1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして多様性社会を生きる今、「モア・リポート」と並行して性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をお届けします!

スピード結婚後、半年でセックスレスに

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ーDATAー

長野さん(仮名)/32歳/独身/男性

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結婚して半年でパートナーとセックスレスになった長野さん(仮名/32歳)。子どもがほしいと考えていた長野さんは、レス解消に向けて、パートナーのミキさん(仮名/31歳)と話し合いをしたものの、お互いのセックス観の違いが露呈。それぞれが抱える思いとは?

まず前編を読む!交際7カ月で結婚、半年でセックスレス。夫婦の思いもよらないズレとは?

妻の言い分「子づくりのためのセックスはNG」

交際7カ月で結婚、半年でセックスレス。妻の画像_1

――結婚してから半年で、完全なレス状態になってしまったのですね。

そうですね。でも僕は子どもが欲しかったので、もう一度ミキと話し合う必要があると思いました。でも、その時の話し合いで彼女と僕のセックス観の違いが露呈しました。


――どのような違いですか?

「そろそろ子どもがほしいからセックスをしない?」と話をしたところ、ミキは「子どもをつくるために無理にセックスをするのは嫌だ」と言うんです。ミキも「いずれは子どもはほしいと思っているけれど、それは今すぐではない」「セックスには愛情が必要。子どもをつくりたいからと作業的にやるセックスは反対」だと。



――夫婦仲があまりよくない状態でセックスはしたくないということでしょうか?

そういうことだと思いますが、僕はミキの考えを聞いて驚きました。もちろん愛情のあるセックスは大切だけど、僕は夫婦になったら子づくりのためのセックスも必要だと思っていました。



――その後どうなったのですか?

結局セックスをすることなく、ずるずると日々が過ぎていきました。



――ふたりにとって愛情のあるセックスをすることは難しかったのでしょうか?

半年以上レスだと、今さら突然恋人同士のようなセックスをすることが考えられなくなっていたんですよね。

正直な話をすると、結婚後、ミキの体を見ても性欲がわくことはなくなっていました。付き合った当初は、新鮮さもあったのですが、一緒に生活を送っていくうちに「色気がないなぁ」と思ってしまうことも多々ありました。

もしかしたら僕がそう思っていることがミキにも伝わっていて、「愛情のないセックスはNG」と言ったのかもしれません。

レス中に起きた出来事をきっかけに離婚を決意

交際7カ月で結婚、半年でセックスレス。妻の画像_2

そんなある日、決定的な出来事が起こりました。

友人たちとお酒を飲む機会があり、久しぶりのお酒で気分よく酔っぱらってしまったら、ミキから「お酒で酔うのは、ほんとうにやめてほしい」と強く言われました。
さらに吐き捨てるように、「離婚していないのは、離婚するのが面倒くさいだけだから」と言われて、「男として見られない」と言われた時と同じくらいのインパクトがありました。


――強い口調で言われたのですね。

この言葉で、僕の中でプツッと何かが切れてしまいました。セックスレスだし、子どもも絶望的だし、お酒も自由に飲めない。ミキと一緒にいる意味がわからなくなってしまい、僕から別居を切り出したんです。

スピード結婚で、価値観の共有ができていなかった

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――別居の要因は、お互いの考え方をわかり合っていなかった?

結婚前、コロナ禍だったこともあり、お酒に対する価値観の違いを知ることができなかったのは大きかったと思います。

でも、付き合いたてや新婚のラブラブの時に「子どもをつくるためのセックスってどう思う?」なんて話にはならないと思うから、難しいところです。それでも多くの夫婦は、価値観をすり合わせながら生活を送っているのだと思いますが、僕たちにはそれが難しかった。


――別居後はどうなりましたか?

昨年の11月に、ミキから離婚を受け入れますと返事をもらって、今月離婚することになりました。



――コロナ禍の結婚、そしてコロナ後の離婚を経てどう思いますか?

自身の結婚を振り返ってみると、コロナ禍で将来が不安な状況の時に、アプリをダウンロードし「次にマッチングした人と結婚しよう!」と決めて、スピード婚しました。コロナ禍という特殊な状況とスピード婚があいまって、ミキと価値観の共有が充分にできていなかったのだと思います。



――長野さんのように、コロナ禍に結婚したカップルが、コロナ明けにスピード離婚するケースも多いようです。

コロナ禍の時は少なからず不安に駆られ、僕もミキも正常な判断ができない心理状況だったように思います。相手のことを知る前に、目の前の安定=結婚を手に入れたかったという気持ちが先立っていたのかもしれません。



――今後どうしていきたいですか?

落ち着いたら、また婚活を始めようと思います。次は、シンプルに「この人と結婚したい!」と思う気持ちを第一に、お互いの価値観のすり合わせをしっかりしたうえで、出会いたいですね。

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。