったと思います。

でも、コロナが緩和されて僕が外に飲みに行くようになってから、セックスの回数がどんどん減って。最終的に1年以上のセックスレス状態になりました。



――外に飲みに行くようになったのがセックスレスの原因に?


はい。ミキはお酒を飲む人が嫌いだったんです。コロナ禍での自粛モード期間に出会い、ふたりでお酒を飲む機会がないままスピード婚したため、彼女のお酒に対する価値観を結婚後に知ることになりました。


ミキも彼女の家族も、まったくお酒を飲まないので「お酒を飲む人の気持ちがわからない」と言っていましたね。一方、僕はお酒が好きだったので「やっと飲みに行ける!」という気持ちで、外出できるようになると週2くらいのペースでお酒を楽しんでいました。

するとある日、会社の飲み会から帰るとミキから衝撃的な言葉を言われました。

突然言われた「男として見られない」という言葉

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――どんな一言ですか?

「あなたを男として見られない」です。



――突然ですか?


そうです。「お酒を飲む人を男として見れない」と。ミキはお酒を飲んだ状態の男性に対して嫌悪感があるそうです。その日僕は終電で帰宅したのですが、ミキに連絡するのを忘れていて、帰宅後に「どうして連絡しなかったの!」とかなり怒られました。

連絡をしなかったこと自体はもちろん反省したのですが、突然なんの脈絡なく「あなたを男として見れない」と言われたことに対しては「なぜ?」と思いましたね。



――その時、長野さんは酔っぱらっていたのですか?

いいえ。意識がなくなるとか、嘔吐するとかそういうことは一切なく「少し気分がいい」くらいの状態です。お酒って本来そうやって楽しむものだと僕は思っていたのですが、ミキは「そもそもお酒を飲む行為自体が許せないし、お酒で気持ちよくなるなんてありえない」という考えでした。



――なぜミキさんはそこまでお酒に対して嫌悪感を抱くのでしょうか?

詳しくはわからないのですが、昔付き合っていた人が酒癖が悪かったそうです。「そのトラウマがある」と話していたことはありましたね。ちなみに僕は周囲に一度も酒癖が悪いと言われたことはありません。ごく一般的な飲み方だったと思うので、元カレとは違うと思います。

飲み会のたびに険悪モードに

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――その後どうなりましたか?

彼女のためにできるだけお酒を飲む頻度を減らそうと努力しました。飲むのは、多くても週2回くらい。参加したほうがいい仕事の飲み会はあるし、僕だって飲みたい時もあります。すると、ミキから禁酒するために病院で受診するように言われたんです。



――実際に病院に行ったのですか?


はい。半ば強制的に病院に連れていかれました。

病院の先生からは「アルコール依存もなく、減酒するほどの飲酒量でもないね」と言われ、僕がお酒をやめる必要はありませんでした。

それでも彼女は僕がお酒を飲むことを許せなかったようです。僕がお酒を飲むたび、ミキは不機嫌になり、夫婦仲もどんどん険悪になっていきました。

レスの原因は、お酒に対する価値観の違いだけではない

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――それにともなって、セックスレスに?

そうですね。結婚して半年後には、セックスの回数が月1回あるかないかに減っていました。



――話し合いはしましたか?

はい。ミキのほうから、レスについて話し合おうと言われました。基本セックスは僕主導で始まることが多かったので、僕が彼女を誘わなくなったことに対して「私を女性として見られなくなったの?」と聞かれて。

その時、僕は彼女から言われた「男として見られない」という言葉を思い出し、お互いさまだろうとイラっとしました。
結局、話し合いは平行線に。解決しないまま半年くらい時間が過ぎ、そうなるとセックスを誘うことすら恥ずかしくなりました。



――完全なレス状態になってしまったのですね。

そうですね。でも僕は子どもが欲しかったので、もう一度ミキと話し合う必要があると思いました。でも、その時の話し合いで、ミキと僕の埋められないセックス観の違いが露呈したんです。

後編に続く。妻から言われた衝撃の一言「離婚するのがめんどくさいだけ」

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。