1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20代、30代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

話題の“港区女子”ってどんな女性!? 当事者にインタビュー

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ーDATAー

岸さん(仮名) /20代/職業非公開

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港区在住ではない。知られざる港区女子の世界

港区女子が明かすギャラ飲み、シビアな事情の画像_1

――岸さんはいわゆる港区女子(※)でしょうか?(※東京・港区をオフタイムの活動拠点とし、ハイステータスな男性たちと夜な夜な華やかなパーティをする女性のこと)

はい。数年前から港区女子として、お金持ちの男性たちとの飲み会に参加していました。その様子をSNSで発信していたら、フォロワーが数万人に増加。今では築いた人脈とSNSを駆使して、港区女子と富裕層の男性とのギャラ飲みをセッティングしています。


――ギャラ飲みとは、どんなものですか?

女性が男性と一緒に食事をし、その対価として謝礼金(ギャラ)をもらうこと。払うのは男性側で、女性にとっては報酬を得て参加する飲み会です。


――岸さんは港区女子兼港区でのギャラ飲みを開催する仲介者の立場ということですね。

そうですね。現在はギャラ飲みのセッティング料や、インフルエンサーとしての収入があります。


――ギャラ飲みに参加する男女はどのような人なのでしょうか?

男性は芸能人、スポーツ選手、経営者が多いですね。年齢は幅広く、30~60代です。女性は地方出身の大学生、20・30代の会社員、ラウンジ嬢、芸能関係など容姿端麗な港区女子です。でも実際に住んでいる場所は千葉や埼玉が多いですね。



――港区女子の住む場所は港区ではないということでしょうか。

はい。必ずしも港区在住ということではなく。港区女子は、夜になると港区を拠点に集まり、活動することが多いです。


――港区女子は何を目的にギャラ飲みに参加するのでしょうか?

港区女子は、ギャラ飲みでお金を稼ぎたいというより、普段出会えない富裕層の男性や有名人と飲みたいと思っている人の方が多いですね。女性から私のもとには、「〇〇くん(芸能人)と飲めますか?」、「ギャラ飲み参加したいです」と毎日のようにメッセージが届きます。男性の目的はシンプル、きれいで若い女性と飲みたい、という感じですね。



――女性たちからギャラ飲みに参加したいと、毎日メッセージが届くのですか?

はい。私の公式LINEをSNSで公開しているので。もちろん、私も誰でも受け入れるわけではなく、やりとりや、ルックスでセッティングするかどうかを判断します。



――ギャラ飲みに参加した女性はどのくらい報酬を得られるのでしょうか。

人によりますが、最大で5~10万円を稼ぐ女性もいます。



――一回の飲み会に参加しただけでですか!?

そうですね。でも、それだけ稼げるのはすごくルックスがよく、話し上手な子にかぎります。



――男性から体の関係を求められたり、強要されることはないのでしょうか。


ありません。私はあくまでギャラ飲みをセッティングするだけです。その後、個別に恋愛関係に発展した方もいるかもしれませんが、そこは自由で本人の責任になります。


――そのほかのトラブルも過去になかったのですか?

私がセッティングしたギャラ飲みではほとんどありませんね。男性も女性も、基本的に私と信頼関係を築いてから飲み会をセッティングしています。たまに「家が遠いのでタクシー代をたくさんください!」と、嘘か本当かわからないようなことを言いはじめ、場をしらけさせてしまう女性もいます。そういう女性がいたら、トラブルになる前にタクシー代1~2万円くらいを払って帰ってもらうようにしています。

私が港区女子になるまで

港区女子が明かすギャラ飲み、シビアな事情の画像_2

――岸さんはなぜ港区女子になったのでしょうか?

もともと私は九州出身で、一人娘でした。父親が医者だったこともあり、地元では比較的裕福な暮らしをしていたのですが、高校1年生の時に突然父が亡くなりました。「早く自立しなきゃ」という気持ちが芽生え、上京を決めました。



――そこからなぜ港区との縁ができたのでしょうか?

上京してすぐに、マッチングアプリで出会った男性とつき合うことになりました。彼は芸能関係の人で、彼の活動拠点である港区に足を運ぶようになって。



――恋人経由で港区が身近なエリアになったのですね。

そうですね。そこでどんどん人脈が広がりました。彼とはすぐに別れましたが、そのタイミングでお金持ちの知り合いを増やそうと思い、マッチングアプリを使って、1000人近くの男性に会いました。



――恋人づくりが目的ですか?

いいえ。人脈づくりを重視していました。女性ひとりで東京で生きていくために、持つべきものは恋人や友達ではなく、お金持ちの知り合いだと思っていたんです。

年収3000万円、40代以上に絞って検索していました。そういう人はみんな港区に集っているんです。彼らに会い、港区でさらに人脈が広がっていきました。
しだいに男性から「よかったら今度飲み会しない?」と持ち掛けられるようになり、自然とギャラ飲みをセッティングするようになりました。


――現在、岸さんに恋人はいない?

芸能関係の彼と別れてからはずっといません。


――今後も恋人がほしいとは思わない?

思わないですね。毎日いろいろな男性と会っているので、特定の人と付き合いたいと思ったことがないんです。

港区女子の恋愛事情。華やかな世界を知ってしまった後に

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――昨今、“港区女子”はよくSNS上やネットニュースの話題にもなりますよね。彼女たちは幸せなのでしょうか。

ごく一部、ギャラ飲みで出会った年上のお金持ちの男性と結婚して、セレブ生活を送っている港区女子もいますが、私の知るかぎり幸せそうな女の子はほとんどいないですね。


――港区女子と富裕層男性が、リアルな恋愛関係には発展しにくいということですか?

はい。港区女子の多くは基本的にルックスがよく、若さや美しさでちやほやされて生きてきた20代女性です。一方、ギャラ飲みに参加する男性は、40歳以上のお金持ちの既婚者が多い。



――男女に年齢差があるうえに、既婚者が大半となると恋愛対象にはなりえませんね。

港区女子たちは、最初は男性から猛アプローチされ、贅沢を覚えます。でも、男性たちは、次の新しい港区女子がくれば、そちらに目が行くようになる。港区女子は、年上の男性の同世代の男性にはない経済力や包容力に魅了され、疑似恋愛を楽しみますが、結局は若さや美しさを引き換えにしているだけ。年齢を重ねていくうちに男性に相手にされなくなり、心を病んでしまう港区女子は多いように思います。



――シビアな世界だと感じますか?

そうですね。きらびやかな世界を知ってしまったが故の、不幸なのかもしれません。

だけど上京せず地元にいたら、港区の楽しみを人生で体験することはない。どちらがよかったんだろう? って最近よく考えますね。港区女子の世界は、知らないほうが幸せなのかもしれません。


取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。