1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして多様性社会を生きる今、「モア・リポート」と並行して性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をお届けします!

つきあっていない女性とのルームシェア。25歳男性の本音

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ーDATAー

岡山さん(仮名)/25歳/独身/男性

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一緒に住んでいて体の関係もあるけれど、つきあってはいない――。女友達のA子さんと不思議な同棲生活を送っていた岡山さん(25歳/男性)。ある日、A子さんが突然いなくなり、困った岡山さんは、また別の女性の部屋で生活をはじめて……!?

まずは前篇を読む! いつのまにかヒモ男に。女友達が「私が養う」とお世話したくなるワケ

ふたりの女性とひとりの男性が一緒に生活することに

僕がヒモ男になろうとしたわけじゃないのにの画像_1

――A子さんとの同棲解消後は、どうしたのですか?

一瞬だけひとり暮らしをしましたが、すぐに別の女性の部屋に居候させてもらうことになったんです。


――別の女性と同棲を始めたのですか?

はい。もともと知り合いだったB子のところに住むことになりました。B子は友人のC子とふたりで住んでいましたが、C子は僕にとっては赤の他人でした。



――B子さんとはどんな関係ですか?

ただの女友達です。つきあっていません。


――一緒に住むことになった経緯は?

B子と飲んでいて、終電を逃した時に「もううちに泊まっていきなよ!」と、彼女から誘われました。その後もB子から「ゴキブリが出たから助けて」とか「漫画読みに来ない?」とか、頻繁に彼女の部屋に呼ばれるようになり、いつしか入り浸るようになっていました。



――自然と一緒に住むことになったのでしょうか?

そうですね。彼女の方から「ここに住めば?」と言われた感じです。僕は働いていなかったので、家賃ナシで居候できるのはありがたくもありました。



――C子さんはそのことをどう思っていたのでしょうか?

どうでしょう。B子とC子の部屋は別々で、当初僕はB子の部屋に入り浸っていたので、最初はそこまで顔を合わすことは多くありませんでした。

B子はバリバリ働くキャリアウーマン、C子は引きこもりで一日中家にいて。B子がC子を養っている不思議な友人関係でした。だからB子に不満があっても、C子はあまり強く言えなかったと思います。

ひとりの男とふたりの女の不思議な同居生活

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――3人の関係性はうまくいきましたか?

日中僕も部屋にいたので、次第にC子と顔を合わす回数が増えていきました。

でも、その状況をB子はよく思っていなかったようです。「私がいないところでC子と仲良くしないで!」と強く言われるようになりました。「ふざけんなよ!」とか、かなり暴力的な言動もありました。



――B子さんは岡山さんに好意を持っていたのでしょうか?

どうなんでしょう。嫉妬されていたから、好意があったのかなと思います。僕が寝ていると、急にB子からセックスに誘われることも日常茶飯事でした。



――岡山さんはセックスの誘いに応じたのですか?

はい。そんなに乗り気じゃないけど「お世話になってるしなあ」という感じでしぶしぶ応じていました。A子の時と同じで自分から誘うことはなかったですね。


のちにC子に「行為の声が聞こえてきて気持ち悪いんだけど!」と言われてから、C子がいる時は断るようにしていました。



――体の関係があってもB子さんに対して恋愛感情はなかった?

ありませんでした。体の関係=恋愛感情には結びつかなくて。

A子の時と同じように「お世話になってるから、セックスを求められたら応じよう」という受け身の姿勢でした。養ってもらっていたので、そのお礼という気持ちです。

「他人と住むことに抵抗がない」社宅やホームレス生活の経験

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――そもそも岡山さんはつきあっていない女性と一緒に住むことに抵抗はなかったのですか?

僕は、他人と一緒に住むことに対してのハードルが低いんだと思います。高校卒業とともに実家を出た僕は、工場で働きながら全く言語の通じない外国の人や、年齢差のある人たちのいる社宅で生活したことがあります。



――実家を出てはじめて生活した環境がルームシェアだったのですね。

そうですね。その後、体調を崩して会社を辞めて、社宅を追い出されたんです。当時は10代で家を借りられなかったので、男女問わず友人たちの家を転々とし、ホームレスも3か月ほどやりました。



――路上で生活を送っていた期間あるのですか?

はい。実家も頼れる環境ではなかったので、工場の倉庫で生活していました。

その後、めちゃくちゃ頑張って家を探しまくり、事情を話して保証人なしで入れてくれる大家さんを見つけ、ひとり暮らしを始めました。



――大変な時期があったのですね。

10代からそういう暮らしだったので、他人と一緒に住むことに関して一般の人よりもかなりハードルが低いんじゃないかなと思います。



――女性と一緒に住む場合も同様ですか?

はい。この前友人と話していた時に、女性から「うち来る?」と言われたり、逆に僕から家に誘ったりするのは「好意のある相手にしかしない」と言われ、驚きました。

僕は男女問わず、困っている人がいたら手を差し伸べるのが当然という感覚だったので「普通はそんなものなのか~」って思いました。

家事全般とベビーシッターは自分の役割。これからのこと

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――現在の生活はどうですか?

実は今、B子とC子の住む部屋から逃げ出して、またA子の家で居候しています。



――どうしてまたA子さんと暮らしているのですか?

B子の僕に対して暴力的な言動が増え、「私が養ってるんだから言うことを聞きなさいよ!」と支配的になってきたんです。もう耐えられない! と思い、部屋を探していた時にA子から「うちに住まない?」と連絡があったんです。



――A子さんは実家に帰ったはずでは?

A子は一度実家に戻った後、シングルマザーになり、母子ふたりで暮らしていたんです。僕の事情を知って「子育てと家事をしてくれるならうちの部屋に住んでいいよ」と声をかけられました。



――それでB子さんから逃げて、A子さんのもとに行ったのですか?

はい。友人やC子の協力を経て、夜逃げ寸前でB子の部屋からA子の部屋に移りました。



――今後もA子さんと生活していく予定ですか?

う~ん、仕事と次の住む場所が見つかれば、出ていきたいとは思っています。

今僕は、A子の部屋で家事全般と子どものベビーシッターをしています。
家賃も食費も生活費もかからないし、家事や子育ては自分に向いてるし。自分の趣味ややりたいことも自由にできている状態なので、しばらくはこのままでもいいかな。

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。